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第27章 ⑤
第27章⑤ 言わなかったら
夜。
子供達は眠っている。
私は火を見る。
イナだけが。
足元で丸くなっている。
私は少し考える。
もし。
カイルが何も言わなかったら。
多分。
私は聞かなかった。
そのまま。
町へ戻るのを見送った。
引き止めなかった。
多分。
それが正しいと思っていた。
でも。
少し違う。
私は小さく息を吐く。
それは。
優しさなんかじゃない。
私は自分から踏み込む勇気が無いだけだ。
だから待っていた。
相手が言うのを。
言わなければそれだけの縁だと。
そう決めていた。
都合が良かった。
私にとって。
私はイナを見る。
イナは薄目を開ける。
そして。
また眠る。
私は少し笑う。
「お前は簡単でいいね」
イナは答えない。
当然だった。
火が小さく爆ぜる。
私は思う。
言ってくれて良かった。
多分一番ほっとしたのは。
私だった。




