第17章-無知-
「修行する前にまずはお話をしましょう。」
アテナが言う。
「時間あるのか?」
と俺は言ったがアテナは
「大丈夫、大丈夫。私に任せてくっださーい!」
と自信満々に言い切る。
ということで今に至るのだが、現在俺はこの城・・・いやこの町を案内されている。
「実は見せたいものがあるんです!」
とだけアテナは俺に教え目的地さえも教えてくれなかった。
もしや・・・これってデートなんじゃ・・・?
「デートではないですよー?」
そんな思考を巡らせた瞬間アテナにその考えは否定される。
だからなんであいつは思ったことわかるんだよ怖ぇよ!
「だーかーらー、目を見るとわかるんです!あと大丈夫ですよ?きちんとデートのことはきちんと考えてあるので!」
満面の笑みで言われたので不覚にもドキッとしてしまう。
にしてもこいつ最初会った時こんな感じじゃなかったような・・・。まあ、考えても仕方ないだろう。
そう考え俺はアテナの後を淡々とついていくのであった。
30分くらいだろうか?ひたすらもう見慣れた町並みを歩いていくと、そこにはお城に匹敵するくらい大きいホール状のような建物があった。
「キーン!」
「カンッ」
「ドコッ」
鋭い金属と金属がぶつかる甲高い音や、木のようなもの同士がぶつかるような音も聞こえてきた。
「おい、ここってなんだ?」
「気になります?気になっちゃいます!?教えましょうかねぇ・・・どうしましょうか!いやでもやっぱり・・・はぅ!?」
「いいから早く教えろ」
「痛いですよ!不意打ちはやめてください!」
「お前がそうもったいぶるからだ」
なかなか教えてくれないアテナにイラッときてチョップを喰らわす矛人。
今度からアテナじゃなくウザナなんて呼ぼうかな・・・
「わわ、わかりましたから!そのもう一撃しようとするのはやめてください!」
おっと、俺は無意識に二撃目を与える構えをしていたらしい。危ない危ない。
「コホン・・・えっとですね、ここはなんと!聖騎士育成所兼聖騎士本部なんですよ!」
「・・・は?」
矛人からは今までにないほどの拍子の抜けた声が発せられる。
なぜなら、聖騎士と言うのはそもそも矛人達のようなイレギュラーな存在しかなれないと思っていたからだ。
聖騎士について何も聞かされていないため、自分の固定概念と主観による思考だったが・・・やはりもっとこの世界について勉強する必要があるようだ。
この世界についての無知さを痛感していた矛人にアテナはそれを察して説明をする。
「実はこの世界の聖騎士と言うのは我々神以外にその能力を持っている、又はいずれその能力に芽生える人達を我々神が直々に認めた人達を聖騎士と呼んでいるのです。」
「俺達以外にも下界からの人がいるのか?」
「いえ、そういうわけじゃありません。この世界に一般人が住んでいることはもちろんご存知ですよね?」
「あぁ、最初にみてびっくりしたからな。」
「はい、実はその人たちが能力を持ち目覚める場合があるのです。これを我々は通常の人とは異なる能力を持った人間、そのままの意味ですが異能人と呼んでいます。」
俺ら以外にも能力を持つ人達がいたのか・・・。
やはりこの世界について勉強は必要だな、今度図書館でもあるかゼウスに聞いてみるか。
「それで、その異能人ってのは大体この世界に何人いるんだ?」
「そうですね・・・それでもざっと10000人位でしょう。その中には能力を極め神となる人物が稀にいるのですよ?矛人さんたちみたいな人達が」
「10000人もか!?なら俺達って必要ないんじゃ?」
「とは言っても本当に1人生まれるかどうかです。」
「ならこの中に何1000人といたりするのか・・・」
「いえ、我々が認めた人達ですので数100人程度しかいませんが。・・・侮ってはいけませんよ?」
「侮るつもりはねえよ、それと神なるって下界の神話はどうなるんだ?」
「実は下界って日々更新されているんです。もしかしたら矛人さんが知らない神や戦いがあるかもですよ?」
「常に書き換えられたのか・・・すげえな・・・。」
つまり例えばの話俺が完全な神になったら下界では元々どこかの神話に俺が神として存在してたということになるわけだ。
驚いたな・・・
「そして私がなぜここに呼んだのかと言うと、ここで修行を積んで頂くためです。私が戦い方をレクチャーしましょう!」
「知恵と戦術の女神が直々か・・・こりゃ心強いぜ・・・はっ、面白くなってきた!」
「では、中に入りましょうか。でも最初は聖騎士の方と戦って頂きますけどね?」
「本場の聖騎士と戦うのか・・・楽しみだなぁ」
「よかったです」
アテナはにっこりと微笑む。
そして心からのアテナの笑みを見てついつられてしまう。
聖騎士本部に向けてアテナと肩を並べ歩む。
前のいた世界じゃ考えもしなかったことだ・・・。
「どうやら、この世界に来たのは正解だったようだな・・・」
「ん?今なんか言いましたか?」
「いや、なんでもねーよ」
「そうですか・・・?」
「そうと決まればさっさといこうぜ!」
「あ、ちょ待ってください矛人さん!!矛人さぁぁあん!」
俺は駆け足で本部へと向かった。




