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タマちゃん育成記  作者: イムルマ
第1章 新生活開始です。
6/18

12日目~ 改築工事、続いています。

【12日目】


 昨日の方針のまま、大きな変化なし。

 まぁ前にもあったけど、そうそう大きな変化なんて起こらない。

 

 MPがある程度まで回復したら【土喰い】を生み出して、洞窟拡大に参加させる。

 

 ついでに生んだ一体はクーちゃんの餌にする。基本的に命令に従う魔物も、己の危機には本能に従うから、襲いかかってくるか逃げるかするのだが、基礎能力の違いからか一瞬で決着はついた。


 夜にはホネさんアオちゃんの二人は深夜のデートに。

 

 ――フンだ! イチャラブしてくればいいんだ!


 殴られました。ホネさんに。

 どうやら小さく呟いたつもりだったが聞こえていたらしい。

 オレの上に乗っていたクーちゃんが、その衝撃で床に落ちた。

 けど、本当にドツキがデフォと化しているなぁ~……。いつ展開を間違えたんだろう?

 

 ホネさんの照れ隠し――かと思ったが――

 いや、何でそこまで迫って……え? 食欲、睡眠欲だけでなく性欲もなくなった? でも愛しあってるんだろ! ……ホレた彼女に反応しないのは男として終わってるってのは共感でき……なにも血涙流さなくても! いや、流れてないよ、流れてないけど見えるんだよ、幻影が! 怖いんだよ! マジで!


 そんな心温まる触れ合いもあったが、今はクーちゃんとのんびりしている。

 どうやらオレの上が気に入ったらしく、いつの間にやらまた登ってきていた。


 あ、MP回復したみたいだし、また生み出すか。


 百体を超える【土喰い】の拡張工事にまた新たな個体を加えていく。工事のほうは多分順調。もっとも、通路の高さや広さを今までのものと揃えているので、『マップ』上だとあまり進んだようにも思えないが……

 まぁ、外見はただの洞窟だし、今のところ攻め入られる理由もない――というか知られていないので、ゆっくりと確実にやっていこう!




【13日目】


 昨日と同じ。特記なし。




【14日目】


 昨日と同じ。特記なし。




【15日目】


 昨日と同じ。特記なし。




【16日目】


 ――いやいやいやいや――

 ここ数日のことを思い返して、思わず自分にツッこんでいた。三日坊主の日記じゃないいんだからさぁ……

 別に記録が残ってるわけではないのだが、ボケ~としすぎていた。

 

 ついでに特記がないわけではない。お土産があった。

 

 長さが1メートルはある大きなムカデで、名前はそのまんまな【大百足】。

 緑色の粘液、【グリーン・スライム】と茶色い粘液、【ブラウン・スライム】

 茶色い斑模様のヘビで、名前も同じくそのまんまの【マダラヘビ】

 

 計4体の魔物を美味しく頂きました。味覚ないけど。

 

 ついでにホネさんとアオちゃん、そしてクーちゃんもレベルも上がった。デートで近隣の魔物を狩っているアオちゃんはともかく、クーちゃんのレベルが上がったのがイマイチ謎だが。


 拡張工事も順調に進んでいる。大部屋から繋がる小部屋の一つ。書斎に繋がる小道から離れた方から掘り進めていた通路は無事に目的の長さに達した。

 ついでに大部屋とその小部屋を繋ぐ道も発生した土砂で埋めてしまった――といっても、【土喰い】が土を喰い、生じる排泄物を押し固めたモノだからまだ通路の半分までしか塞げていない。ちなみに排泄物と言っても、成分は土となんら変わらない。実際の蟻塚も同様にアリの排泄物で作られるのだから、強度にも問題はないはずだ。

 今は部屋の製造に取り掛かっている。と言ってもやる事は今までと何も変わらないが。

 

 あとここ数日で判明したことは、生み出した魔物は洞窟の外でも問題なく活動できて命令もちゃんと聞いたとこいうことぐらい。


 まぁ結局本日も大きな変化なしと言うことだ。まる。




【17日目】


 本日――夜の半ば程からポツポツと雨が降ってきた。


 ――いまさらだけど、一日経過の感覚が滅茶苦茶気味だよなぁ……

 感覚的には夜中で一日を区切っているけど……

 寝る必要がない生活しているから、その当たりの感覚が薄れてきているみたいだ。


 それはともかく、デートに出ていた二人が慌てて戻ってきた時には雨足は段々と強くなっていきてきていた。そして夜明け頃には本降りとなっていた。

 

 ――雨水が奥まで入って来ないよな……


 入口で強くなってきている雨を見ながら、そんな心配をしてみた。実際この洞窟、入口から小部屋へと繋がる道は少し降る傾斜になっているから。

 まぁそれは杞憂だったみたいだけど。

 拡張工事を確認しているホネさんの話だと、この洞窟、森の中の少し小高くなった場所にあり、傾斜は洞窟よりも外の方がきついらしい。だから、水が洞窟前に貯まることがあっても、外の傾斜を流れていくだろうとのことだった。実際に外を見れないが、ホネさんが言うのだから間違いないだろう。これがアオちゃんだったら、理論とかなしで大丈夫の一言で済ませされていたような気がするが……気にしないでおこ。


 ・

 ・

 ・


 昼に一度雨が止んだが、夕方にはまた降り出した。

 この天気では二人も出かけることはないので、このままのんびりと終わる――そう思っていた。思っていたが、そうは問屋が卸さなかった。


 雨が降りだしてしばらく経った時。『マップ』の洞窟入口に赤い『駒』が現れた。今回で三回目となる侵入者登場! だ。


 この時偶然にも全員――オレ(『眼』)、ホネさん、アオちゃん、クーちゃん――は拡張工事にて広がりつつある新しい部屋にいた。

 取り敢えず侵入者が来たことを伝え、情報収集のため入口まで『眼』を飛ばす。


 ・


 今回の侵入者は【ゴブリン】の群れだった。ただし最初に住み着いていた群れよりも多く、ざっと数えただけでも20体はいる。

 相変わらず醜い形相ばかりの中に、一体だけ他の個体よりも一回りは体格の大きい個体がいた。どうやらそいつがこの群れのボスらしく何やら喚くように指示している。


 取り敢えず今のこの洞窟の進行可能な通路は三本。行き止まりの小部屋への道。書斎へも繋がる大部屋への道。そして今オレが通ってきた、大部屋への道は塞ぎ、現在拡張工事中の部屋へと繋がる道。

 大部屋への道は今後細く見つかりにくくする予定なのだが、今はまだ普通の通路のまま。大部屋から書斎までは見つけにくい――前の群れも1体しか入って来なかった――ため、精々入って行っても大部屋までだろう。ウチの戦力――ホネさんとアオちゃんは、拡張中の部屋から、元からある小部屋に移動している。急いで戻ろう!


 ・


 情報を伝えに戻ると、二人共戦闘準備を済ましていた。冒険者なら後ろからの奇襲とかを考えていたらしいが、【ゴブリン】だったら正面から撃破も可能だろうとのこと。まぁ、初めてここ来たとき、15体を楽々と葬ってし、身体能力は以前――生前よりも何故か上がっているとのことなので、問題はないだろう。

 ちなみに、一回り大きな個体はおそらく【ゴブリン・ロード】だろうと言われた。

 見た目と名前の通り【ゴブリン】の上位種らしい。

 

 ――動いた!


 【ゴブリン】の動き方として考えられるのは3通り。

 入口から動かないか、群れ全個体で動くか――

 そして――

群れを分けて探索する。

 今回はこれだ。そして三通りの中でも理想的――最も戦いやすい。

 

 行き止まりの小部屋とここへはそれぞれ7体、大部屋へと通じる道へは9体。


 行くぞ!


 呟くように小さな、それでいてよく通るホネさんの『声』が、一方的ながらも戦いの始まりを告げた。 

 

 ・

 ・

 ・


 一方的に始まった戦いは、一方的な展開で終りを迎えた――


 ホネさんの剣が首を刎ね、アオちゃんの剣が喉を貫く。その繰り返し。他に書きようがない。


 一体――【ゴブリン・ロード】以外はその流れで一太刀で斬り伏せて行った。

 まぁその【ゴブリン・ロード】については、ホネさんの華麗なアッパーの一撃で沈んでいるので、【ゴブリン】と変わらない。ただ斬り伏せられていないだけ。


 【ゴブリン・ロード】を殴り飛ばしたのは、【ゴブリン】殲滅後だったため、そのままホネさんが引きずって書斎まで。途中【ゴブリン・ロード】が気付いて暴れ始めていたが、気にせずに引きずってた。そしてそのままオレ(本体)に押し付けて、毎度ながらの『捕食』開始!


 ――いや、『捕食』させてもらうのはありがたいんだけどね……

 暴れる【ゴブリン・ロード】の頭を押さえ、宝玉に押し付ける骸骨の腕。ゆっくりと体が飲み込まれていく、その絶望に染まった表情を見下すように見る赤く光る眼。カタカタと、まるで笑うかのように鳴る髑髏の歯――


 ――怖いわっ! 冗談抜きで!

 そしてそこ! アオちゃん! 頼むからトキめかないで!


 そんなやり取りをしている間に、【ゴブリン・ロード】の体は完全にオレ(本体)の中に消えていった。ケガをすることなく、無事に迎撃戦は終了。何事もなく――とはいかなっかった。


最初に変化に気が付いたのはアオちゃんだった。


【ゴブリン・ロード】が完全に消えた後、ケガの有無の確認後、二人はまず最初に武器の手入れを行おうと動き始めた。そんなホネさんの体――白い骨のいたるところにシミが生じ始めた。アオちゃんが気付き指摘したが、生じたシミは一気に大きくなり――誰も碌な反応ができないままにホネさんの全身を広がった。

 そして、アオちゃんの指摘から数瞬後にはホネさんの体は黒味の強い灰色に変色していた。また、いつの間にやら全身の関節部――特に腕と脚の関節部は他の部位と比べ大きな――黒いモヤのようなものが発生していた。

 その変化に、慌ててアオちゃんと一緒に問い詰めたが体調に問題はないらしい。

 しかし原因が分からない。こんな時は――最近ご無沙汰な気がしたが、『ステータス』!


――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・


Name:ホネ

Class:【グレイ・スケルトン】

   Lv:1

   MP:63/63

Skill:『陽光恐怖』『陽光虚弱』『思考能力発生』『暗視能力』『打撃耐性』

      『念話(特殊)』『魔力吸収』 

      『魔鎧膜』 → 『黒霧鎧膜』


――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・


 いろいろと変わってた。まぁ最も大きな変化はClassだ。というか、これって変わるんだ……


 困った時の知恵袋――今回の当事者ホネさんは、顎に手をやり何やら一人納得していた。アオちゃんの方も、『ステータス』を見て納得しているし。

 分からないのはオレだけってことか。


 ・


 納得していた二人に聞いてみたら、魔物の場合一定の強さに達したモノが上級種に『進化』することがあるとのこと。まぁその『進化』する場面なんど滅多に――どころかほとんど目撃情報はないのだとか。ただしそのほとんどない目撃情報は冒険者ギルドでまとめられ、どの魔物が何に『進化』するかある程度は知られているらしい。ちなみに【ゴブリン・ロード】は【ゴブリン】から『進化』したモノらしいが、同じ【ゴブリン】の上位種の【ホブ・ゴブリン】と違って『進化』以外では発生しないからレアなのだとか。

 ちなみに、【人間】とか【エルフ】、【ドワーフ】とかの所謂人類に分類される種族の場合、Classには種族の他に【職業】が記載されるのだとか。ホネさんとアオちゃんの以前(生前)のClassは【軽戦士】と【農夫】だったらしい。



 レベルも1に戻っている。ここも人間とは違うんだとホネさんは感心していた――

 勝手なイメージだが、『進化』するというのはある意味で生まれ変わるのを意味しているような気がする。だからレベルが最初に戻る。まぁ、あまり関係ないし分かっても意味はないけど。

 

 そして最後にスキルも変わっていた。『魔鎧膜』というのが『黒霧鎧膜』というのに変化している。これがホネさんの関節のモヤの正体だろう。他に該当するの無いし。


 まぁ、ここまで確認したが――害を及ぼすような変化じゃなくて本当によかった~




【18日目】


 昨日はその後二人は剣の手入れと【ゴブリン】の死体の処分を行っていた。もっとも死体については雨のため外に持ち出せなかったため、入口の脇にまとめるだけにしていたが。前回は洞窟内で対処したが、スペースも限りがあるから外の適当な場所に埋めておくことにしたらしい。


 あとはいつもと変わらない。

 ホネさんとアオちゃんはトレーニングしたり、拡張工事の確認を行ったり。【土喰い】の数はちゃんと数えていなかったが既に五百は超えており、今も増やして行っているから拡張のスピードは益々上がるだろう。


 雨は昼にはあがっていたので、夜になるとまた二人はデート――と、【ゴブリン】の死骸の処分に出かけていった。


 他に特記するべきことといえば、昨日の襲撃でホネさんは『進化』したが、アオちゃんとオレもレベルが上がっていたということぐらい。


 ちなみにオレのレベルが上がったのは『理不尽な搾取』というスキルの効果だろう――という結論になっている。ホネさんも知らなかったスキルだから効果の詳細は不明だけど……




【19日目】


 本日、夜のデートにクーちゃんも何故かついて行った。

 いやいいんだけどね。ホネさん、アオちゃんにも懐いているし。二人も可愛がっているし。身体能力以外にも知性も強化されているのかも。


 ――あの二人がついているから、大丈夫か~。


 そう思ってました。


 ・

 ・

 ・


 ――さて、言い訳は?


 目の前では二人――ホネさんとアオちゃんが正座している。

 そしてクーちゃんは七本の脚でオレの上に上り、待機している。

 そう――七本の脚で!

 

 普通クモの脚は八本――何で脚が一本無くなってる! やけに早く、慌てて戻ってきたから何事だ! と思ったけど!

 想定外すぎるわっ!

  

 脚を無くしたのに元気に動き回ってるので安心したけど。安心したから今の状況になったとも言う。


 ――さぁ、二人共……。


 ビクッと震えたように見えたが気にしない。

 

 詳しく聞かせて、もらおうかナァ――


 ・

 ・

 ・


 二人と一匹が外を外を探索していた時、またも【ゴブリン】の群れと遭遇した。ちょっとした森には必ず生息しているとさえ言われるほどの魔物なので、頻繁に遭遇するのは珍しくはないらしい。

 遭遇後は当然の如く戦闘に。これはあっさりと終わったらしい。だけども、アオちゃんの肩にいたはずのクーちゃんがいつの間にやらいなくなってたらしい。


 必死に呼びかけ、探し回っていると――茂みから【大百足】を引きずりクーちゃんが出てきたらしい。そしてこの時には脚が一本なくなっていた。

 魔物としての格は【大百足】の方が上。状況次第では【ゴブリン】をも狩ってしまう魔物相手に勝ったのはスゴイが、無傷でとはいかなかったらしい。


 しっかりと話をし、事情を聞いて、分かったことを要約するとこんなモン。

 何故かホネさんが土下座をしていて、アオちゃんが上を向いている。口から白いモヤみたいなのが出ているような気がするけど……、ま、いいや。

 それよりも、クーちゃんのケガをどうしようか……


 ――こんな時はあれだな。

 

 困った時のMP様。いつもの如く注ぎ込んでみよう!


 と、いうわけで上に乗ってるクーちゃんにゆっくりとMPを注ぎ込んでみる。


 少し多めに流し込み――患部あたりがホノカに光ったかと思うと、徐々に脚の形へと変わっていった。

 そして光が消えらそこには前と変わらないクーちゃんの脚があった。


 ――ホント便利だなあぁ~


 クーちゃんは嬉しいのか、興奮した様子でオレの上から降り、部屋の壁を走り始めた。

 そんな様子を、いつの間にやら復活した二人がビックリした様子で見ていた。

 ホネさんは何やらブツブツと呟き――

 アオちゃんは、治せるなら説教は――みたいな事を呟いていた。


 反省の色無しかぁ……

 もう一回話し合おうか……?


 ・

 ・

 ・


 取り敢えず今日はこれまで。


 あの後すぐに、工事の様子を見に行くと言って――アオちゃんが何故か発していた悲鳴を背に出ていっていたホネさんが戻ってきたので、取り敢えず終わりにするか。

 

 出かけるのかホネさんに聞いてみたら、夕方だがアオちゃんが動けないだろうからやめておくと返された。


――あれ? 夕方?

 

 

 

 ――ちなみに――

 切り傷とかの治癒魔法はよく使われているが、欠損した手とかの再生は高位魔法になり使い手は滅多にいないのだとか。

 また狙われる原因増えたな――と。


以上。ホネさんからの情報でした!


いつも以上にグダグダ感がヒドイ気がしますが、12日目~ 投稿させていただきます。


まず、黒大公様、三山様、感想ありがとうございます。続きを書く励みになります。

他にも誤字脱字等ありましたら、ご指摘のほどお願いいたします。


では20日目~ をこれから書いて行きたいと思います。極力早く書き上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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