第12章-力の差-
現在はここ、オリンポス山の麓にある聖なる泉から約1キロ離れた場所にある森林地帯に存在する。
「なあ、狂神の所まで瞬間移動は出来ないのか?」
「残念ですが、これ以上は霊脈が汚染されていて進むことは難しいのです。ここからは自らでの移動となります」
申し訳なさそうにガイアは言う。
それならば仕方ないと矛人は自分に言い聞かせた。
「ねねね、でも私達って役に立つんでしょうね。私なんかお兄ちゃんと違ってあっちの世界の物質しか使えないし」
「それに私自身は戦う訳じゃないですし・・・幻獣の類は通じるのでしょうか」
少し小走りしながら彼女達が持っている不安を話す。
正直確かにそこは気になっていた、俺だけがゼウスに勝ったからからってわけでもない。
そういう嫌味とかじゃなくて単純な心配や戦略的に通用するかどうかって意味だ。
「そこは問題ないじゃろうな、何しろ3人もいるからのぉ。力を合わせれば可能性はある、それにもし倒せなかった場合には手を打ってある。そのためのアテナなんじゃが」
「そうですね、あなた方達じゃ心許無いので私も手助けします。私は武神ですが、祈ると言う力もあります。アマテラスやアルテミス程ではありませんが弱ってる狂神を封印する程度なら可能です。あなた方にかかっていますが」
アテナは矛人を睨みつける。
ゼウスを倒したと言うのを受け入れたくないというのと、自分らに運命は託されていると言うのを分からせるためである。
「もうそろそろですよ、皆様」
ガイアがそう告げた時今まで通っていた森林の光景とは全く違う黒ずんだ空に紫色の光が差し込んだ世界が目に映る。
「な、なんだよ・・・これは」
妹達も口を手で覆い隠すほど驚きを隠せていない。
何よりも前方に存在する紫色の禍々しいオーラを放つ何かの威圧感を肌に感じているからだ。
「おい、あれの元の神は・・・」
なんだよ、そう告げきろうとした時にゼウスは答える
「あれは・・・どうやらコアトリクエじゃの」
「コアトリクエだと!?!?」
「な、何をそんなに驚いてるのよ・・・?」
そりゃ驚くぜ・・・ったく、いきなり相当やばい神が来たぜ・・・。
矛人は内心に潜めている焦りを隠しきれず顔に出す。
それも無理ない。
コアトリクエは星を司る女神なのだ、星と言うのは地球上とは違う謎の力を持っているものも多く地球より大きいものが多い。
その地球上で星の神と謳われた力がどのようなものなのかなんて想像付くわけがないのだ。
幾万とある星の力、それが敵にまわった時何が起きるのかわからない。
アテナがコアトリクエについての説明を妹達に告げる。
その事実を知ってゴクリと息を呑む。
これは心を決めるしかないようだ、下手すれば死ぬ。
「まず戦い方についてじゃが、何か案があるかの?」
コアトリクエに気づかれないうちに作戦を決めるようだ。
「正直な話、ワシらはコアトリクエは何に司る神なのかは知っているが戦い方などは分からんのじゃ。役割分担は決めておくべきじゃの」
かつて無いほど真剣な眼差しを矛人に向けるゼウスはそのこめかみに汗を垂らす。
「なら、まず俺が奴と戦う。それで麗奈と聖音はサポートを頼みたい。」
「「分か(りました)ったわ」」
「んじゃ、いっちょ暴れるぜ・・・!!!」
「先手が重要だ!麗奈、鎖を頼む!」
コアトリクエの元へ走りながら叫ぶ。
「りょーかいっ!メイク・・・バースト!!!!」
チャリンと音が鳴ると同時にコアトリクエの体を縛り付ける。
「聖音、今だ!セイレーンを呼べ!」
「分かりました!皆さん、耳を!」
「Aaaaaaaaaaaaaaaaa」
縛り付けられ身動きが取れないコアトリクエに数体のセイレーンが声を発する。
「オラァ!喰らいやがれ星の神ィッ・・・!歯ァ食い縛っとけェ!!!!!!」
身動きが取れず混乱状態におちいっているコアトリクエに向かって思いっきり飛び上がる。
「喰らえ!位置エネルギーパンチッ!」
上空100m地点からの位置エネルギーを右拳に変換させ思いっきりコアトリクエの頬を殴る。
ドンッ
周囲に衝撃波が円状に広がる。
その震源地、約直径3mのクレーターが出来上がる中心にコアトリクエが横たわる。
とりあえず、一撃目。
そう安心するのもつかの間ふらりとコアトリクエは立ち上がる。
何を隠そう「無傷」でだ。
「なっ・・・!?」
全身全霊を込めた右拳が全くの無傷だったのだ、被害があるのはその真下にある地面だけ。
「俺の攻撃が効かない・・・!?」
動揺が隠せずにいると目の前のコアトリクエが右手に持つ杖を真横から胴めがけて矛人に振りきる。
「ガハッ・・・!?」
50メートルは飛んだであろう、さっきまで目の前にいたコアトリクエはだいぶ離れていた。
「GAYaaaaaaaaaaaaaa!!!」
どんなに戦いを極めたであろう達人でも本能が危険と察知し耳を無意識に塞いでしまう程の声、バインドボイスを放ちコアトリクエの上空に小さな玉が二つほど出来上がる。
本当に小さな唯の玉なのか・・・?否、星だ。
まるで・・・そう、月のような星だ。
「GAYaaaaaaaaaaaaa!!!」
そして再びバインドボイス。
身動きが取れない妹達へ向けその二つの星が一つずつ第三宇宙速度飛んでいく。
「ぐはっ・・・!?」
「・・・ッ!?」
麗奈は巨大な岩石を生成しガードに臨んだがあっけなく打ち砕かれ威力は激減したものも、溝うちにクリンヒットする。
聖音は咄嗟に召喚したグリフォンに嘴で襟を噛まれ上空に逃げた。
しかし右腕にあたり大きく腫れている。
彼女達にも霊格は存在しているお陰で大事には至らなかったようだ。
「くっ・・・ッ!!」
打たれた脇腹を抑えながらも何とか立ち上がる矛人。
覚悟を決めた眼差しを向けてコアトリクエに叫ぶ
「洒落せェ!!!!!!上等だゴラァァァァア!」




