アメリカ侵攻作戦(前編)
アメリカ政府の立てた作戦は核ミサイルさえ打てれば帝国の大艦隊を撃滅出来るという考えに基づいていた作戦である。確かに理論上は核ミサイルどころか通常ミサイルでさえ直撃すれば帝国の艦船は撃沈できるのは自明であった。しかも、空を埋め尽くす量とはいえ、アメリカの保有する核とミサイルを使用すれば問題なく撃滅できるというシュミレーションまで見せられたので大統領に本気で開戦を決意させるには充分であった。
この時点で未知の帝国の力が脅威だという冷静な意見は聞かれなかった。また、自国の電子機器が乗っ取られていたという事実も閣僚間から聞かれなかった。
理由としては以下のことがあったからと推測される。
①帝国が交渉期間を理由に妨害電波等を止めていた。
②そもそも乗っ取られた原因が理解できない。まぐれなのでは?という希望的観測まで出てきていた。
③帝国のスパイが積極的に情報をリークしていた。しかも有利な材料ばかり耳に入るようにしていた。
④国民主権や『国民の武装の権利』などアメリカ建国以来の精神の全否定はアメリカとしては受け入れられない。
⑤北朝鮮、IS等が発射したミサイルが何故か帝国の艦船に衝突して炎上した映像がネットに挙げられて国民の士気が盛り上がっていた。
これらがアメリカ政府の背中を後押ししたのである。以下アメリカ大統領演説
副大統領,下院議長,上院議員各位,下院議員各位
~年~日この日は醜行の日として生きつづけるでしょう。アメリカ合衆国は、突然かつ意図的に帝国の宇宙軍による軍事的恫喝を受けました。
合衆国はかの国と平和な関係にあり、帝国からの懇願に沿って、宇宙における平和維持を期待して帝国政府および総参謀総長と交渉している途中です。
しかし、彼らが突きつけてきた降伏条約なる内容は我がアメリカ合衆国の建国以来の伝統を踏みにじるものであり、我々には到底受け入れることなど出来ません。
彼らはこの降伏条約を受け入れないのであれば実力行使もいとわないと言ってきています。
帝国から地球までの距離を考慮する時、今回の攻撃が何十年も前から、あるいは何百年も前から意図的に計画されたものであることは明らかであることが記憶されるべきです。
その間、帝国政府は意図的に、地球との連絡を取ろうとせずに自らの存在を隠蔽して合衆国を欺むこうと努めてきたのです。
そして準備が整うと自らの姿を現し降伏勧告などという軍事的恫喝を行い!!我々地球人の土地を奪おうとしているのです。
私は誠に多くのアメリカ人の命が奪うことになることを深い悲しみをもって皆さんに報告しなければなりません。
しかし、帝国の地球に対する要求と降伏勧告などの出来事はそれら自体が雄弁に主張しています。
合衆国の国民は、既にその意見をまとめ、かつ自国民の安全と自国の安全性それ自体の重要性を十分に理解しています。
陸海軍の最高指揮官として、私は我が国の防衛のためのあらゆる手段を講じるよう命令を下しました。
しかしながら、我が国の国民の誰であれ、私たちに向けられた猛襲の性質を忘れることはないでしょう。
帝国の計画的な侵略行為を克服するのにどんなに時間がかかろうとも、合衆国の国民はその正当性に基づいて、完全な勝利を勝ち取る所存です。
私は、議会および国民の総意を推察し、我が国が最高レベルで自国の防衛を図るべきのみならず、このような悪辣な行為によって再び我が国が危機に晒されるべきではないことを明らかにすべきときであると信じます。
敵は現在しています。
わが国民、わが国土、そしてわが国の権益が重大な危機に見舞われてることに疑いの余地はありません。
我が軍への信頼と、我が国民による自由な意思によって、私たちは必ずや最終的な勝利を獲得するでしょう。--主よ私たちにご加護を。
わたしは議会に対して、~年~月~日に帝国から蒙った謂れが無く卑劣な恫喝を以って、合衆国と帝国とが戦争状態に入った旨の布告を宣言するよう要請します。
こうしてアメリカは正式に宣戦布告をしたのである。
いき揚々とアメリカは宣戦布告すると同時に核ミサイルを発射した。これは完全な奇襲である。当然帝国側は知らなかった。(事実)
しかし、力が違い過ぎた。アメリカがミサイルを発射した事が分かると同時に帝国の優秀な兵士たちは脊髄反射的に迎撃レーザーを発射してしまっていた。訓練の賜物であるが…あまりにアメリカがミサイルを発射してから反撃を判断して迎撃レーザーを撃ってレーザーが地球人の常識よりも速くアメリカ側のミサイルを迎撃してしまったので奇襲を知っていて待ち構えていたかのような印象を残すことになる。
とにかく話にはならない結果を生んだ、ミサイルどころか発射施設、アメリカの制空権と制海権を握るに必要な施設及び戦力に対して即時の報復攻撃が行われた。
偉大なるアメリカ太平洋艦隊、大西洋艦隊は一瞬で海の藻屑となった。(潜水艦含む)陸上の各種施設は言うまでも無い結果になった。全て教本通りの対応だった。
ー帝国軍所属アルゴニア王国国防軍ー
旗艦戦艦「ロムルス」アルゴニア軍最高司令部
戦艦ロムルスは総重力量3万3千メガトン級戦艦である。船の美学など全くといっていいほど無視された極めて合理的な設計で建造された戦艦である。まさにアルゴニア王国を象徴する戦艦。
この戦艦にアルゴニア軍最高司令官がいた。名前をアルベリヒト三世という、若干13歳で王位を継いだ若き王である。その王が司令長官の席で寛いでいると一人の兵士が入ってきた。
「報告いたします、帝国軍総参謀本部作戦部長サザーランド大佐より、アルゴニア王国国防軍に対して正式に第一次降下作戦のアメリカ侵攻作戦をするよう命令が下されました。」
それを聞いてアルベリヒトの目が変わる。椅子から立ち上がると周囲にいた側近たちに命令を下す。
「諸君、待ちに待った我らがアメリカに侵攻する機会が訪れた。これは栄光の歴史である。」
そう言うと周囲の側近たちが笑う。そうするとアルベリヒトは眉間に皺を寄せながら言う。
「だが、栄光は自ら歩いて来たりはしない、こちらから歩み寄り、奪わなければな!故に油断は禁物である!!」
そう言って出口の方に向かって歩いて行く、この後の行動は実にアルベリヒトらしい行動となる。
彼は軍装を身に着けると自ら率先して戦艦から宇宙へと出る。すると既に待ち構えていた兵士はおらず、アルベリヒトが一番乗りである、側近たちはアルベリヒトに遅れるように出てくる。突撃歩兵たちがその後をゆっくりと談笑して歩いてくる。それを苛立ちながらも待つアルベリヒトである。
そして少し時が立つと大勢の兵士がアルベリヒトの前に雑然と並ぶ、それに対してアルベリヒトは言う。
「S・P・Q・A諸君、万歳、S・P・Q・A」
それに兵士たちが続くように言う
「万歳、S・P・Q・A」
アルベリヒトが続けて言う。
「万歳、我が人民諸君」
兵士たちがそれに答えるように一段と大きく叫ぶ
「万歳、王よ!我らが王よ!!万歳アルゴニア、万歳アルゴニア、万歳アルゴニア」
アルベリヒトが演説を始める。
「諸君、我々はこれより、第一次降下作戦を始める。目標は北米アメリカ合衆国!!この国は地球の最強国家と呼び声が高い、それが故に我がアルゴニアは帝国の先兵として恥ずべき戦いをする訳にはいかない。
この降下作戦は何としても成功させなければいけない。だからこそ国王である私自ら諸君を率いて降下するのである。諸君らの奮起奮闘を直接我が目に焼き付けさせて欲しい!!では諸君降下しようではないか!」
降下しようとする君主を見つめながら兵士たちが叫ぶ。
「万歳アルベリヒト、万歳アルベリヒト、万歳アルベリヒト、」
ちなみにアメリカ大統領の演説は『パールハーバー』に対するルーズベルト大統領の演説を改変したやつです。




