第24章 ②
第24章② 種
商人は立ち上がる。
「こっちだ」
私は付いて行く。
奥の倉庫。
袋が並んでいる。
木箱もある。
私は少し見る。
多い。
商人は一つ持ち上げる。
「葉物だ」
袋を開ける。
小さな種だった。
私は覗き込む。
商人が言う。
「春に蒔く」
「育つのも早い」
私は聞く。
「食べ方は?」
「茹でる」
「汁にも入れる」
私は頷く。
多分。
ほうれん草。
私は言う。
「これ」
商人は袋へ入れた。
次だった。
「こっちは花が咲く前に食う」
「少し苦い」
私は少し考える。
多分。
菜の花。
私は頷く。
「これも」
商人は笑った。
「二種類か」
私は頷く。
「うん」
帰ろうとした。
ん?
私は止まる。
隅だった。
大きな袋が積まれている。
私は近付く。
「これなに?」
口が少し開いていた。
私は一粒手に取る。
細長い。
殻もある。
私は少し見る。
似ている。
でも、これ籾だよね?
分からない。
私は商人を見る。
商人も見る。
「ああ」
「鳥の餌だ」
私はもう一度見る。
やっぱり似ている。
私は聞く。
「少しだけ欲しい」
商人は首を傾げた。
「鳥は飼ってないだろ?」
私は頷く。
「うん」
「試したい」
商人は少し笑った。
「変わってるな」
小さな袋を持って来る。
私は両手で大きさを作る。
「これくらい」
商人は少し驚いた。
「そんな少しでいいのか?」
私は頷く。
「うん」
「少しでいい」
商人は小さな袋へ入れる。
私は受け取った。
少しだけ。
胸が高鳴る。
多分違う。
でも。
もしかしたら。
そう思うだけで。
少し楽しかった。




