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第16章 ⑧

第16章⑧ 試作品


数日後。


私はいつものようにギルドへ来た。


兄もいる。


妹もいる。


犬もいる。


カートもある。


平和だった。


その時


「来たか!」


商人だ。


朝から元気だな……。


商人は満面の笑みだった。


その横には薬師もいた。


少し疲れた顔。


商人が胸を張る。


「出来たぞ!」


私は止まる。


「何が?」


「カレーだ!」


おおおお?


早かった。


本当に早かった。


薬師が呟く。


「三日寝てない」


商人は聞いちゃいない。


その後。


器が置かれた。


確かに茶色かった。


私は少し見る。


匂いを嗅ぐ。


かなり近かった。


私は驚く。


薬師が言う。


「南方香草だ」


私は首を傾げる。


「香草?」


薬師は頷いた。


「薬草でもある」


なるほど。


胃薬だな。


多分。


薬師は少しだけ嬉しそうだった。


商人が聞く。


「どうだ!」


私は一口食べる。


ぱく。


止まる。


商人も止まる。


薬師も止まる。


ギルマスも見ていた。


私は少し考える。


「美味しいと思う」


商人が拳を握った。


「よし!」


薬師も少しだけ笑った。


その時だった。


私は続ける。


「でも」


二人が止まる。


私はもう一口食べる。


そして言った。


「カレーじゃない。何か違う」


商人が固まった。


薬師も固まった。


私は続ける。


「でも美味しい」


商人が机へ突っ伏した。


薬師も天井を見た。


何故だろう。


私は正直に答えただけだった。


その時妹が食べる。


ぱく。


止まる。


そして言った。


「からい」


私は頷く。


辛かった。


少し。


兄も食べる。


「美味しい」


私は頷く。


美味しかった。


薬師が聞く。


「何が違う」


私は少し考える。


「んー…分からない」


薬師が固まった。


商人も固まった。


ギルマスは笑った。


受付嬢も笑った。


私は続ける。


「でも違う」


薬師は頭を抱えた。


「一番困る答えだな」


私は頷く。


そうかもしれない。


私は器を見る。


そして言った。


「丸ネギ」


薬師が顔を上げる。


「丸ネギ?」


私は頷く。


「もっと」


薬師は止まった。 


商人も止まった。


私は続ける。


「リンゴも」


妹が頷く。


「甘い方が好き」


薬師は商人を見た。


商人は薬師を見た。


二人はしばらく黙った。


やがて薬師が言った。


「第四回だな」


商人も頷いた。


「第四回だ」


私は頷く。


良い事だった。


完成したら貰える。


多分。

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