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第4章 勇者の初期装備①
第4章 勇者の初期装備①
兄が小さく袖を引いた。
振り返る。
「ん?」
兄は市場の奥を指差した。
「行く」
首を傾げる。
「どこ?」
兄は少し考えた。
そして短く言った。
「仕事」
少し目を丸くする。
仕事。
そういえば。
兄は昨日も今日も普通に食べていた。
妹も居た。
犬も居た。
今更気付く。
「どうやって暮らしてるの?」
兄は少し不思議そうな顔をした。
「働く」
当然だった。
少し反省する。
確かにそうだった。
鍋を見る。
兄を見る。
鍋を見る。
兄を見る。
少し考える。
そして頷いた。
「見学していい?」
兄は少しだけ嫌そうな顔をした。
小さくため息を吐く。
そして歩き出した。
その後を追う。
鍋を抱えて。
フライパンも抱えて。
かなり邪魔だった。
だが置いていく気は無かった。
警戒心が強かった。
主に生活用品に対して。
市場を抜ける。
露店を抜ける。
人通りが少し減る。
「どんな仕事?」
兄は少し考える。
そして言った。
「集める」
「何を?」
兄は答えなかった。
代わりに。
町の外れを指差した。
森が見えた。
昨日通った方角だった。
兄は迷いなく歩いていく。
慌てて後を追った。
鍋が揺れる。
フライパンも揺れる。
少し歩きにくい。
でも気分は良かった。
鍋があるからである。
主人公はまだ知らない。
この後。
鍋より先に薬草を見る事になる。




