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青葉の決死の覚悟

男の覚悟を見せよ!!

 

「そんな馬鹿な作戦があるものか!!」


 会議室において幕僚達が集まる中で青葉が出した作戦計画は幕僚達の度肝を抜くものであり、とても受け入れがたい作戦であった。


①バルーンダミーの中に各種探知装置や電波妨害装置などを仕込んでミレタス基地及び艦隊の周囲に飛ばす。


②ミレタス基地を囮にして敵を呼び寄せる。


③艦隊を三つに分ける。第一艦隊は強襲両陸艦と最新鋭の巡洋艦及び駆逐艦で構成する。第二艦隊は戦艦20隻を中心として第一艦隊の正面に配置して囮兼防空戦力とする。第三艦隊は戦艦15隻でミレタス基地に攻撃を仕掛けてくる敵艦隊に攻撃して撃破する。


④戦艦に付属している護衛艦の三分の二を強襲両陸艦の護衛に回す、同じく全艦隊の巡洋艦及び駆逐艦も半数を第一艦隊に配備する。


⑤突撃兵は全て攻撃隊の護衛戦力として投入する。国防軍及び宇宙軍の手練れから兵士を引き抜き、短機関銃と軽機関銃を与えて即席の戦闘兵を結成する。残りの歩兵は艦隊の前に出して迎撃させる。(第三艦隊のみ突撃兵を一個連隊配備することを認める。)



 という正気の沙汰を疑いたくなる提案であった。当然の如く、伊藤提督、東郷艦長を始めとした幕僚及び元周国の幕僚達は猛烈に反対した。対照的に河原提督、加藤提督、ネスティーゼ王国の幕僚は青葉案に強く賛成の意思を示した。もちろんマクシミリアも賛成派である。


 反対派の理由は明確である。戦艦一隻を失うことのリスクが大きすぎて無視できない、さらに敵が戦艦による艦隊決戦を仕掛けてきたらどうするのか?という疑問が消えない。ようするに勝てる戦いでリスクを冒す必要性が理解できなかったのである。


「ですから…」


 青葉が説得しようとするが漠然としていて説得力が無い。コミュ症の弊害である。しかし、青葉にはロッテランという秀才がいた。彼は青葉に代わって理路整然と論理的に反対派をねじ伏せていく。


「先の海戦では敵は明らかに強襲両陸艦を狙っていました。我が軍も強襲両陸艦は今だ数が少なく、失うわけにはいきません。強襲両陸艦を守るためには出来る限りの戦力を防衛に割くべきです。」


「だが…しかし」


伊藤提督が言いよどむとロッテランが畳みかけるように論破しようとする。


「我が軍は先の戦いで一隻を失い、旗艦である翔鶴を中破させられて戦闘不能になりました。これ以上は失うわけにはいかないのです。」


 伊藤提督も強襲両陸艦の重要性は十分に理解していたので譲歩することに決める。


「では、強襲両陸艦を重視するというのは理解できた。しかし、護衛艦の三分二や巡洋艦及び駆逐艦の半数は行き過ぎだ!!三分一が限度だろう。」


「それでは意味がありません!!」


 青葉が伊藤提督の譲歩案を全く受け入れずに断固として自分の作戦計画を押す。これに困った伊藤提督は黙りこんでしまう。


「伊藤提督、三分の一では三艦隊で均等になってしまいます、ここは増やすべきかと…」


 河原提督が伊藤提督の譲歩を引き出そうとして発言する。しかし、青葉は河原提督の気遣いも無視する。


「断固、私としては譲歩はしません!!」


「なんだと!!」


 頭に血が上り始めたのか伊藤提督が言葉に語気を強め始めた。東郷艦長は席を立って青葉を睨みつけた。


 そんな中でネスティーゼの幕僚達は爪を研いだりと寛ぐばかりで青葉案に賛成をして以来、発言をしないままであった。伊藤提督は寛ぐ姿に腹が立ったのかネスティーゼの幕僚達に発言を求める。


「おい、ネスティーゼの幕僚がたも少しは発言をしたらどうかね?」


それに若きネスティーゼの女性将校が答えた。


「我々は自国の艦隊が敵に負けるとは全く考えておりません。青葉氏の案に賛成したのは正しいと考えたからです。何か文句がおわりですか?」


間延びした言葉使いにもイラっとくるが喧嘩腰の発言としか考えられない言葉に伊藤提督はキレる寸前である。


 ネスティーゼの幕僚が青葉案に賛成する理由は概ねは彼女の言ったとおりだが…実は一番大きい理由は彼らが寄こしてきた艦隊に配備されていた強襲両陸艦に理由がある。この強襲両陸艦は名前を「ミレティア」と言う、ネスティーゼの現女王の名前であり、総重力量4万6000メガトンという巨大艦である。自国の技術と国家予算の集大成そのものである本艦を失うことは彼らにとって容認できない事であり、戦に勝つか負けるか以上の案件であった。


 伊藤提督が心を落ち着けようと考えてか水を飲んで一息ついた時だった。


「私は今回の作戦計画に関して譲歩する気はありません」


「君という人は…」


伊藤提督が呆れて反論しようとすると青葉は手で止める。


「ですから、私自らミレタス基地に残って指揮を執りたいと思います。」


その場の空気が氷付いた。ネスティーゼの幕僚達も寛ぐの辞めて席を立ちそうになるほど驚愕の表情を浮かべていう。


「は?!」


 だが一番驚いていたのはミレトスの幕僚達である。今や、自国の英雄です!!と宣伝しまくっている青葉をミレタス基地に置いていくなど到底受け入れられるはずなど無かった。


「私自ら基地に残るという決死の覚悟をするのですから皆様もご賛成頂けると思っております。」


そう言うと踵を返して部屋を出ていくのである。幕僚達は驚愕の表情したまま凍っていた。


「皆様、ここで青葉氏の案に賛成するかどうか議決してみてはどうでしょうか?」


 マクシミリアがそう提案すると議決が行われた。結果は青葉案の賛成多数となる。武人然としているミレトスの幕僚達は青葉の覚悟を無視出来なくなっていた。男の覚悟を止めるのは無粋という考えが強すぎた為に止めることも彼らには出来なかった。


こうして青葉案は採用されたのである。




裏話


青葉はマクシミリアと事前に話していた。覚悟を決めるのに時間が掛かったが結果的には良いタイミングだった。カッコ良かったが青葉の足はガクガクで部屋に帰るとベットに倒れて後悔しました。


なお、ジェニファーからはビルゲもミラコッタ嬢も貸し出さないと言われました。(無慈悲)


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