閑話 しゃもじ
閑話 しゃもじ
私は板を持つ。
ナイフも持つ。
しゃっ。
しゃっ。
少し削る。
難しい。
もう少し。
しゃっ。
ぬぬぬ。難しい…。
その時だった。
ルークとカイルが来た。
二人とも止まった。
「何してるの?」
私は板を見せる。
「しゃもじ」
二人は首を傾げる。
「しゃもじ?」
私は頷く。
「ご飯を混ぜる」
「こう切る様に返す」
「よそいやすい」
ルークは少し考える。
カイルも板を見る。
「作る?」
私は頷く。
「うん」
ルークは板を持つ。
カイルも板を持つ。
私はナイフを渡した。
しゃっ。
しゃっ。
木屑が落ちる。
ルークは真面目だった。
カイルも真面目だった。
でも。
歪む。
私は少し笑う。
「大丈夫」
また削る。
また削る。
サラも来た。
「なに?」
「しゃもじ」
サラは分からなかった。
でも頷いた。
「しゃもじ!」
ニコも来る。
「しゃもじ!」
イナも来る。
木屑へ顔を突っ込む。
「イナ」
「駄目」
イナは座る。
良い子だった。
多分。
しばらくして。
ルークが言った。
「出来た」
私は受け取る。
少し曲がっていた。
持ち手も太い。
でも。
ちゃんと持てる。
カイルも差し出す。
こっちは少し大きかった。
私は少し笑う。
「ありがとう」
その日の夕飯。
私はルークのしゃもじを持つ。
炊き込みご飯を混ぜる。
切る。
返す。
前よりやりやすい。
私は頷く。
「いい」
ルークが少し笑う。
カイルも笑った。
その日から。
我が家には。
しゃもじが二本になった。




