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第21章 ④

第21章④ 昼ご飯


洗濯物を干し終える。


家の中は少し賑やかだった。


妹が遊んでいる。


小さい子も一緒だった。


木の実を転がしている。


犬もいる。


犬は木の実を追いかけている。


かなり本気だった。


妹が笑う。


小さい子も笑う。


良かった。


私は鍋を見る。


昼にしよう。


今日は簡単だった。


パン。


スープ。


焼いた芋。


それと少しだけ肉。


子供が増えた。


でも足りる。


多分。


私は声を掛ける。


「ご飯」


妹が顔を上げる。


「ごはん!」


小さい子も顔を上げる。


そして固まる。


妹は小さい子の手を掴んだ。


「いっしょ」


私は頷く。


「うん」


小さい子が目を丸くする。


いいの。


その顔だった。


いい。


たくさんは無いけれど。


少しならある。


私は器を出す。


すると入口の方から声がした。


「すみません」


見ると、お姉ちゃんだった。


少し慌てていた。


「この子、お邪魔を」


私は首を振る。


「大丈夫」


妹が言う。


「いっしょ」


小さい子は頷く。


かなり真剣だった。


お姉ちゃんは困った顔をする。


そして私を見る。


「でも」


私は鍋を見る。


「足りる」


多分。


私はパンを切る。


お姉ちゃんはしばらく迷っていた。


やがて言う。


「手伝います」


私は少し考える。


「じゃあ、器」


お姉ちゃんは頷く。


手早かった。


多分、家でもやっている。


器を並べる。


スープを運ぶ。


妹は座って待つ。


小さい子も隣に座る。


犬も座る。


犬は駄目。


私は犬を見る。


犬は尻尾を振る。


駄目。


兄が奥から出て来る。


その後ろに、男の子もいた。


三人のうちの兄の方だった。


何故か少し気まずそうだった。


妹達がご飯に呼ばれたからだろうか。


兄は男の子を見る。


男の子も兄を見る。


少し黙る。


やがて兄が言う。


「薪」


男の子が頷く。


「やる」


私は少し笑った。


こっちはこっちで手伝うらしい。


二人は奥へ行く。


薪を持ってくる。


並べる。


火の近くへ置く。


男の子は黙っている。


兄も黙っている。


でも何となく一緒にいた。


似ているのかもしれない。


多分。


昼ご飯にする。


お姉ちゃんは遠慮していた。


私は器を渡す。


「食べて」


お姉ちゃんは慌てる。


「でも」


「手伝った」


だから食べる。


お姉ちゃんは少し黙る。


そして小さく頷いた。


みんなで食べる。


スープは熱い。


芋も熱い。


小さい子が芋を持って、すぐに離す。


「あち」


妹が笑う。


「ふーする」


妹が芋に息を吹きかける。


かなり真剣だった。


小さい子も真似をする。


二人で芋を冷ましている。


可愛い。


兄と男の子は黙って食べている。


時々、犬を見る。


犬は座っている。


とても良い子の顔をしている。


怪しい。


私は犬を見る。


犬は目を逸らす。


やっぱり怪しい。


その時。


小さい子の手から、焼いた芋の欠片が落ちた。


犬が動いた。 


速かった。


「あ」


小さい子が声を上げる。


犬は芋を食べた。


そしてまた座る。

 

何もしていない顔だった。


私は犬を見る。


犬は目を逸らす。


……。


企んでいた。


外で風が鳴った。


少し強い。


私は入口を見る。


雪が降っていた。


さっきより白い。


おばちゃんが顔を出す。


洗濯のおばちゃんだった。


「降ってきたねえ」


私は頷く。


「吹雪く?」


おばちゃんは外を見る。


少し目を細める。


「これは、吹雪くね」


お姉ちゃんが外を見る。


男の子も見る。


小さい子は芋を見ている。


大事だ。


おばちゃんが笑う。


「まあ、食べ終わる頃には弱まるだろう」


そう言った。


でも。


風はさらに鳴った。


雪が横に流れる。


白い。


入口の向こうが白い。


私はスープを一口飲む。


温かい。


外は寒そうだった。


妹が私を見る。


小さい子も見る。


兄も見る。


私は外を見る。


これは。


帰れるだろうか。


少しだけ、難しそうだった。

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