第16章 ➂
第16章③ カレー祭り
当日。
朝から人が集まっていた。
冒険者。
鍛冶職人。
木工職人。
魚屋のおじさん。
おばちゃん達。
思ったより多かった。
私は人数を数える。
途中で諦めた。
多いな。
ギルマスが手を叩く。
「よし。始めるぞ」
皆が頷く。
そして動き出した。
石を退ける。
木の根を切る。
邪魔な木を倒す。
人が多い。
進むのも早かった。
良かった。
私は洞窟へ戻る。
カレーを作らないといけない。
おばちゃん達も付いて来た。
「何すれば良いんだい?」
私は答える。
「皮」
当然だった。
私は皮剥き器を取り出す。
おばちゃん達が止まる。
「それ例のやつかい?」
私は頷く。
「うん」
鍛冶職人が胸を張る。
「俺が作った」
木工職人も胸を張る。
「持ち手は俺だ」
二人とも偉そうだ。
何故だろう。
おばちゃんが笑う。
「はいはい」
その後。
カルト芋の山が運ばれてきた。
人参もある。
かなりあった。
兄が止まる。
「多いね」
私は頷く。
「多い」
おばちゃん達が座る。
皮を剥く。
人参を切る。
兄も手伝う。
私は肉を切る。
妹は犬と遊んでいた。
平和だった。
しばらくして。
鍋へ材料を入れる。
ぐつぐつ。
ぐつぐつ。
良い匂いだった。
カレーの箱を取り出す。
削る。
今日は人が多い。
鍋へ入れる。
混ぜる。
混ぜる。
また混ぜる。
良い感じだった。
その頃。
外では。
「こっちだ!」
「石動かせ!」
「木は俺達がやる!」
賑やかだ。
私は少し笑う。
その時、魚屋のおじさんが顔を出した。
「まだか?」
私は答える。
「まだ」
おじさんは残念そう。
そんなに楽しみか。
それからしばらくして。
ギルマスが来た。
汗を拭いている。
「どうだ」
私は鍋を見る。
そして頷く。
「出来た」
ギルマスも頷いた。
「よし」
外へ出る。
ギルマスが叫ぶ。
「飯だ!」
歓声が上がる。
皆が集まる。
皿を持つ。
並ぶ。
私はよそう。
またよそう。
さらによそう。
やがて全員へ行き渡る。
静かになった。
食べているらしい。
私は少し不安になる。
その時だった。
冒険者が言った。
「美味ぇ」
別の冒険者も頷く。
「美味いな」
おばちゃんも笑う。
「これは人気出るよ」
魚屋のおじさんは黙々と食べていた。
鍛冶職人はおかわりへ向かう。
木工職人も向かった。
早かった。
流石カレーは飲み物。
私は少し安心する。
良かった。
昼過ぎ皆が立ち上がる。
ギルマスが声をあげた。
「休憩終わりだ」
冒険者達が嫌そうな顔をした。
「もう少し休ませろ」
「腹いっぱいだ」
ギルマスは頷いた。
「分かる」
そして続ける。
「でも働け」
皆が笑った。
その後。
また道作りが始まった。
夕方
木の根は消えていた。
石も消えていた。
邪魔な木も消えていた。
木工職人が持って帰ったらしい。
何故だろう。
私は完成した道を見る。
歩いてみる。
歩きやすかった。
とても。
兄も歩く。
妹も走る。
犬も走る。
私は頷く。
良い道だった。
その時だった。
冒険者が言った。
「また何かあったら呼べ」
別の冒険者も頷く。
「カレー付きでな」
私は少し考える。
そして頷いた。
「うん」
良い人達だった。
多分。




