戦いの始まり
ジェニファーさんと話を終えて扉を開き出ると紅・蓮火を始めとした突撃部隊員がいた。
「おまえら、行くぞ」
とジェニファーさんが言うと彼らはジェニファーさんに付いていくかたちで去っていった。
僕も発令所に行こうとした時である。
「あの~艦長」
呼びかけられたので後ろを振りむくと…なんと麗しのジョセフィーヌ嬢がいるではありませんか!!
「なんだい」
「私!!艦長になりたいんです!だから通信担当から変えてください」
そう来たか…というか可愛く言っても駄目だよ!
「君は主任通信士だから変えられないよ」
「でもでも、通信担当じゃイヤなんです」
「なら意見書でも書いて将来に備えればいいじゃないか」
少しジョセフィーヌ嬢が時が止まったように考え込む
「そうですね!意見書を書いて送ればいいんですね」
「うん、沢山書いてもらって構わないよ」
わぁ!みたいに喜ぶジョセフィーヌ嬢
「はい、沢山送ります!」
なんだか嫌な予感がするが…まぁ良いか?可愛いジョセフィーヌ嬢とお近づきになる機会になるし…
その後二人で発令所に向かう。途中、中央通路を通るのだが…騒がしい、屋台が出ててジュージューとクレープやお好み焼きなどが焼かれている。地球侵攻後に日本の『7時11時』というコンビニに目を付けた連合国は直ぐに駆逐艦以上の軍艦にコンビニを常設するようになった。自販機コーナーも設置している。
そして兵士たちは屋台やコンビニの前で雑談したり、通路上で音楽を奏でながら踊ったりとフリーダムである。
「そういえば、ジョセフィーヌさんの軍服は特注かな?」
そう、連合国は標準軍服は支給される。標準軍服は襟が赤く、緑色の軍服である。これが三軍全ての標準軍服である。しかし、ここからが実に連合国らしいが他の色やオプションを付けられるようになっている。
兵士たちの中には喜んでいろいろな色の軍服を着ている人が多い、軍服の色の統一に意味を見出していないのだ!しかし、よく考えると当たり前の事だが軍服を統一しようが飯を不味くしようとも訓練と兵器の開発を怠れば負ける。逆にそれさえしなければ勝てるというのが連合国の考え方である。
戦術の研究も盛んで戦略も重視している。決断して指揮した人間が偉いという考え方が染みついており、部下の意見を受け入れやすいのも『机上の空論』を無くすために部下から話を聞いて実戦のデータを収集するためである。部下の意見を聞くため、部下からの上官への忠誠は実はすごく強い面がある。こういう冷徹な計算を好むのが連合国スタイルともいえる。
「ええ、七十万セシティウスしました。」
「そ、それは凄い金額だね。」
どん引きである、1セシティウス=一円と考えれば実に七十万円である。一円という根拠は僕が今まで連合国内で買い物をして得た実感からの想像である。セシティウスというのが言いにくいので『セシちゃん』と呼んでいる。つまり七十万セシちゃんである。大金だ!!僕みたいな庶民には出せない。
「どうりで輝きが違うわけだね」
「ありがとうございます。」
いや~凄いなーと感心する。でも負けないくらい美人で可愛く見えるジョセフィーヌ嬢である。きっとこれくらいが彼女には相応しいに違いない。
そうこうしている内に発令所の場所まできた。扉を開けて入るとそこはザ・SFの世界である。しかし、言うまでも無いが広くはない。アニメとかであるような広い空間など無いのだ、世の中無常であるが当然である。だいたいの席が飛行機のエコノミークラスくらいである。艦長席がビジネスクラスくらいといったところである。全体的には精密機器や画面が多いのはアニメと同じである。
「じゃあ、私はこれで失礼します。」
と言ってジョセフィーヌ嬢が通信担当の席に向かう。僕は艦長席に向かう、そこにはユラさんがいた。
ユラさんはショートカットのスレンダーな女性である。綾波レイみたいな人である。違いは少しボクっ娘ぽい雰囲気があることだろう。お目付け役その③みたいな人である。(ユスティアの回し者)役職は副官である。食事に出かけジェニファーと話している間の指揮をしていてくれた人でもある。
「どうでしたか?お食事は?」
「良かったよ」
「そうですか」
ジーという目が向けられている気がするが気にする必要は無い。
艦長なんて特にやることの無い地位である。戦時なら別だが平時は書類仕事中心になるのである。慣れればルーチンワークみたいに楽な仕事になる。特に今回は優秀な人材が多いので艦長が特に気合を入れて行う仕事は無いに等しい。
考えるのは現地に着いてからの事だけ。これが仕事であるが…だいたいは決まっていることである。後は上手く立ち回れるかという心配だけと言える。経験は無いので不足の事態に陥った場合が怖いが深く考えても仕方がない。
902星系には呆気なく、到着した。そして結果だけを言おう。
余りにも呆気ない形で開戦はやってきた。
それは、基地のある。恒星に到着して僕がBF29に乗ってジェニファー達に護衛されながら降下し、
基地の司令官と話をしていた時であった。
突然
ドカーン!ドカーン!という音と共に基地が物凄く揺れた。
僕も基地司令も驚いたが理由は直ぐに分かった。基地が攻撃されたのである。
驚きながら状況を確認しようと外の展望デッキみたいな場所に出て絶句した。
基地が砲撃されていて基地に大軍が押し寄せてきていた。たぶん、現地のウルム人の民兵である。
これにはジェニファー達も絶句していたに違いない。彼女らは空に出て迎撃準備を整えていた。
僕は直ぐにネットワークを介して駆逐艦『白風』に命令する。
「ヒョーウジュン、カンポーウ、シャゲキ、ヨーイ」
こう言うと同時に駆逐艦内では警報が鳴りながら慌ただしく準備が始まる。
ユラさんが復唱するように言う。
「標準艦砲射撃用意!!」
オペレーター達が復唱する。
「標準艦砲射撃用意」
続いて僕が言う。
「砲弾は入れずにエネルギー弾だけ発射するようにしろ」
それにユラさんが答えるように言う。
「砲弾装填せず、一番、三番バルブ全開、エネルギー充填開始!!」
「エネルギー充填開始!!」
キュイーンという音と共にスターウォーズのデススターのレーザー砲の発射のような作業が各所で行われる。
「エネルギー充填完了!!」
「エネルギー圧縮開始!!」
「エネルギー圧縮開始!!」
「エネルギー圧縮完了!!」
それを聞いて僕は緊張しながらも興奮した。言ってみたかったのだ!そう、あの言葉を!!
「主砲全問発射!!ウテー!!」
「ウテー!!」
「テー!!」
どうなるのか楽しみである。ワクワクしながら待っている間にも敵は大軍で押し寄せてくる。
砲弾も飛んでくる。空には押し寄せてくる敵でいっぱいだ!!
次の瞬間である。シュウウウウウウウウウウチュドーン!!ヒュウウウウウウと空気を吸い込んで…
ピカドーン!!ドカアアアアアアアアアアアアンという凄まじい音がした。
「素晴らしい!!」
つい本音が漏れてしまう。いや、この場にいた誰もが思っただろう。
実際、白風からは「おぉおおおお」とか「凄い…」という歓声が聞こえる。
まさに駆逐艦の名に相応しい駆逐である。
1㎝=1メガトン=15㎝=15メガトン
白風は連装砲塔三基である。合計六門あり、一射辺り90メガトン
基準射撃スピードは分間15発であるから…ああぁ考えるだけで凄まじい。
因みに15メガトンはビギニ環礁沖で行われたアメリカ史上最大の核実験と同じである。
地球人類最大の核実験『ツァーリ・ボンバ』が50メガトン級である。
爆発を目にした後にジェニファーが叫ぶ
「全隊、突撃用意!!とつげきー」
わああああああという歓声と共に突撃隊員が突撃する。
それと同時に駆逐艦から発進してきたBF29と救援として来た国防軍を乗せたBF29が合流して
後部から国防軍兵士を出していく。
「遅れるなよー」
という声と共にハッチから兵士たちが出ていく中でミラコッタは呑気な顔してハッチから出ていく。
彼女は他に出ていく兵士たちの上を滑るように滑らかに回避して機体のすぐそばで銃を構える。
それを見た下司官も観測手(補助要員)も驚いたに違いない。
バキューン!バキューン!と手慣れた感じで呑気な顔してボルトアクション式ライフルを連射する。
「凄いなー」
と誰もが言う。通常の銃は電池式で電池で弾を押し出し発射するが、ボルトアクション式は電池の役割を人がこなすのが特徴である。つまり、手動で弾を込めて個人のシールドエネルギーを使って弾を射出するのである。
これは非常に難しく、実戦でボルトアクション式を使えるレベルの兵士は少ない、まして間隔が彼女の場合は短いのである。しかも全弾敵の頭に命中していた。
だれもが人間業ではないと驚いている中で彼女だけは終始呑気な顔をしたままであった。
もう一人紹介しておこう。ビルゲという男がいた。彼は突撃部隊員であり、分隊長であった。
ガムを噛みながら15メガトン砲の威力を見ても動じない。訓練したとは思えない。馬鹿な敵さんは
見るからに歯ごたえが無さそうだった。実際に15メガトン砲からくる衝撃波を食らって吹き飛ばされる始末である。あんなのを本気で殺せと言われても国防軍の兵士でさえピクニック気分である。
「くだらねぇ戦いだ!!突撃するぞー」
そう言ってビルゲは突撃する。直ぐには的には攻撃しない。フラフラの馬鹿どもに恐れなど無いのだから絶対優位ポジションまで突撃して敵の背後を取る。馬鹿な敵は背後を取られたことすら気づかない。
ビルゲと共に来た兵士たちもニヤニヤ笑いながら軽機関銃を敵に構える。次の瞬間には敵はハチの巣になって死んで地上に落ちていった。
油断していると思ったのだろう敵はこちらに攻撃してくるが弾など当たらなかった。避けたのもあるが…
余りにも精度が悪く、下手に避けた方が当たりそうで怖いくらいである。
じっくりとじっくりと敵を観察する。素人過ぎて動きが読めないので正面からの攻撃は避けていく。
基本的にはルーチンワークのように側面と背面に回って軽機関銃を撃つだけである。
コチラが殺せるから向こうもマグレを狙っているようだが当たりなどしない。当たったところで狙いが甘いのと撃ち方がクソ過ぎてシールド貫通などするはずが無いのである。
一方的な虐殺で終始する戦いだった。
BF29も酷い初実戦となった。翼に付けられていたガトリング砲が回りながら火を噴く、そして敵は木っ端微塵になりながら死んでいった。乗っている兵士はさぞかし面白いだろうが敵は恐怖して自らの間違いを悔いながら死んでいった。
戦争は悲しいと言うが…これだけ力量に差があるとゲームで無双している時の爽快感のようなものしか感じなかった。残酷な光景を青葉は目に焼き付けながら来るべき本番を想像して必死に犠牲者を減らす方法を考えるのであった。
基地での戦いやエピソード必死に考えましたが…唐突に呆気なく始まる方がドラマチックに始まるより現実ぽいなと思い今回のようにしました。
青葉も策略や人の命を天秤にかける前に自分の予想とは違う戦いの始まりに驚いています。
感想は大募集中です!!




