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宣戦布告~さぁ地球侵略だ!!~

ちなみに男と結婚したのはジェニファーの趣味としか言いようが無い…

しかし、男には経済面の才能はあったようである。当時は投資家として名を馳せていたらしく。地球の勝ち組の一人だった。彼はジェニファーに協力して侵略時に来るであろう大恐慌に備えていた。

 つまるところ世紀のインサイダー取引をしようとしたのである。大恐慌が来た時に有り金全部を底値になった株価で使い、株を大量(天文学的)に買い占めようと画策したのである。

そして帝国が地球を侵略した後に帝国政府が地球の株式市場の回復を行い、株価を回復させるというシナリオを彼は考えたのだ。この壮大な計画は一応採用されたが実現するための資金と計画は男の手を離れてしまった。 


この件に関しては目ざとく聞いていた青葉も便乗する気が起きたらしく、準備を始めることになる。


 ここから重要な話になっていくがハワイでの会談の真の目的は友好を深めるための出会いの場ではない。真の目的は地球に対しての破壊工作をどこまで行うかであった。話し合いは終始和やかに行われた。

 ジェニファーの背後に控えていたアルゴニア王国という国はアメリカを狙っていた。これを認めさせるために当初狙う予定だったイタリアを諦めたほどである。そしてアルゴニアはアメリカを本気で占領するために工作員を大量に派遣して無血占領を試みていたが二つの意味で無理であると考えるようになった。


①アメリカは正義を重んじており、奇襲や不意打ちでは国民感情を逆なでして反って抵抗を強めさせる可能性が高い。その場合国民自身が銃器を所持しているので大変である。

②アメリカは世界のリーダー国である。容易には降伏しない可能性が高い、また、降伏しても奇襲や不意打ちでは正当な理由で負けたことを地球の他の国に認めさせられない。


 これらのこともあってアルゴニアは裏工作の方向性の転換を狙っていた、ここでアルゴニアが味方として引き込もうと考えたのがミレトスである。ミレトスは日本に固執している。また、ミレトスの工作員の一人であるミラは現地協力者と『ねんごろ』な関係なので比較的理解を得られやすいと考えたのである。


 これはミラたちにとっても僥倖だった。なぜならばアメリカが正面から正々堂々と完膚なきまでに負けてくれれば日本を無血占領出来る可能性が高くなると読んだのである。


 これら両国の思惑も合わさり、『非人道的な破壊行為はしない。』『宣戦布告は地球側から』といった取り決めが成された。これはすぐさま他の国及び情報部に伝わり、即正式採用された。


 その後、青葉とミラは東京で地球侵攻が始まるまでに親密な関係を強めるようになった。デートを数回繰り返した後に青葉の両親に挨拶を済ませて結婚をしたのである。


 ちなみに余談であるがミラさんの本名はユスティアであった。髪の色はブルーで肌は白人に近いのが本当の姿である。(白人とはいっていない)


 そして少し時がたった後…それは突然に起きた。


 急転直下である。その日も普通の一日であり、世界は普段通りであった。違ったのは全ての音声を介して他人と通話の出来る電子機器全てが突然ノイズのようなものを捉えた事である。(テレビ、ラジオ、パソコンなど)

 それはノイズの後に音楽が流れ、映像も同時に流されていた。映像には赤を基調とした旗にドラゴンのような鳥?が描かれていて絵の下にS・P・Q・Aと文字が書かれていた。

 そして人物が映し出された。人物は肌が青緑で髪が白く、ファンタジーで見る老エルフだった。


「スゲー何かのイベント?」


そんな声を渋谷辺りにいた若者が大画面のモニターを見て言ったかもしれない。


 だが映画ではない、断じて生易しいものでは無かった、何故なら世界同時に全ての電子機器がである。

そして若者直ぐに気づくのだ。「あれ?俺のスマートフォンも…」


 その日世界は大混乱である。特にアメリカ政府の驚きは常軌を逸したに違いない。世界最高の技術を持っている国の全ての国家の中枢部の電子機器とモニターが映像を映し出していたのだから…(オフラインだろうとお構いなしであったのは帝国の不注意であった。)


 軍事的恫喝とパフォーマンスとしては大成功だったが一歩間違えれば地球の無血占領に成功する可能性があった行為である。その軽率すぎる行為に気付かない。そこが地球人から見て彼らの常識が人知を超えるものだったのが理解できるだろう。


しかし、降伏要求として突きつけた条件が地球人の冷静な判断力を奪った。要約すると以下の通りである。


①国民主権の破棄

②武装する全ての組織の武装の解除を要求する。

③最低でも国民の三分の一以上の宇宙への移住

④各国は占領後、自治権を与えられるのみとする。

⑤保有する文化、技術、人材等の重要な要素は全て要求が有りしだい提供する義務を負う

⑥これらを全て認めた上で無条件降伏を要求する。


これらにアレルギーでもあるかのように反応する国が地球には多すぎたのだ。


 だがそれでも地球が戦争に踏み切るのには無理がありすぎた。何せ日本もそうだが夜になった瞬間、絶望しか地球人類には感じられないほど圧倒的絶景が空に映し出されたのである。


 夜空に大量の軍艦が地球の周りに数えるのが馬鹿馬鹿しいほど浮いていた。しかも肉眼でも見えるように帝国側は艦船を配置していたのである。さらに艦船を地球が領空に対して曖昧なルールしか持っていないのを良いことに地球に降下するような素振りを見せて挑発を繰り返していた。


 ここまでやると全面降伏待った無しに思えた…だが帝国は一計を投じる。それは友好使節団などという名目でアメリカ代表を自分たちの艦船に呼び寄せたのである。そして自分達の自慢の技術だと言って地球では第一次世界大戦レベルの加工技術で作られた艦船のボディーを見せたのだ。

 見る人が見れば分かるレベルの稚拙な鉄板で作られた軍船である。それを見たアメリカ代表は『見たいものしか見れない人に成り下がってしまう』のである。


こうしてアメリカ政府は帝国に宣戦布告することを決めたのである。


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