第23章④
第23章④ 温泉
私は戸を開ける。
鍛冶職人だった。
「どうした?」
私はお守りを見せる。
「黒くなった」
職人は一つ受け取る。
表を見る。
裏も見る。
少し笑った。
「壊れてねぇよ」
サラが顔を上げる。
「ほんと?」
「ああ」
職人は頷く。
「銅だからな」
「温泉に入ると黒くなる」
私は頷く。
「やっぱり」
職人が少し驚く。
「知ってたのか?」
私は頷く。
「温泉につけると」
「金属は黒くなる」
職人は笑った。
「その通りだ」
サラは自分のお守りを見る。
ニコも見る。
まだ少し不安そうだった。
職人はしゃがむ。
「壊れたんじゃねぇ」
「ちゃんと毎日使ってる証拠だ」
サラが首を傾げる。
「しょうこ?」
「そうだ」
職人は頷く。
「毎日大事にしてるから」
「こうなった」
ニコがお守りを握る。
少し笑った。
「だいじ」
「そう」
職人も笑う。
私は黒くなったお守りを見る。
前より少し違う。
でも。
嫌ではない。
ルークも首のお守りを触る。
「これも思い出になるね」
私は頷く。
「うん」
職人は立ち上がる。
「また何かあったら呼べ」
私は頭を下げる。
「ありがとう」
職人は手を振って帰って行った。
私はみんなを見る。
首には黒くなったお守り。
みんな同じ色だった。
私は少し笑う。
「お揃い」
サラも笑う。
「おそろい!」
ニコも笑う。
「おそろい!」
イナは尻尾を振った。
意味は分からない。
でも。
嬉しそうだった。
そういえば何か用があったのか?
急に扉が開いた。
「言い忘れた。前に渡した缶切り?使い勝手はどうだ?」
ビックリした。
「うん。大丈夫」
「そうか。また何かあれば声かけてくれ」
職人は帰って行った。
皆で顔を見合わせて笑った。




