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第27章 ④
第27章④ 言葉
商人が帰る。
家の中は静かだった。
ルークも。
サラも。
ニコも。
いつもより静かだった。
私は鍋を見る。
夕飯の準備。
いつも通りにする。
それだけだった。
カイルが立ち上がる。
「みー」
私は振り向く。
「ん?」
カイルは少し俯く。
それから。
まっすぐ私を見る。
「雪、溶けた」
私は頷く。
「うん」
「溶けたね」
カイルは息を吸う。
「ミラが言ってた」
「雪が落ち着いたら」
「町へ戻るって」
私は黙って聞く。
カイルは続ける。
「でも俺は」
「ここにいたい」
「働く」
「畑もやる」
「薪も割る」
少し間を置く。
「置いてください」
家の中が。
しん。
とした。
ミラが目を見開く。
サラも。
ニコも。
じっと見ていた。
私は少し考える。
かなり考える。
そして答える。
「うん」
カイルが顔を上げる。
「え」
私はもう一度言う。
「うん」
「いていいよ」
カイルは何度も瞬きをする。
やがて。
小さく笑った。
「ありがとう」
ミラが小さく息を吐く。
肩の力が抜ける。
私はミラを見る。
「ミラは?」
ミラは少し黙る。
そして頷く。
「同じです」
「私も」
「ここにいたいです」
私は頷く。
「分かった」
それだけだった。
でも。
十分だった。




