第9章-聖騎士-
「ゼウス討ち取ったり」
クハハと満足そうに笑う矛人は麗奈と聖音に向かってピースをする
「まさか勝つとはね・・・たまげたわ」
「そう・・・ですね・・・」
未だに驚きを隠せないふたりは唖然と矛人を見つめている。
「にしても楽しかったぜ、おっさん」
「いつからおっさんと呼ばれるようになったんじゃ。それはそうと最後の方の分身ってどうやってるのか教えて欲しいのぉ」
「あぁ~あれか」
戦いを心底楽しんだ2人はつい先程の出来事を思い出し耽っている。
ゼウスは負けたのだが何故かニヤニヤが止まらない。
ここまで白熱したバトルは今までにあっただろうか、思い返しても神同士のタイマンで互角なバトルなんて今まで1度も・・・ましてや敗北なんて想像すらしていなかったものだ。
そんなことを思っていると矛人が遮るように言葉を発する
「あれも暖気と寒気の応用だよ。砂漠に浮かぶ蜃気楼ってわかるか?それと同じで暖気と寒気を作り大気中の温度差で光を屈折させることによって幻影を見せることが可能なんだ。」
「砂漠にあるはずのないオアシスが見えるのと同じ原理じゃったか・・・」
「そういうこった」
ゼウスがあれやこれやと矛人に質問しそれに矛人はきちんと答えていく。
すると紳士がゼウスの元へ駆け寄る。
「そろそろお時間が」
「おお!そうじゃったの!」
「時間?」
紳士がゼウスに話しかける。それに対しゼウスは何かを思い出すように呟く。
「しかしお前がそれじゃと調子がでないのお・・・」
「戻りましょうか?」
紳士は微笑みながら語りかける
「あぁ、そうしてくれ」
少し抜が悪そうに後頭部をかいた。
「仰せのままに」
すると紳士の周りから青白い光が現れ、紳士を包み込む。
大体五秒だろうか、そのくらいたってから全く知らない別人が現れた。
「「「お前誰だよ!」」」
俺達兄弟3人が声を合わせて驚く。
どのくらい驚いたかと言うと、あの聖音すらも少し荒っぽい言い方になっているくらいだ。
聖音ははっとし右手で口元を隠し、急に口調が変わったという羞恥に包まれながら耳まで赤らめ顔を伏せている。
それも仕方が無い、今までキリッとした私、紳士ですからオーラを出していたあの紳士が黒髪に所々赤色のメッシュが入ったオールバックの青年が変わって現れたからだ。それに角が両脇に2本とも生えている。
「お前誰だよ!とは酷いなぁ~俺ちんだよ俺ちん!ロキだぜヒャッハー!」
「ロキだと!?ロキってあの北欧神話に出てくる変幻自在の悪戯神のロキか!?」
「ほぅ、やっぱりお主多少知識はあるようじゃな。それと唾がかかるから少し落ち着けい」
「あ、あぁ。悪かった」
否定をしないところを見るとやはり本物なのだろう。
だがしかしここで一つの疑問点が生まれる。
「ここってギリシャ神話だよな?どうしてロキが?」
「実はギリシャ神話と北欧神話が似ていて、そういう理由があってか国がお隣同士なんじゃ」
「全然違うけどな!」
真剣に答えるゼウスとは違いロキはひひっ!と笑いながら答える。
「へぇ~」
「お隣同士仲がいいってことじゃ」
「っと、そんな話している暇ないんだぜ?ゼウス。認めるのなら早く認めな。」
今までおちゃらけたロキではなく真剣なロキに変わっていた。
「そうじゃったの。すまん」
ロキに謝るゼウス。上下関係とか無いのかと思いつつもそれほど大事なことなのだろうと心構える。
なかなか帰ってこない俺らに待ちくたびれた妹2人が駆け寄ってきた。
「なにしてんのよ」
「流石に待ちくたびれます」
妹2人に俺が責められた。いや俺なのか!とは思ったものの自由気ままに話していた俺のせいでもあるか。と1人で反省する。
「すまんな、妹達。というよりどうやらゼウスから何かあるらしい」
2人の視線がゼウスへと向けられる。
それに対しゼウスはこほんと咳をし
「君たちを聖騎士と認めよう!!」
と俺達3人に向けて言葉を放った。
・・・・・・・・・は?




