ホワイトハウス攻防戦
ホワイトハウス攻防戦
ホワイトハウス言うまでも無い、アメリカのシンボルにしてアメリカ最大の要塞と言っても過言では無いかもしれない。鉄壁の防御を誇っていた。ここにアメリカの大統領と閣僚がいた。何故避難しなかったのか?と言いたくなるほど無能な馬鹿どもである。
避難しなかった理由はおそらく推測するに「避難したらアメリカ国民の士気を下げる」とでも考えていたのかもしれない。万が一はバンカーに逃げ込めば良いと思い上がっていたのかもしれない。落日の帝国など意外とその程度である。
ここにアルベリヒト三世が率いる一個大隊+側近+護衛中隊が攻めてきた。大将対決である。ある意味心躍る展開である。編成はアルベリヒト大尉(個人階級は大尉である。王としては国軍の最高指揮権を持っているが軍事階級が付随しないところが帝国式である。)
ただし、気を付けなければいけないのはアルベリヒトは若干13歳の大尉であるという事実である。実力主義の帝国において君主だからは通用しないところを考えるに凄い大出世である。
当然の如く、アルベリヒトを先頭に部隊がホワイトハウスめがけて突進してきたのである。ホワイトハウスを守る兵士たちも『まさか、敵の大将が真っ先に突撃してくるとは予測していなかっただろう』ことは想像が容易である。そしてそれ以前に13歳の少年が突撃してきたことの方が驚愕だったに違いない。
アルベリヒトの突進は時速160㎞に達していた。こう聞くと速いように聞こえるが野球のバッティングセンターの弾と変わらないと考えれば非常識ではない。ただし、それに応じた海兵隊員の練度は凄いの一言である。即座に機関銃などで応戦し、ミサイル等もロックオン出来ないと知るや、即手動で正確にアルベリヒトたちを攻撃するのはさすがアメリカの海兵隊である。
しかし、残念ながら海兵隊の攻撃の大半は避けられてしまった。軌道を読まれてしまったのである。こちらがバッティングセンターなら向こうは地球の銃撃レベルの弾なら訓練で普通にバッティングするレベルの訓練をしていたので当然の結果であった。
接近して建物に入ることを第一としていたのでアルベリヒト側の攻撃は接近戦時に行われた。接近戦においても海兵隊員の練度が高く、意外とアルベリヒト側も苦戦した。しかし、突入を阻止するほど数も練度も劣っていたのである。なにせ向こうは銃剣突撃前提の訓練を現役でしているのだから現代の地球人の白兵戦能力は劣化していたと言わざるをえないのである。
突入は封鎖されていたドアを爆破して行われた。(ドアは当初開けられていたが海兵隊員の決死の努力で閉められたのである。)突入後もアルベリヒト達は思うようには前進できなかった。ホワイトハウスにいる人々は肉壁になってでも大統領と閣僚を避難させるべく決死の抵抗をしたのである。
酷いことを言うようだが…この抵抗はしない方が良かったかもしれない…
何故かって?この時アルベリヒトの頭が冷静さを失うほど怒りで燃え上がっていたからである。
そう、前回のアルゴニア軍の醜態である。これがアルベリヒトの知るところとなったのである。まさか、愛する自分の祖国と自慢の兵士たちの情けない姿を敵と友軍両方に晒してしまったのだから冷静でいられなくなっていたのである。
皮肉にもこれが爆発したのがアルベリヒトが有名な大統領執務室に入った後に起きた。導火線の一つになったのが執務室にいたシークレットサービスが瀕死になりながらも言った一言である。
「馬鹿め!!大統領は既にバンカーに移られた後だ!!おまえらの火力じゃ、どうしようもないね」
さらに時を同じくしてホワイトハウスを奪還しようと米軍による決死の攻撃が起きた。前回述べた散開散兵戦術により、アルゴニア側は戦力が分散し過ぎていて意外と米軍によるカウンター攻撃に弱くなっていた。倒されることは無いが戦力が少ないせいで確保した拠点を防衛するのに必死で釘付けにされて身動きできなくなっていたのである。
側近及び兵士たちは愛すべき王(王というより、愛すべき息子である。)が万が一にも危険に晒されたらと気が気ではない。それ故に一時的に避難するように進言する始末に陥ってしまう。
これらがあってアルベリヒトは早期にアメリカ大統領を捕えなければならなくなった。そこで大統領と回線を繋げて降伏を迫ったのである。しかし、当然というべきか不幸と言うべきかアメリカ大統領は強気で降伏を拒否してしまう。これがアルベリヒトの感情を逆なでして遂にブチ切れさせたのである。
「火炎放射器を持ってこい!!今すぐバンカーの入り口ごと最大火力で扉を焼き切って入れるようにしろ!!」
この一言には側近も兵士も皆こぞって顔を青くして止めに入ろうとする。
「そのような暴挙!!いや、アルベリヒト様、非人道的過ぎます。ご再考を!!」
「何が非人道的か!!戦争に非人道的も人道的もあるものか!!」
そうアルベリヒトに言われると何故か誰もそれ以上は止めなかった。何故かって?当たり前の話であるが、ぶっちゃけ一番頭にきていて人道的な行為などという手段を考えて行動するのがこの時点で一番煩わしいと感じていたのはアルベリヒトではなく、兵士たち自身だったからである。
狙っていたとしか思えないタイミングで地球人に対するパフォーマンスとしても最高のタイミングでアルベリヒトは残酷な決断をしたのである。これは彼の最高の人心掌握術であった。
こうして、リアルタイムでネットに生放送する形で火炎放射器を持った兵士がバンカーの前まで行き、最大出力で火炎放射をバンカーの扉に向かって放った。因みに事前にアルベリヒトは大統領にこの胸を伝える。「扉を焼き切ってあなたに会いに行こうと思います!!」と不敵な笑みを浮かべていた。
火炎放射は放たれた、同時に大統領の声が聞こえるようにされていた。一瞬である。扉が焼き切れるのは!!そう一瞬ということは恐ろしいほどの火力で扉を焼くということである。これが何を意味しているのか中の人々は深く考えるべきであった。
一瞬だ!!一瞬である!!扉に近かった人は瞬時に消し炭になった。これは幸運である。一番遠かった人。つまり大統領はサウナより熱いとはいえ徐々に体を焼かれながら悲鳴を上げて死んでいった。それが世界最高の軍隊と経済力を持った超大国の指導者の死に方だった。
扉が完全に溶解して中に入れるようになった時には当然の如く、中には生命が存在しなかった。
アルベリヒトさんマジパネェっす




