青葉、社長になるってよ!
漫画喫茶後の二人だが頻繁に連絡を取り合うようになる。ミラの方は本格的な活動の拠点を求めていたので住居の獲得に動く、これに現地協力者である青葉の協力を要請するのは自然な流れとなった。
「とりあえず、交通の便が良くて情報収集をするのに適した住居が良いの」
「東京なら中央区や千代田区辺りかな…」
青葉自身、東京には詳しく無い、ただ、政治や経済の拠点と言うのであれば中央区か千代田区が無難だと思われた。
「ふーん、じゃあ、それで! 」
「因みに予算は、どのくらいあるの? 」
「うん? 」
庶民の青葉には想像も出来ないが……ミラさんは予算など考えてもいなかった。というのもミラさんが所属している情報部は新興の部署でダイレクトに意見が通る部署だった。故に申請すれば好きなだけ予算が貰えるという状況だった。さらに言えばミラさんの毎月貰う給料、そして元から持っている資産から考えてもミラさんが予算を考える必要性が無かった。
「うん? て、予算のことを考えた方が良くない? 」
「うーん、というより、金を、どうやって現金化するか考えないとね」
「へ? 」
「幾らなんでも宇宙のお金を地球の通貨に直接変えるのは無理じゃない? 」
「ああ……」
何となく察しが付いたので解説すると……宇宙人と地球人は正式な国交を持っている訳では無かったので両国の通貨を直接交換することは出来なかった。となると地球と宇宙で共通する資産を探して地球の通貨と交換するしか無かった。
「宇宙では金の価格って幾らなの? 」
「幾らだろう……」
「地球では一グラム当たり五千円はするよ! 」
「高いわね……その十分の一くらいしか無いわ」
「えええ……」
この時、青葉は幕末の時を思い出すのである。幕末の時に外国勢力が日本の金の価値が低く、銀の価値が高いのに目を付けて大量の金を日本から巻き上げた歴史を思い浮かべた。因みに金の価格が宇宙で低い理由は単純に埋蔵量の違いと使用用途の少なさ、そして金に対する価値観のズレが理由であった。
「ダイアモンドとかは……」
「ダイヤモンド? あんな石ころに何の価値があるの? 」
「……」
この両者の会話は実は青葉の言葉選びが悪いのであった。ここで青葉が玉とダイヤモンドを言い換えていればミラさんの反応は大分違っていた。ダイヤモンドは人工的に作り出せるのは勿論だが地球でさえも実は豊富なのに宇宙では豊富過ぎてダイヤモンド単体では言うほど高くは無かったのである。ただし、ミラさんは一般庶民では無いので庶民の価値観とは大分ズレてもいた。
さらに、付け加えておくと向こうで価値のある宝石の価値を地球人は正しく理解出来ないので宝石関連の話をするとズレから激しい対立を生みかねないほどに関係が悪化しかねない話でもあった。要は「未開拓の野蛮人め!! 」(激怒)ということになるのである。ちなみに上位層ほど嫌悪感を覚える話題でもあった。
「それよりも、どうやって資金を作る? 」
青葉の言葉選びは悪かったが同時に不必要に怒りを買う話題から話がズレたのは幸いだった。
「そうだな……会社を作って投資をするとか? 」
「架空の貸し借りをするということ? 」
「そうそう」
説明しよう! 青葉の言いたいことは、まず、会社を作り、架空の名義の人からお金を借り入れたことにして、株式に資金を投資し、その投資で得た利潤を活動資金にしようという作戦である。
「それなら会社の名義人は貴方で決定ね! 」
「はい!? 」
こうして青葉が会社の社長になることになった。
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