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キニいッタ  作者: 赤石石榴
3/7

2話 アルマラ様

誤字脱字があれば、教えてくださると助かります。

是非最後まで読んでいただけると嬉しいです。

※グロ要素あり

俺はどうやら、またこの世界に来てしまったようだ。自分の身体と重なっているもう一つの自分の身体を動かすしかできなかった。俺は校門を出て後ろを振り返ると、校門を越えてすぐのところで棒立ちして全く動く気配を見せない俺の本物の身体がある。

時間が限られているかもしれない。

早く女の子を助けに行かなくては……。五人の不良がさっきの真後ろにいた可愛い女の子を囲み抑えつけている。俺は女の子を抑えつけている不良の手をどかそうと、手を伸ばした。

「うわぁぁぁああぁぁ。」

十五年生きてきた中で最大の驚きだった。俺が手を伸ばした時、手とは思えないようなものが視界に入った。黒紫色のごわごわした化け物のような腕だった。先端には真紅色の鉤爪が二つ付いていた。自分の身体を確認しようとしたが、自分のやるべきことを思い出し作業に取り掛かった。

不良の手をどかし、女の子を助けることが出来たが三つ問題を起こしてしまった。一つ目は慣れていない身体だったからこそ、力の加減を制御できなかった上に、鋭く大きな鉤爪がある要因から、不良の腕を引っ搔いてしまい重傷を負わせてしまった。二つ目の問題は不良の手をどかした時に女の子がずるっと倒れてしまい、自分の足にも付いていた鉤爪で女の子の太腿を擦ってしまった。その結果かなり出血している。俺は女の子を校門まで運び、慌てて俺の鞄からタオルを出し止血しようとした。三つ目の問題はこの後、起きたのだ。正直全く予想をしていなかったのだ。女の子に途轍もなく迷惑をかけていることに…。


前回と同様に自分の視界が不意に本物の俺の身体の視界に変わる。そして、時間が動き出した。周りの反応はすぐに分かった。

「あれ、あの子瞬間移動したよね……?」

「絶対瞬間移動したよ」

「俺の目どうかしちゃったのかな。はは……。」

さらに、女の子はスカートを捲り上げられ、その上俺の名前が小さく書き込まれたタオルを太腿の上に置かれている状況だ。

ごめんなさい。無性に謝りたいが、謝れば余計に混乱を招くだろうなと冷静に判断し、結局何もできずに、先生が来るのを待っていた。

女の子は自分の怪我に気付くまでに少し時間がかかった。そして痛そうにしながらも、涙目になりながらもスカートの丈をゆっくりおろしていた。タオルは太腿に当てたままで、地べたに座り込んでいる。周りを見回していると、女の子は俺の方を見てきた。俺も同じことをした。陽光に照らされ艶のある綺麗な白い肌を見ているとドキッとした。思わず視線を背けると、先生がすぐそこまで来ていた。一言も会話が出来なかったけどまた会えるといいなと思った。

入学式も無事に終わった。けれど相変わらず、朝の瞬間移動の話は絶えない。そして、あの子はと言うと、保健室に行った後、無事に式に出ていた。俺がこのことを知っているのも、あの子と同じクラスになれたからだ。名前は二宮奏、趣味は友達と喫茶店巡りらしい。いつか、俺も誘ってほしいと思った。何だかんだで、自己紹介が終わり、帰宅の時間になった。俺はすぐに帰ろうとしたのだが、後ろから名前を呼ばれた。

「水谷君ちょっと待って。」

聞いたことのある声だった。後ろを振り返ると、そこには二宮奏が立っていた。

「えっと…何か用かな……。」

「朝貸してくれたタオルって水谷君のだよね…?と言うか気付いたらあったというか、朝のことはよく覚えてないの、ごめんなさい。それでね、このタオル汚れちゃったから今度新しいのを買って返すね…。」

「別にそこまでしなくていいのに。そのタオルはあげるし、新しいのも必要ないよ。」

そもそもの話、俺がもっと丁重にしていれば、こんなことにはならなかったし、結局は俺が謝らなきゃならない。口には出さないが、ちゃんともう一度謝っておこう、ごめんなさい。

「ありがとう、じゃあ、私はそろそろ行くね。」

俺は小さくうん、と頷いた。そして、俺は学校を後にした。


家に着いた。

両親は二人とも仕事でいない。家の鍵を開けて中に入った時、また奇妙な声が頭に響いてきた。


『アカ、い石モト、れ。』


赤い石が何のことかはすぐに分かった。アルマラ様の社がある少し大きめの部屋がある。俺は荷物を置いてその部屋にすぐに向かった。社に奉られた赤い石がある。俺の今持っている青い石と同じサイズで、同様に紐が通してある。赤い石を躊躇いもなく手に取った。


『コレ、でフウイ、んガ、トケタ。コレカ、らナナネン、石を、ジユう、にツカってイイ。カワリ、にオマエの命奪ウ、ウバう。奪ウ。』


俺は絶句するしかできなかった。この声はきっとアルマラ様だ。俺は自由に時間を止めることができるようになった代わりにあと、七年しか生きられないということだと解釈したが、あまりにめちゃくちゃだ。頭が混乱し整理が出来ていなのに、急に持っていた青い石が光だし、異変が生じる。いきなり頭痛が来る。すごく痛い、立っていられないくらいだ。目を開けると、別の風景に変わっていたのだ。車通りの多い道路だ。そもそもその状況を見ている所がおかしい。電線の上から見下ろすような視界なのだ。監視カメラの視界でも見ているのかと思ったが、ちらちらと視界が動くからすぐに違うと気付いた。考えられるのは鳥の視界だと予想はした。だが、この風景を見ても変わったところが何もない。だが五分程経つと様子が変わった。買い物袋を持った奏が横断歩道を渡りだした。そして、信号無視をしたトラックに撥ねられ、夕焼けの陽の明かりと共に全身を真紅に染め、奏は息を絶えた。

俺は何かの悪い夢だと思いたかった。


次の日奏は学校には来なかった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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