表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
157/174

第22章 ➂

第22章③ 内職


私は商人ギルドへ向かった。


商人が私を見る。


「無事だったか」


私は頷く。


「熊」


商人も頷く。


「聞いた」


「生きてて何よりだ」


私は頷く。


「うん」


私は少し考える。


財布を見る。


軽い。


食料は増えた。


でも、お金は増えない。


私は商人を見る。


「仕事ある?」


商人が首を傾げる。


「薬草は雪で無理だぞ」


私は頷く。


「家の中で」


商人は少し考えた。


「内職か」


私は頷く。


「うん」


商人は奥へ入った。


しばらくして布を持って来る。


四角だった。


「袋を縫えるか?」


私は見る。


直線だった。


私は頷く。


「出来る」


商人は針と糸を置く。


「一枚縫ってみろ」


私は座る。


針へ糸を通す。


縫う。


真っ直ぐ。


ずっと真っ直ぐ。


縫い終わる。


商人へ渡した。


商人は表を見る。


裏も見る。


少し止まった。


「綺麗だな」


私は頷く。


「慣れてる」


商人は笑った。


「これなら頼める」


布を重ねる。


「出来高払いだ」


私は頷く。


「やる」


仕事がある。


少し安心した。


私は袋を見る。


それから商人を見る。


「小麦粉」


商人は頷く。


「買っていくか」


私は頷く。


「うん」


小麦粉。


塩。


少しだけ買う。


荷物はまた増えた。


重い。


でも安心だった。


私は家へ向かう。


雪道を歩く。


少しすると家が見えた。


人がいた。


鍛冶職人だった。


私は止まる。


「?」


職人は小さく笑う。


「約束だ」


何かを差し出した。


私は受け取る。


缶切りだった。


私は見る。


裏も見る。


もう一度見る。


「開けられる」


職人は笑った。


「ああ」


少し考える。


肩掛け鞄から取り出す。


ネズミの国の缶。


中を見る。


百円玉。


私は六枚取り出す。


職人へ渡した。


職人は見る。


表。


裏。


首を傾げた。


「金貨か?」


私は首を振る。


「違う」


「百円」


職人は分からない顔だった。


当然だった。


私は百円玉を指差す。


「傷」


首を振る。


「駄目」


今度は周りを指で囲む。


「ここを包む」


そして首を指差した。


「下げる」


職人は百円玉を見る。


私を見る。


もう一度百円玉を見る。


「……傷は付けたくないんだな」


私は頷く。


「大事」


それだけだった。


職人は少し笑う。


「変わった注文だ」


百円玉を返した。


「何個だ?」


私は少し考える。


ルーク。


サラ。


カイル。


ミラ。


ニコ。


そして。


イナ。


私は答える。


「六つ」


職人が止まる。


「犬もか?」


私は頷く。


「家族」


職人は少しだけ笑った。


「分かった」


「出来たら持って来る」


私は頭を下げた。


「お願い」


仕事。


増えた。


缶切りも出来た。


楽しみも増えた。


少しだけ。


冬が楽しみになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ