第21章 ⑦
第21章⑦ 吹雪の夜
食べ終わる頃には、家の中はもっと暖かくなっていた。
周りを見渡す。
狭い。
かなり狭い。
でも暖かい。
おばちゃんが言う。
「狭いけど、今日はこの方がいいねえ」
私は頷く。
確かに。
広いと寒い。
狭いと暖かい。
新発見だった。
食べ終わると、今度は寝る場所だった。
妹と小さい子はもう一緒に座っている。
離れる気は無さそうだった。
お姉ちゃんは困った顔をする。
「すみません」
私は首を振る。
「いい」
兄と男の子は炉の近く。
火の番。
二人はまた無言で頷き合っている。
何故それで通じるのだろう。
男子はそうなのか?
おばちゃんは戸口の方に座った。
「私はここでいいよ」
私は首を振る。
「寒い」
おばちゃんは笑う。
「年寄りは隙間風に強いんだよ」
嘘だと思う。
私は毛布を渡す。
おばちゃんは受け取った。
「ありがとね」
私は頷く。
私はどこに寝るか考える。
すると、おばちゃんが目を細めた。
「あんた、また自分を後回しにする顔してるね」
私は止まる。
顔?
どんな顔だろう。
おばちゃんは溜息を吐く。
「いいかい。火の番をするなら別だけど、寝る時はちゃんと包まりな」
私は頷く。
「うん」
おばちゃんが私を見る。
信用されていない。
何故だろう。
犬と同じくらい信用されていない気がする。
少し納得いかない。
犬が私の足元に来た。
そして丸くなる。
近い。
暖かい。
でも邪魔。
私は犬を見る。
犬は目を閉じている。
寝たふりだろう。
外では吹雪が続いている。
白い音がする。
家の中はぎゅうぎゅうだ。
でも火はある。
温かい匂いも残っている。
子供の寝息もある。
犬もいる。
犬は足元で丸くなっている。
名前は犬。
職業は芋の監視員。
実態は泥棒。
今日は押しくらまんじゅうの中心にもなった。
私は犬を見る。
犬は片目を開けた。
信用できない。
でも。
暖かい。
少しだけ楽しい。
今日は泊まり。
吹雪の夜。
今日の主役は犬だった。




