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クロスポイントの戦い

902星系連合国軍『中央左翼合流ポイント』(クロスポイント)


その日、クロスポイントは静かだった。このポイントは弱点になりえると判断されていた為に重点防御と地点として重視されていた。その為か敵は攻撃してこず、安全な状態が続いていた。


ドカーン!


 そんな轟音がレーザー鉄条網から伝わってきた。もしくはネットワーク上から伝えられた。爆発は周辺にいた兵士からも目視可能なほど大きいものだった。


 ミラージュコーティングと呼ばれる迷彩機能で連合国陣地に接近しての爆弾による破壊であった。行ったのは『共和国』攻撃隊である。爆発は凄まじく、レーザー鉄条網による防御ラインを破壊して第一陣地付近まで一挙に到達可能な破壊であった。


ピューン!という音と共に大量の砲弾がクロスポイント全体に襲い掛かった。敵の制圧射撃である。


「わああああああああ」


 『共和国』の大軍が破壊された防御ラインを突破して第一陣地に突入させてきた。あっという間の出来事であり、連合国軍兵士は完全に不意を突かれていた。それでも兵士達の中には咄嗟に機関銃を連射する優秀な兵士もいたが焼け石に水の状態であった。


連合国兵「にげろおおおおお」

共和国兵「わあああああああ」


 次から次へと敵は押し寄せてきており、第一陣地は即陥落した。続いて両脇の第二陣地、第三陣地も陥落する。第一陣地後方で第二防御ライン後方にある第四陣地まで迫った。しかし、第一を始めとした前方の陣地の逃げて来た兵士を素早く回収して防御を固めていた第四陣地は流石に簡単には落ちなかった。


連合国の砲兵も反撃の砲撃を敵に掃射を始めた。ここからが激戦の始まりである。



 戦いの始まりは直ぐさま中央右翼クロスポイントにいたクロージア将軍の知るところとなる。クロージアは右翼の艦隊決戦と同時に機動戦力を使って敵に攻撃を仕掛けるつもりだったが急遽防衛に戦力を割くよう命じた。


 敵は今度は中央左翼クロスポイントの左翼側に猛攻を仕掛けて来た。これも攻撃隊による陣地の破壊によって突入する。瞬く間に三つの陣地が陥落した。


「敵を寄せ付けるなああああああ撃てうてー」

「とつげきー」


 この攻撃は連合国側の戦力を右翼側から左翼側に引き付けることによって敵を消耗戦に持ち込ませるという趣旨の元で行われた。そのため一点集中の猛攻となった。『共和国』軍の総数は7億にも上った。


「第三ライン突破まじかです!!」


そう共和国軍陣営に報告が入った時であった。


「敵左翼が攻撃を仕掛けてきましたー」


連合国の左翼が敵を包囲するように猛攻を仕掛けて来た。さらに右翼側に連合国の援軍が到着した。


フィツァー提督陣営


「何?味方が包囲されそうだから援護に来いだと!!」


 フィツァー提督は伊藤提督が予想したように共和国軍の左翼方面軍から大量の補助艦と補助艇を補給して連合国軍左翼艦隊に攻撃を仕掛けようと進撃していた時に別の命令を受けた。


 余りにも唐突な命令だったが味方が包囲されたら戦局が逆転される可能性があった為にフィツァー提督は命令に従う。連合国の艦隊とは距離が開いていたので大丈夫と判断した。


フィツァー艦隊が反転してクロスポイントに向かおうとした時であった。


「敵艦隊、急速接近!!」


「何だと?!」


猛烈な勢いで連合国艦隊は方向を変えて直進してきた。


 ここに来て第一、第三の予備艦隊が精鋭の第二、第四の足を引っ張ることとなる。フィツァー提督の第二艦隊は身動きが取れなくなってしまった。


「何ということか…」


 敵は単縦陣を組んで第四艦隊の脇を通りながらフィツァー艦隊を囲むように包囲して艦砲射撃と攻撃隊を飛ばしてきた。


「敵正面に向かって直進しつつ途中で急速潜航して敵後方に出よ!!」


 二個予備艦隊を混乱させずに敵に対して有利なポジションに進むためには直進するしか無かった。フィツァー提督の素早い判断であった。


激しい砲雷撃戦が両者の間で繰り広げられた。皮肉にもフィツァー提督の乗る戦艦「ナストホルン」は戦艦「三笠」の下を潜航する形で通り抜けていった。


「艦隊、取舵一杯に回せ!!第四艦隊を起点に反撃を開始しろ!!」


そう言ってフィツァー艦隊が反撃に転じようとした時である。


「敵駆逐艦!急速接近!!」


声にならない声を上げながらフィツァー提督が思わず振り向く、そして席を立って前に進んで指揮をとる。


「迎撃用意!全問斉射!!迎撃部隊を突入させよ!」


 駆逐艦に対して迎撃部隊が向かう、しかし、彼らが連合国の部隊に接近する前に突然狙撃されて兵士たちが死んでいった。驚いて迎撃部隊の速度が落ちる。


その瞬間!!連合国の部隊が迎撃部隊を通り抜けて突入してきた。


「迎撃部隊は何をしている!!」


 フィツァーが叫んだ瞬間だった。フィツァーのいる艦橋の窓に赤髪の女が凶悪な顔をして窓に爆弾を取り付けるのを彼は目撃した。


「提督!!」


 爆弾は爆発した。フィツァーは反対側の壁に身体をぶつける。だが強靭な精神力を持つフィツァーは気を失わなかった。赤髪の女は…まだ足りないとばかりに軽機関銃を掃射してきたがフィツァーは自らが座っていた椅子が盾になり助かった。


 敵の駆逐艦は「ナストホルン」の下を潜航して通り過ぎていった。それをフィツァーは頭から血を流しながら見送った。


 艦隊旗艦の「ナストホルン」が炎上したことで完全に艦隊は戦意を失った。フィツァーも戦いの敗北を悟り艦隊を直進させて逃走を図った。


「敵を壊滅させろー追撃だーついげきー」


山村ミサが怒号を上げながら猛烈に追撃戦を始めていた。



 この日、フィツァー艦隊は壊滅した。第一艦隊は全艦、敵にやられるか航行を諦めて投降した。第二艦隊も被害甚大で壊滅といって良い状態である。第三、第四艦隊は最初の敵の集中砲火が激しくて損害が大きかった。


フィツァー艦隊は戦線を離脱して一路、エルガスの首都へ向かって進んだ。


 その頃、右翼では艦隊決戦をしようとする連合国と避けようとする『共和国』軍のとの攻防が繰り広げられた。


「東郷艦長、敵強襲両陸艦を発見しました!!」


巡洋艦「浪速」は必死に敵の強襲両陸艦を探していた。そんな中での僥倖である。艦長の東郷は喜びで一杯である。


「よし、直ぐさま味方の強襲両陸艦に報告せよ!!」


報告は瞬く間に浪速から強襲両陸艦「赤城」「加賀」に通達された。


「これより淵田、発艦する!!」


赤城から淵田航空隊長率いる攻撃隊が出撃した。一路、敵強襲両陸艦に向かう。


 敵の強襲両陸艦「グランファイゼン」「テルモピュレー」の動きは悪かった。事情は幾つか有ったが『共和国』の強襲両陸艦への軽視が仇となったのである。ちなみに両艦はフィツァーが自分の艦隊に編成して欲しいと頼んで断られていた艦でもあった。


 丁度、両艦は部隊を発信した後だった。そこに赤城と加賀の攻撃隊が襲い掛かった。


「一隻撃沈するも一隻は大破!!」


強襲両陸艦「グランファイゼン」は大破、「テルモピュレー」は撃沈となった。



 クロスポイントでの激戦は連合国側にとって厳しかった。敵は連合国軍に反撃して連合国軍左翼部隊は押されて後退していた。しかし、艦隊決戦での敗北は共和国軍の知るところとなり、共和国軍は撤退を余儀なくされる。そして2億7000万の将兵が逃げ切れずに投降した。


 第一回902星系での戦闘は共和国軍の敗退という結末となったのである。敵は902星系付近に築いていたゲート付近にまで撤退した。


 連合国も多大な損害を出したが敵の進撃を止めて艦隊決戦に大勝利したことは大きな戦果として大々的に本国に知らされた。



呆気ないけど爽快な勝利で終わりました。戦いは続きます。


感想大募集中!!

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