第17章 ➂
第17章③ 大樽
商人に連れられて倉庫街へ来ていた。
相変わらず大きかった。
荷車。
倉庫。
樽。
人。
全部多い。
私は少しだけ商人を見る。
やはり便利だなぁ。
契約は大事だ。
商人は嫌そうな顔をした。
私はニヤニヤ。
しばらく歩く。
そして止まった。
「これだ」
私は見上げる。
大樽だった。
かなり大きい。
妹なら三人くらい入りそうだった。
兄も見上げる。
「でかい」
私は頷く。
「でかい」
商人は腕を組んだ。
「どうだ」
私は樽の周りを歩く。
一周する。
二周する。
触る。
叩く。
商人が聞く。
「何してる」
「確認」
商人は頷いた。
確認大事。
私は樽を見る。
多分入れる。
兄も見ている。
「入れるね」
「入れる」
商人が言う。
「だから何に使うんだ」
私は答える。
「風呂」
商人は顔を覆った。
まだ納得していないらしい。
私は樽を見る。
少し考える。
そして聞いた。
「切れる?」
商人が止まる。
「切る?」
「上」
私は樽の上を指差す。
「少し」
商人は嫌な顔をした。
「新品だぞ」
私は少し考える。
「古いのは?」
商人はもっと嫌な顔をした。
あったらしい。
良かった。
私は続ける。
「穴も欲しい」
商人は黙った。
兄も黙った。
私は樽を指差す。
「下」
商人が聞く。
「何でだ」
私は答える。
「排水」
商人は天井を見た。
空だった。
やがて聞く。
「風呂ってそんなに面倒なのか」
私は頷く。
「大事」
商人は深く溜息を吐いた。
そして言った。
「職人呼ぶか」
私は頷く。
良かった。
風呂へまた一歩近付いた気がした。




