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絶望!!ウルム戦線

簡単には戦争は終わらない!!

『共和国』との戦争はカルケディウス帝にとっては寝耳に水だった。突然の一報だったので宮中も混乱した。現帝は直ちに枢密院を招集して話を聞こうとした。


 枢密院での話し合いは大混戦となったが首相は頑として『共和国』との戦争を支持して譲らなかった。困ったカルケディウス帝は総参謀総長に直ちに軍参謀の招集を命じる。


 軍との話し合いも困ったことになった。サザーランド地球方面軍司令官を中心とした幕僚がカルケディウス帝に戦争支持を表明するように迫った為である。事ここに至ってはカルケディウス帝としては戦争への支持を表明せざるおえなくなった。


連合国宣戦布告文章


内閣総理大臣からS・P・Q・A諸君にご連絡いたします。


今朝、メルトホルン駐在の連合国大使はアルカンディア共和国政府に最後通牒を渡しました。その内容は、昨日までにアルカンディア共和国軍のエレガスからの即時撤退の準備完了をS・P・Q・Aに通告しなければ、「連合国と『共和国』の両国は戦争状態になるでしょう」というものです。


申し上げなければならないのは、そのような約束を我々は受け取っておらず、その結果我が国は『共和国』と戦争することになるということです。


想像に易いでしょうが、私が長期にわたって平和を勝ち取るためにあらゆる努力をしたにもかかわらず、それが失敗に終わったことは痛恨の打撃であります。


しかし、ウルム共和国は一方的な統合条約からの離脱を宣言しました。度重なる違反にも我々が理解を示して忍耐強く耐えたにも拘わらずです。


『共和国』はウルム共和国政府に対して「共和制の堅持の為」と言って支持を表明して自国に正義があるなどと主張しています。このような暴挙が許されるはずがありません。


『共和国』はウルム共和国政府が統合条約機構を離脱する前から、このような暴挙の為にウルム共和国政府を唆して!!今回のような軍事侵攻に打って出て来たのです。


この戦争は!単なる連合国とウルム共和国との思想上の違いで生じた戦争ではありません。我が国は先ほども述べましたように…忍耐強く耐えたのです。にもかかわらず、ウルム共和国政府は我々を!!「共和制を認めず、人民を抑圧する圧政者」などと言って今日までの恩を忘れ!!我々に宣戦布告してきたのです。


エレガス司教国は我々S・P・Q・Aの一員であり、安全保障を我々が約束していた友邦と呼んでよいでしょう。


このエレガスが『共和国』の侵略に晒されています。彼らは「ウルム共和国を救うために軍事通行権を要求したら断られた」と主張していますが…誰が自国の領土に土足で踏みにじって入ってくる大軍を受け入れるでしょうか?


そのような事を受け入れるのは自国が主権の無い、国家であるということを主張するような行為であります。


小さな国だからという理由で大国が主権を侵害する行為をするのは下劣としか言いようがありません。


まして、かの国は明らかにエレガスを自国の支配下に置くことを予定しております。


エレガス政府からも我が国に救援を要求する文章がエレガスの大使から正式に私に渡されました.


よって私は、この小さき友人を救うためにアルカンディア共和国政府に対して宣戦布告をすることを決断しました。


S・P・Q・A諸君!!弱者を救う建国の精神を思い起こして!小さき友人の自由を守ることに!!

どうかお力を貸していただきたい。




この演説に熱狂した人々は歓呼の声を上げて首相万歳を叫んだ。「どうせ直ぐに戦争は終わるさ!」と多くの民衆は確信していた。


熱狂する若者は自ら軍に志願して行く、別れる時は恋人と熱いキスをして再会を誓うのだ!!


同じ熱狂を『共和国』が抱いていたことを彼らは知らない。




ウルム戦線は以外にも早く戦端を開けたのである。


 これは圧倒的な連合国のインフラである高速移動用空間維持装置、通称『ゲート』が連合国内に張り巡らされていたからである。それと圧倒的な軍民の造船力である。『共和国』など比べるまでも無い相手でしか無いほどであった。国内の軍需生産も高いが…何より民間の工場が圧倒的に多く、補給には困らなかった。


ここまで揃っていて負けるはずがないと軍部も確信していた。


それ故に軍はサザーランド一派の意見を受け入れずに軍司令官の選択を保守派に有利な選択をした。


ウルム国内にあった『ゲート』を堂々と使って領土内に侵攻した。『ゲート』近くには軍事基地が建設されていて駐留する連合国軍と合流した。


まずはヤルギツポイという近場の都市を攻撃して陥落させる。順調な滑り出しであった。敵は焦土作戦を仕掛けていたが補給が強力な連合国軍には通用しない。機雷も機雷戦の達人集団である連合国軍には無力であった。


順調過ぎて簡単すぎる。しかし、ウルム方面連合国軍司令官は油断せずに陣形を整えて敵首都への進軍を命じた。




ウルム共和国軍



ウルム共和国軍は連合国軍の戦い方を熟知していた。連合国軍を向かい打つのはデギム・シュテン将軍である。


 彼は一応は焦土作戦と機雷戦を仕掛けていたが無駄であることは知っていた。焦土作戦の効果は多少はあるだろうが補給に関しては鬼のように鉄壁の連合国には足止め程度の効果しか無い。これでは戦闘の勝利は望めなかった。また、焦土作戦はやり過ぎると国力の貧弱な自国が苦しくなるだけである。連合国に最初から取らせるつもりのところだけで良かった。


 エレガスの立場と違うのはウルムは占領下の人々に優しい連合国と戦っていることである。人を置いてきた方が逆に敵の重りになることは必然である。難しいのは補給である。エレガスは連合国からの補給を期待出来るがウルムはエレガスにより補給線を遮断される可能性が高い。


 デギム・シュテン将軍は縦深防御戦術による多重層防御ラインの構築を行った。小惑星と小惑星の間にレーザー鉄条網を張り巡らせていた。もちろん、小惑星は硫黄島の如く、要塞化されている。


 最大の武器は56㎝要塞砲である。これを超える砲を戦艦に積んでいるはずなど無いと断言できる。

これが複数配備されているのだから連合国の圧倒的な宇宙軍といえどもウルムの要塞群に接近すら出来ないだろう。



連合国軍はやってきた!!


それは凄い光景だった。15億の大軍である。あちこちに突撃艦と突撃艇があり、それに突撃歩兵が護衛する形で前方に配置されていた。後方には戦艦を中心とする大艦隊が控えていた。


敵はゆっくりと接近してきた。こちらが攻撃をするのを待っているかのようだった。


一定の距離まで来ると突撃艇から歩兵が下りてくる。宇宙の空を覆い尽くすほどの数になった。


そしてまたゆっくりと進軍してくる。


「引き付けろー引き付けろー先に撃つなよ!!」


と各ウルムの指揮官は檄を飛ばす。


ウルムの兵士たちは緊張で汗ばみ震える。


一定の距離まで来た時である。敵が止まった。


「敵砲撃くるぞー」


ピューン!!と音がした瞬間である次々とウルム側の陣地に砲撃が降り注いだ。


ドカーン!!ドカドカーン!!ピューン!!みたいな感じで凄い砲撃である。


砲撃している方は戦意が高揚していいが…やられた方はたまったもんでは無かった。


圧倒的な砲撃は小惑星の岩盤を砕き、レーザー鉄条網を破壊したかに見えた。


ピーという音がした。


遂に来たとウルムの兵士たちは恐怖する。


「うおおおおおおお」「やってやるぞ!」


みたいな叫び声が聞こえてくる。


「射撃用意!!」


ウルム兵が銃を構える。手は震えている。


「待てー待てー…今だ!!撃てー」


パパバキューン!!と一斉に射撃が開始された。


デギム・シュテン将軍の思惑通りになった。


連合国軍の装備は総じて射程距離が長い、我が国も一応は同程度の射程の銃は持っているが大部分は『共和国』製である。『共和国』のライフルは威力と発射速度に優れていた。機関銃も同じである。


だからこそ…中距離戦に持ち込まなくてはいけなかった。引き付けて引き付けて正解である。


凄まじい発射速度の攻撃の前に連合国の兵士たちは回避が追いつけずに混乱する。敵の強烈な攻撃の前にお得意の陣形を組んでの精密射撃が出来ない。接近しようとしてもレーザー鉄条網が邪魔で思うようには接近出来ずに右往左往する兵まで出て来た。


「うあああああああああ」

「死ぬううううううう」

「やめてー」


敵の砲撃も凄まじく、連合国軍の兵士は当初の戦意は消えて逃げ惑う勢いである。


こんな地獄絵図の中でローゼンベルク卿は果敢に叫ぶ!!


「S・P・Q・A諸君!!このような地獄だからと言って、何を恐れえるのか?諸君の勇気は消えてしまったのか?!勇敢さを見せつけよ!!我に続け!!とつげきー」


これを聞いて多くの兵士が勢いを取り戻して突撃する。中には王族や貴族、武士が多数含まれていた。



ローゼンベルク卿は死んだ!!敵の中に突撃して敵と熾烈な白兵戦をして数人殺したところで敵に取り囲まれ銃剣で複数刺されて死んだのである。


だが、この英雄的な死は永遠に忘れられることの無い、連合国兵士のエピソードとなった。


戦いは激しく続く


ある場所では火炎放射を使用した敵陣突破が試みられる。突破は成功したが多重層防御なので意味が無く、

簡単に穴が塞がれた。


また、ある場所では毒ガスが使用された。まさに仁義なき戦いである。戦いに夢中になる兵士たちは意外にも、まともに毒ガスを吸ってしまい苦しんだ。


これらは両軍ともに行っていた。


まさに地獄絵図である。


第一回目の連合国による攻撃は失敗した。屈辱の撤退である。


だがウルムの兵士たちも…とても勝どきを挙げる気分にはならなかった。


兵は徹底しても砲撃は続いていた。地獄は長く苦しく続くのである。


※砲兵は移動しながら撃つことが出来た。ウルムの要塞砲は敵の艦船に照準を合わせており、火砲の数では上回る連合国側が物量作戦に転じていた。






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