表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
110/176

第17章 ②

第17章② 樽


翌日。


私は町へ来ていた。


いつもの二人と1匹。


道が出来てからは大体一緒だ。


違う事が一つだけある。


私は風呂の事を考えていた。


兄が聞く。


「まだ考えてるの?」


「考えてる」


兄は頷いた。


「好きだね」


「好き」


湯船。


肩まで浸かりたい。


私は聞く。


「町に風呂ある?」


兄は頷く。


「あるよ」


私は少し驚く。


「あるんだ」


「ある」


私は少し期待する。


「毎日入れる?」


兄は首を振った。


「無理」


駄目だった。


「遠い?」


「遠い」


「高い?」


「高い」


私は頷く。


終了。


兄も頷く。


終了らしかった。


私は空を見る。


冬。


寒い。


風呂が欲しい。


誰かが言ってた。


諦めたらそこで風呂終了だ。


ん?違うな。


試合終了だ。


その時だった。


見覚えのある声が聞こえた。


「おう」


商人だ。


私は頷く。


「こんにちは」


商人も頷く。


「今日は何だ」


良いところに...。


そして聞いた。


「樽ある?」


商人が止まる。


「樽?」


「樽」


商人は少し考える。


「あるぞ」


良かった。


商人は続ける。


「酒樽か?」


「大きい?」


「大きいぞ」


「どれくらい大きい?人入る?」


商人が止まる。


兄も止まる。


妹だけは犬を撫でていた。


私は妹の頭を撫でる。


商人が聞く。


「何に使うんだ?」


私は答えた。


「風呂」


商人は黙った。


兄も黙った。


しばらく誰も喋らなかった。


やがて商人が言う。


「……風呂?」


「うん。風呂」


商人は天井を見た。


そして深く溜息を吐いた。


「見に来るか」


「うん」


風呂へ一歩近付いた気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ