第13章-試み-
なんか・・・なんか無いのか・・・!?この状況を打破する一手が・・・!
矛人は額に汗を垂らしながら、相手を倒すと言うのではなくどう抗えるかについての考えていた。
最悪弱らせるだけでいいんだ・・・、何か・・・何か・・・!
「ふむぅ、やっぱりまだまだじゃったかのう・・・。ワシら神に勝ったとしても狂神と言うのは自我がなく本能的に行動するためリミッターが解除されているからのぉ・・・」
「確かに実力はあるそうですが、それならまだ神3人集めた方が可能性はありそうですね」
「うむぅ・・・」
ゼウスとアテナが話す。
これは別に矛人達を馬鹿にしているなんてものではない。あくまでも可能性の話で、まだ早かったただそれだけなのだ。
「対抗手段など教えなくていいんですか?」
少し心配そうな目でゼウスを見つめる。
何だかんだ文句言っていても目の前で抵抗できず抗えずに這いつくばられるのは見るに耐えないようだ。
「なんだ、心配かの?」
「べ、別にそんなんじゃありませんっ!ただ・・・」
アテナの言葉か詰まる。
するとゼウスは諦めていない眼差しで数10m先にいる矛人質に視線を向ける
「難題や課題、試練って言うのはな自分自身で突破することに意味があるんじゃ。目の前に立ちはだかる壁を自らでぶち壊す、そしてやっと光が刺すんじゃ。別に意地悪している訳では無い、可能性なんぞなくここまで連れてくるわけないじゃろ?」
「ですがいくらなんでも・・・」
「ワシはその可能性に掛けてみた・・・。何よりワシを倒したその実力に。」
その言葉を聞きアテナも心を決める。
今私が行っても到底手が出せる相手ではない・・・。なにより私までも狂神になったら更に勝ち目なんてなくなる・・・
息を飲みぐっと拳を握る。
この状況が耐えられないのか目尻に涙が浮かんできているほどだ。
アテナは彼らを見つめる。
それを横から見たゼウスは今はまだ我慢しろと自分にも言い聞かせる・・・。
「相手は星を司る・・・能力は星・・・星に与えられるものは・・・!?それも致命的なもの・・・!」
矛人ははっきりとしない意識の中打破する方法を考える。
「星・・・衝突・・・隕石・・・?」
隕石、隕石があるじゃないか!なら麗奈に作ってもらって・・・だめだ!でかい岩石をバーストさせてもいともたやすくぶち壊されてしまった。あれじゃダメだ!
俺が作れるもの・・・氷・・・隕石・・・・・・。彗星・・・?いや彗星はただの氷だ、何かもっと星に近いもの・・・冥王星・・・?冥王星は氷と岩石と有機物ってのを聞いたことがある。これなら俺にも・・・!
「いっちょ試してみますか・・・!!」
相手は星を作れて入るが実物大という訳では無い、ならば同じ大きさ位でも抗えは出来るはず。
矛人は左腕をまげ伸ばした右腕の肘を支えると、その差し出された右腕の向く向こうに力を込める。
「引力は生み出せない・・・だが莫大な気圧変化によって生み出せる擬似的引力なら生み出せる!!」
すると背後から思いっきり押し出されるような急激な風が生まれる。
莫大な気圧差を生み出せたという証拠だ。
「鉱石は地面から吸い込まれる、後は氷・・・!」
莫大な低気圧が生まれたその場所に石や氷が吸い込まれる。
それがやがて、みるみるうちに丸い球体が出来上がった。
「へっ、俺も星を作れたぜ?コアトリクエさんよ・・・ッ!目には目を、歯には歯を、星には星をっ!喰らえ、〈アースインパクト〉ッ!!!」
少し先にある作り上げた冥王星に向かって矛人は全力で走り出す。
右腕を思いっきり引き、全力で押し出すように踏み込み掌をぶつける。
しかもただ力任せに押し出すのではない、掌と冥王星の間に爆発的な高気圧を作りぶっ飛ばす。
冥王星は物凄い速度で飛んでいく。
そう、第三宇宙速度だ。
秒速16.7kmで進むそれはものすごい威力を持っていた。
コアトリクエは星が接近しているのを危険と感じたのか、自分も負けじと星を生成しぶつける。
「GAYaaaaaaaaaaaa!!!」
バインドボイス。
コアトリクエも本気という事なのだろう。
・・・だが
「バァァンッ!」
衝撃波が円振動上に波打つ。
どっちが壊れたのか、それはコアトリクエの放った星であった。
コアトリクエはすぐ生成しぶつけたといっても加速は無しな状態であったため、加速しきっている矛人が放った冥王星に勝てるわけはなかったのだ。
「これが最後の一手だあぁァァア・・・ッ!!!」
矛人が放ったそれはコアトリクエの溝に綺麗に吸い込まれていった。
綺麗に吹き飛ばされるコアトリクエ、だいぶ効いたのかしばらく立てずにいる。
ダメージが通った事が確認できた矛人はガッツポーズをするが、このダメージは別に倒せるという程の致命的ダメージではない。あくまで弱らせただけだ。
半分は嬉しく、半分は悔しい。
その気持ちを抑えながらも矛人は叫ぶ。
「今だアテナ!封印してくれ!!今しかねぇ!!」
コアトリクエにダメージを与えた事に唖然としていたアテナだが、矛人の声が聞こえると同時に我に返る。
「分かりました!あとは任せてください!」
「あぁ・・・!よろしく頼、む・・・」
全てを出し切った矛人はその場に倒れ込む。
すぐさま矛人の所に駆け寄りたかったが、その気持ちを抑えコアトリクエの所に向かって全力で駆け出す。
「あなたを少しばかり封印させて頂きます。コアトリクエさん、少々我慢を」
アテナは目を瞑り、胸に両手をあて祈りを捧げる。
「今、我の元に開けし聖なる牢獄よ。開け開いて邪悪な念を封印せし・・・。」
コアトリクエの周りに青白い聖なる光が集まってきた。
聖なる力がコアトリクエに効いているのか苦しそうに悶える。
「聖生門ッ!」
ガコンッと何かが締まるような音が聞こえると同時に、聖なる壁のようなものに閉じ込められるコアトリクエ。
およそ1辺2mはあるであろう青白い立方体が出来上がっていた。
「もって2週間ですかね・・・」
頬を人差し指でかき、苦笑を浮かべながらも矛人の事を思い出すと駆け寄る。
「よく頑張りました」
矛人はまだ全然ハッキリしない意識の中でその声だけは聞こえていた。
そして完全に意識が閉ざされるのであった。




