第16章 ④
第16章④ カート
翌日
私は洞窟の奥を見る。
カート。
転移した時に使っていた物だ。
今は隅に置かれている。
使えるか?
道も出来た。
いけそうだ。
多分。
兄も見る。
「使うの?」
私は頷く。
「使う」
妹が反応した。
「のる!」
早かった。
私は少し笑う。
「乗る?」
妹は元気良く頷いた。
兄も少しだけ興味があるらしい。
私は荷物を降ろす。
兄が聞く。
「大丈夫?」
私は頷く。
「多分」
ガタガタはするが。
兄は少し不安そうだった。
妹は既に乗っている。
準備が早かった。
犬も近付いてきた。
乗りたいらしい。
私は答える。
「駄目」
犬は残念そうだった。
その後。
兄も乗った。
妹の隣だった。
私は持ち手を握る。
そして押す。
動いた。
ちょっとデコボコだけど、止まらない。
普通に進む。
おおおおお。
道だった。
凄かった。
兄も驚いていた。
「速い」
妹は楽しそうだった。
「はやーい!」
私は頷く。
速かった。
そのまま町へ向かう。
道は歩きやすかった。
カートも進む。
木の根も無い。
石も無い。
ただ、デコボコしてるだけ。
私は少し思う。
皆凄かった。
本当に。
やがて町へ着く。
カートはそのまま進む。
町の人が見る。
また見る。
私は少し首を傾げる。
何故だろう。
そのままギルドへ入った。
ガラガラ。
扉が開く。
ギルマスが顔を上げた。
そして止まった。
「何だそれ」
私は答える。
「カート」
「荷車だろ。」
当然だった。
私は頷く。
兄が言う。
「引っ掛からなかった」
妹も頷く。
「はやかった!」
ギルマスはカートを見る。
私を見る。
兄妹を見る。
そして道を見る。
入口から見えていたらしい。
しばらく黙る。
やがて言った。
「その為の道だったな」
私は頷く。
「うん」
ギルマスは溜息を吐いた。
何故だろう。
その時だった。
私は兄を見る。
「兄」
兄は少し考える。
そしてギルマスへ頭を下げた。
「ルークです」
妹も元気良く手を上げた。
「サラ!」
ギルマスは頷く。
「そうか」
そして私を見る。
「名前あったのか」
私は首を傾げた。
「あるよ?」
ギルマスは少し疲れた顔をした。
何故だろう。
その時だった。
ギルドの扉が勢い良く開いた。
バンッ!
皆が振り向く。
見覚えのある顔だった。
商人だ。
商人は私を見る。
カートを見る。
兄妹を見る。
そして叫んだ。
「待ってくれ!」
私は止まる。
ギルマスは頭を押さえた。
「今日も厄日か……」




