第5章 勇者装備完了➂
第5章 勇者装備完了③
私は屋台の端で鍋を火にかけた。
エコバックから、材料を取り出した。
豆腐を見る。
今日までだと思った。
多分。
豆腐を手で割って鍋へ入れる。
鶏ひき肉を見る。
少し考える。
そのまま鍋へ入れた。
卵はあった。
つみれも作れた。
だが面倒だった。
ほうれん草も入れる。
最後にめんつゆを取り出した。
少しだけ迷う。
保存は効く。
出来れば残したい。
でも今日は仕方ない。
少しだけ使った。
水を足す。
味を見る。
少し考える。
もう少し足した。
もう一度味を見る。
多分大丈夫だった。
しばらくすると良い匂いが広がる。
近くを通った男が足を止めた。
木工職人だった。
鍋を覗き込む。
「何だそれ」
私は答えた。
「汁物」
男は少し考える。
「いくらだ」
私は黙った。
考えてなかった。
男はもう一度聞いた。
「いくらだ」
私は聞き返した。
「鍋蓋買えるくらい?」
男は固まった。
聞きたかった。
かなり聞きたかった。
男はしばらく黙る。
やがて笑った。
「鍋蓋なら作れるぞ」
私は顔を上げた。
「本当?」
「弟子が十人いる」
「十人分くれたら作る」
私は頷いた。
「作る」
少し考える。
そして付け加えた。
「容器持って来て」
男は瞬きをした。
「容器?」
私は頷く。
「器ない」
それは重要だった。
男は少し驚いた顔をした。
「作るのか」
私は頷く。
「作る」
豆腐も減る。
良い事だった。
私は汁物を器へよそう。
弟子達へ配る。
木工職人も食べた。
皆黙っていた。
少しだけ不安になる。
やがて一人が言った。
「うまい」
少し安心した。
木工職人は頷く。
「これなら売れるな」
私は少し考える。
そして聞いた。
「いくら」
木工職人はパンの値段や屋台の相場を教えてくれた。
私は真面目に聞く。
勉強になった。




