地球のエリート共よ!さようなら!!
青葉は地球のエリート共が今だにエリートだと思い上がっているのが気に入らなかった。彼らは地球から拉致された後は情報部が拠点を置いていて地球と同じ環境のエフェソスで贅沢な生活を続けていた。資産は一説には数百兆円が数十倍になったとまで言われている。
地球のエリートとは王族や貴族に列せられている人間は含まない、これらは既に元老院議員及び軍属に所属しているので対象に該当しない、何よりも青葉は国粋主義傾向が強いので歴史ある家系に対しては尊敬の念を抱いており、この種の存在は今回の作戦から意図的に外していた。(青葉の尊敬する人物の子孫に対しても最大限配慮をしている)
「作戦は順調に進んでいるか?」
「はい、進んでおります!現在、協力的な者達はエフェソスから宇宙へと移住させました。」
青葉の質問に側近として仕えているロッテランが答えた。
この作戦は連合国にとっても重要な意味があった。そもそも穏やかとはいえ連合国は宇宙主義国家で帝国主義である。その彼らにとって地球のエリートは当初こそ連合国の地球統治の道具だったが…今や協力的な者は自主的に軍属に志願するか情報部に引き抜かれている。今残っているのは非協力的な人たちである。彼らは徴兵拒否、宇宙への移住の拒否、連合国の法律を無視するなど、連合国側にとって無視できない存在になった。
保有している富も邪魔であった。全て取り上げると地球統治の正当性が揺らぐため、不動産や株式などの財産を持たせたままだが…それらの価値が高いことより、それによって生じる権力が邪魔であった。
特に邪魔だと感じていたのはヨーロッパ、アジア、アメリカなどを支配した国々である。つまり、帝国本土の有力者とカルケディウス帝、ユスティニアヌス大帝、ミレトス、ネスティーゼ、アルゴニア、元周国などである。
これらにとっては取り上げたいが…正義を自称したい彼らは手が出せなかった。それに比べ青葉は地球人である。連合国視点で見れば、いまや自国の英雄である。そして青葉は大勢の地球人を従え始めていた。
「地球人達はどうしている?」
「はい、閣下に忠誠を誓っております!!」
青葉に協力する地球人はエレガス・ウルム戦役に参戦した人々である。彼らも地球人の中では連合国基準を満たした英雄である。それに加えて地球の王族や貴族、協力的なエリートから出てきた人間を青葉は率いて作戦を実行することにしたのである。
また、今回の作戦の対象にならない、企業や一応協力している人々からも同意するよう文書にサインさせた。拒否者は『国家反逆罪』で逮捕監禁した。
青葉は今や地球の技術は既に自らが掌握していると確信し始めており、奴らもいずれは粛清の対象にする気で頭の中は一杯だった。
「こういう時に情報部は大いに役に立つな!」
笑いがこみ上げてくる、今や情報部の事実上の支配者は情報部長のユスティアであると断言しても良い、つまり、この作戦は夫婦の共同作業である。
情報操作と隠蔽、そして接収した財産の使い道さえ決めることが青葉には表裏両方で出来るということである。
「では、そろそろ」
エフェソス『地球のエリートの楽園』
この名称は青葉が付けた名前である。とてつもない皮肉であり、最初期から青葉が地球のエリートを付け狙っていた証拠ともいえる存在である。
「今日、諸君に集まってもらったのは…」
青葉は地球のエリート共の代表を大きな会議室に集めると集めた内容を話だした。青葉の着ていた軍服には複数の勲章が付けられていた。副官のロッテラン、ユラさん、そしてS・P・Q・Aと書かれた国旗を掲げる兵士を伴っていた。他に地球出身の護衛の兵士がいた。
①全財産の没収
②軍へ志願して軍属になるよう要請
③地球統治及び連合国に対する協力をするよう要請した。
実は非常に悪くない、要求であった。というのも全財産は表向きは没収されるが軍に志願すれば費用を始めとした経費は全て国持ちである。兵学校、士官学校、軍大学に行っても良い、費用は当然に国持ちである。
また、軍属期間が一定を過ぎれば元地球のエリートということもあり、出世することは難しくない、財産も返還要求すれば一部は戻ってくる可能性が高い、軍民問わず、一定以上のポストも用意されることは確定的であった。
しかし、こんな単純で十年長く住んでいれば理解出来る事実を彼らが理解していないはずは無かった。理解していて選ばない奴の集団に青葉は要求しているのである。
「何の権限があって!そんな酷い要求をするんだ!!」
そんなヤジが聞こえて青葉は腹を抱えて大笑いした。
「君たちはバカなのかね!今だに自分たちが権力を持っていると思い上がって(笑)…」
「なんだと貴様!お前こそ、何様だ!!」
これにも青葉は大笑いした。
「わたしかね、誰と聞かれれば、英雄だよ?」
「英雄…いったい…」
理解の追いつかない馬鹿どもを見て愉快そうに笑う青葉
「この頭に乗っている冠が見えるかね?」
「樫の冠だろ、それがどうした!!」
「おいおい、頭の良くて教養のある君らが知らないとは言わせない!かのアウグストゥスは月桂冠では無く、樫の冠を生涯大切にしたと聞いている、つまり、それだけ権威が有ったということだ!!」
青葉は地球のエリートの傍に向かって歩きながら言う
「この連合国においてはローマと同じ概念が通用している、樫の冠は『栄誉』を意味しており、それを元老院から貰うことは極めて権威を与える行為だ!しかも私には個人的にS・P・Q・Aの国旗を掲げる権威も与えられている。これが何を意味するのか分からない訳ではないだろう?」
文句を言っていた人間の傍に来て青葉は語りかけるように言った。
「だからそれが…」
「君たちは、民主主義だとか実力主義だと言っていたね、それは嘘だったのだろう?」
「なにぃ!」
「だって私は民主主義的に選ばれた英雄で、君たちより遥かに実力がある、その私に逆らうということは君たちは反民主主義者で差別主義者で!法律に違反する犯罪者だ!!」
「…」
「犯罪者の意見を聞く人間なんているだろうか?」
「お前たちが地球を裏切ったから…」
「だまれカス」
青葉は息継ぎをする。
「これがお前らが言っていた実力主義だ!!私は断固として貴様らに反逆する!!!そして勝ったのだ、お前たちのような地球を食い物にしたゴミなど死んでしまえ、私はお前らから取り上げた財産で地球出身のスペースノイドを優遇する!!」
違和感のある言葉に男は反応する。
「スペースノイド?」
「そうだよ、スペースノイドだ!」
「なんだそれは…」
「某有名アニメではね諸君!私はスペースノイド側が大好きだ!!地球連邦などという集団が大っ嫌いだ!!これから歴史は地球などという、くだらない星から人類は開放され、宇宙の民になるべきなのだ!」
「アニメの話をするな!」
「バーカなのかね、君たちは!!アニメだろうがゲームだろうが人間が作り出す程度の世界は現実を元に作り出されている!つまり、実現する可能性がゼロではないから存在するのだ!実現しない世界は人間が想像できない世界だからである。そして、実現した時、どう動くかが…次の勝者を決める。つまり、勝ち組と負け組だ!君たちは負けた!!ただ、それだけだよ、私が地球に居た頃は私が何を言っても負け犬の遠吠えだったのと同じく、君らの声など…負け犬の遠吠え程度の価値すら無い、私は決して負け犬を差別しない、人類は選ばれなくても統治する権限があり、下から上がってくる力を持たなければならない、それを阻害する貴様らのような旧権力者は、この世から抹殺されるべきなのだ!!」
そう言い放つと青葉は部屋から出ていこうとする。
「まて、まだ話が…」
男が青葉を呼び止めようとした時である、部屋の扉が開けられて青葉と同じく軍服を着た兵士達が銃を持って入ってきた。
彼らは地球のエリートに銃を向ける。
「撃てるもんなら…」
「今のうちに聞く、我々に協力するものは前に出て部屋を出ていけ!!」
そう言われて出ていくものが多数いた中で出ていかない頑固者もいた。
「では、諸君、さようなら」
部屋の扉の前にいた青葉が部屋を出て扉を閉めた。
「もう一度、聞く、これが最後だ!出ていきたい者はいないか!!」
「撃てるもんなら!撃ってみろ!!」
そう言われるて銃を構えた地球出身の兵士たちが笑う
「撃てえええええええええ」
パーン!ドドン!パンパン!!
複数の銃声が部屋で鳴り響いた。
廊下を歩きながら青葉は考える、手に入れたお金で…どうすれば皆が豊かになれるかと…
そして、自らの野望の資金にする算段も考えていた。
私腹になど使うつもりなど無い、私腹を肥やすのに、わざわざ他人の財産など取り上げる必要など無いのだから…
黒いですが(笑)ダークだけどw実際に革命が起きたら、この比では無い犠牲が地球人の歴史で出ている事実…
感想お持ちしております。




