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キニいッタ  作者: 赤石石榴
4/7

3話 夢の声を求めて

誤字脱字があれば、教えてくださると助かります。

是非最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※グロ要素あり

奏が来なかったのが疑問だった。まさか、本当に昨日の夕方撥ねられたのかとも思ったが、ニュースもなければ、学校でも奏の名前は一度も出てこなかった。そして、もう一つ疑問が浮かんでいた。奏の席がなかった。いや、席だけではなかった、ロッカーも靴箱も名前が無くなっていて、次の出席番号のはずだった野本が奏の出席番号になっていた。まるで、奏は世界から追い出されたみたいな、最初からいなかったみたいな、存在を否定されているみたいだった。


俺は家に帰った。特に何もすることがなかった。どうして奏が来なかったのか考えたが、昨日見た謎の視界に関係があるとしか思えなかった。もう一つの疑問の否定された奏の存在についてはあまりに情報が少なすぎて、考える由がなかった。そこで、昨日見た謎の視界を振り返ることにした。まず場所は車通りの多い横断報道だった。すぐ近くにスーパーとその向かいにカラオケがあったのを覚えている。奏は買い物袋を持っていたからスーパーの帰りだろうと考えた。それと、電線から見下ろすような視界だった。最初は鳥の視界かとも思ったのだが、鳥の視界だと普通、人の視界とは大きく異なるから、さすがに気付くはずだ。それなのに、人の見え方と全く同じであったから鳥ではない、また別の視界だと判断した。そして、横断歩道を渡っている奏を、信号を無視したトラックが轢いたのだ。もしその場所が何処なのか分かれば、痕跡の有無で判断できるが、初めて見た地形で場所が何処なのか全く分からない。というのが、現状である。けれど、万が一にも場所を把握できたとしても俺が行ったところで何も変わらない。


だからもういいじゃないか……。

そういう未来だったってことじゃないか。奏はもう死んだ。もうこの世にはいない。もし救えるなら救ってやるよ。だから救い方を教えてくれよ。どうせないことぐらい俺にでも分かるよ。結局は運なんだよ。いつ死ぬかなんて誰にも分からない。


『たすけて…。』


入学式の日の夢の中で奏は確かにそう言っていた。

なんで俺なんだ。なんでなんで……。

アルマラ様と関係があったからなのか?

いや違う。だってあの夢を見たときはまだアルマラ様の石の傍らを持っていなかった。

どうして、夢の中で奏の声が聞こえたんだろう。

奏、お願いがあるんだ。またそのどうしようもないぐらいに俺を衝動的に動かしてくるふざけた声を聞かしてくれ。


もう一度『たすけて…。』と。


目が覚め学校に行く準備をして家を出た。夢の中で奏の声は聞けなかった。だから、物凄く惜しいと思った。タオルを返すと言いに来た奏にもっと話しかけていればよかったと。学校は物凄く長く感じた。放課後になり何の部活もしていない俺は帰る選択しかない。そう思いながら教室を出ようとしたときだった。

「今日カラオケ行かね?」

「何処のカラオケ行く?」

「石川駅のすぐ近くスーパーあるだろ?そこの近くに新しくカラオケできたんだって。」

「スーパーの近くのカラオケって言ったか⁉場所を教えてくれ。」

周りの会話の中に気になるワードが出てきて思わず、勢いで話に割り込んだ。

「お前さんもカラオケに行きたいのか?」

「あ、いやえっと…スーパーにちょっと珍しいものが売られてるんだよ。」

「マジかよ、後で行ってみようかな。あ、そうそう場所は石川駅から下りればすぐだから。」

「分かった、ありがとう。」フレンドリーな奴でよかったと今更ながら安堵した。


俺はすぐに石川駅まで行き、例のスーパーまでやってきた。運がいいことにビンゴだった。あの時見た光景と全く一緒だった。横断歩道もちゃんとある。奏がいなくなって二日目だが横断歩道には何の痕跡もなかった。周りを見回すとコンビニもある。コンビニで店員に近くで事故があったか聞いてみたが、無駄だった。他の人たちにも聞いてみたが、誰も知っている者はいなかった。

やっぱりだめなのか。いや、こんなことで諦めてたまるか。何かあるはずだ。

アルマラ様の力を借りれば、突破できるかもしれない。時間を司る神なら、時間を操れる。つまり過去に戻れば助けられる。俺はすぐに行動に移した。赤色と青色どっちの石を使えばいいのか分からないけれど、この場所でちょうど夕方になる前に戻ってくれと念じた。すると、明らかに空の天気が変わっていた。夕焼け空だったのに、青く澄んだ空になっていた。腕時計を確認すると、昼の二時だった。そして、青い石は真っ白になっていた。


俺の視界の中に奏が入った。スーパーの中に入って行った。ようやく見つけることができた。初めての思いだった。奏を見たとき涙が溢れ出そうな程全身が言うことを聞かなかった。鼓動が早くなったり、全身が熱くなったりした。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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