第3章コルンポップと屋台のおばちゃん➂
第3章 コルンポップと屋台のおばちゃん③
おばちゃんはしばらく固まっていた。
やがて。
大きく息を吐く。
「簡単じゃないだろう」
首を傾げる。
「簡単だよ?」
おばちゃんは頭を抱えた。
なお。
三十分前に初めてコルンを見た。
「まぁいい」
おばちゃんはそう言って笑った。
そして。
出来上がったポップコーンを見つめる。
「これ全部くれるのかい」
頷く。
「交換」
おばちゃんは少し驚いた顔をした。
「何とだい」
辺りを見回す。
そして。
すぐに見つかった。
鍋だった。
かなり使い込まれている。
でも鍋だった。
その隣。
フライパンもあった。
少し小さい。
だがフライパンだった。
異世界二日目。
主人公はまだ知らない。
鍋とフライパンへの執着が少しおかしい事を。
指を差す。
「あれ」
おばちゃんは鍋を見る。
フライパンを見る。
もう一度私を見る。
「本気かい」
頷く。
本気だった。
かなり本気だった。
おばちゃんは吹き出した。
「変な旅人だねぇ」
そうかもしれない。
でも鍋だった。
フライパンもあった。
重要だった。
おばちゃんはしばらく考える。
やがて頷いた。
「持っていきな」
少し固まる。
鍋を見る。
フライパンを見る。
おばちゃんを見る。
もう一度鍋を見る。
「いいの?」
「いいよ」
おばちゃんは笑った。
「子供が喜びそうだ」
ポップコーンを見る。
少し嬉しくなった。
良かった。
それなら良かった。
鍋を抱える。
フライパンも抱える。
かなり嬉しかった。
なお。
主人公はまだ知らない。
この後。
兄の仕事を見学する事になる。
鍋を抱えたまま。




