第18章 ②
第18章② 特売
今日は特売だな。
多分。
商人は私の前で止まる。
少し息が上がっていた。
「みー!」
「特売?」
商人が止まる。
そして言った。
「何故分かった」
私は少し考える。
商人が、走ってくる。
嫌な予感はしない。
特売。
だからだった。
商人は何とも言えない顔をした。
やがて頷く。
「特売だ」
やはりだった。
私は頷く。
「行く」
話は終わった。
商人は少し嬉しそうだった。
おばちゃんが笑う。
「釣れたね」
「釣れた」
商人も頷いた。
私は少し納得いかなかった。
しかし。
特売。
良い響きだ。
大事な事だった。
私はカートを押す。
商人が先を歩く。
妹が聞いた。
「どこ?」
「特売」
妹は頷いた。
分かったらしい。
多分。
しばらくして。
商会へ着く。
中には色々積まれていた。
布。
糸。
毛皮。
そして。
羊毛がある。
私は止まる。
白かった。
ふわふわだった。
私は触る。
うん、良い。
商人が胸を張る。
「どうだ」
私は答える。
「良い」
商人は満足そうだった。
兄も羊毛を見る。
妹も見る。
犬は匂いを嗅いでいた。
私は毛糸を見る。
こちらも良かった。
私は聞く。
「いくら?」
商人は笑った。
「みー価格だ」
良い商人だ。
私は思う。
冬本番前。
買うしかない。
私は値札を見る。
これの半額以下なら激安。
私は羊毛を見る。
毛糸を見る。
羊毛から、毛糸と布まで。
ここからここまで頂くわ。
一度言って見たかった。
あのセリフ。
少しだけ。
商人は知らない。
私は言った。
「全部」
商人が止まる。
「全部?」
私は頷く。
「全部」
商人は羊毛を見る。
毛糸を見る。
私を見る。
「本当に全部か」
「うん」
冬到来。
必要だった。
兄が驚く。
妹も驚く。
犬は羊毛へ顔を埋めていた。
関係無かった。
商人は少し笑う。
「分かった」
話は終わった。
カートが山になった。
毛糸、布、羊毛。
良かった。
大事な事だった。




