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第16章 ⑦

第16章⑦ 薬師


商人は早かった。


本当に早かった。


翌日。


私はいつものようにギルドへ来た。


兄もいる。


妹もいる。


犬もいる。


カートに乗せてくる。

最近いつも一緒だ。


ギルドへ入る。


年配。


白衣。


誰?


机へ何か並べている。


葉っぱ。


根。

粉。


色々だった。


私は少し考える。


あー薬師か。


多分。


その時商人が私を見付けた。


「来たか!」


早かった。


こわっ


私は頷く。


薬師がこちらを見る。


かなり真面目な顔だった。


「君がカレー?の持ち主か」


「うん」


「少し話を聞きたい」


嫌な予感がした。


商人が言う。


「現物は?」


商人を見る。


薬師を見る。


ギルマスを見る。


受付嬢を見る。


私はポケットを探る。


そして小さな欠片を取り出した。


「足りる?」


薬師は震える手で受け取った。


「十分だ」


大袈裟。


薬師は匂いを嗅ぐ。


止まる。


もう一度嗅ぐ。


また止まる。


「分からん」


否定が早い。


商人が叫ぶ。


「早くないか!?」


薬師も頷く。


「だが分からん」


商人が頭を抱えた。


薬師は欠片を見る。 


削る。

舐める。

止まる。

水を飲む。

また舐める。

止まる。

かなり真剣。


やがて薬師が言った。


「薬草は入っている」


商人が身を乗り出した。


「何だ!」


薬師は答える。


「分からん」


商人が机へ突っ伏した。


受付嬢が笑っていた。


薬師は続ける。


「だが」


皆が見る。


薬師は欠片を見ながら言った。


「身体には良さそうだ」


私は頷く。


「やっぱり」


商人が叫んだ。


「何で分かる!」


私は答える。


「胃薬みたいな匂い」


薬師が止まった。


そして少し考える。


やがて頷いた。


「確かに」


商人も止まった。


ギルマスも止まった。


受付嬢だけ笑っていた。


薬師は真面目な顔で言う。


「再現したい」


商人も頷く。


「再現したい」


私は頷く。


良かった。


頑張って。

私は言った。


「完成したら頂戴」


薬師が止まる。


商人も止まる。


ギルマスは天井を見た。


私は続ける。


「食べたい」


薬師は商人を見た。


商人は薬師を見た。


二人はしばらく黙った。


やがて商人が呟く。


「主婦だな」


薬師も頷いた。


「主婦だな」


私は頷く。


当然だった。


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