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タマちゃん育成記  作者: イムルマ
第1章 新生活開始です。
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7/18

20日目~ 同居人が増えました。

【20日目】


 洞窟に注ぎ込む陽の光から推察するに、大体昼をまわったぐらい。

 ようやく新しい一室が完成した。

 次はさらに奥に道を作成するのと、その逆方向に道を作成し入口付近に繋げる。指示は聞くが直ぐに忘れる【土喰い】に細かく指示をするため、ホネさんは工事現場。【土喰い】の反応は二手に分かれて穴を掘り進めている。

 クーちゃんは書斎でのんびりと食事中。

 そしてアオちゃんは睡眠中……オレもそうだけど、【ゾンビ】も眠るんだぁ……


 お前が原因だ、と言われたら返す言葉がありません。二人をそうしてしまったのオレだしな~。

 そう呟いたらホネさんに呆れられたように見られた。表情は分からないけど、何となくそんな雰囲気が。


 それ以上ホネさんは何も言わなかった。

 ちなみにオレが今洞窟の入口にいるのもそれが原因。


 昨日夕方、ホネさんが書斎に戻ってきた後、何故かアオちゃんが倒れ込んだ。

 そのままホネさんがお姫様ダッコで、洞窟に唯一あるベットに運んだ。何故――と思ったら、ホネさんがぼそりと、疲労困憊だ……と呟いた。

 疲労困憊?

 

 ――何故に?


 理由が分からない。分からないが――ホネさんに外に出るぞとのジェスチャーを受けた。こっちの理由はすぐ分かる。愛しい彼女の寝顔を他の輩に見せたくないという男のジェラシーだね。うん。うん、うん――男だねぇ~。


 


【21日目】


 いつもとやることは変わらない。

 昨日も、夕方にはアオちゃんは目を覚まし――結局24時間近く寝てたんだね、そういえば――そのままいつものようにデートに出かけた。

 クーちゃんも一緒に……あんな目に合ったのに、外が気に入ったらしい。まぁ普通そうだよなぁ~


 羨ましいけど、こればっかりは仕方がない。

 

 そして今日も出かけていきました。

 はぁ……、大人しく留守番しておこ~と。


 


【22日目】


 唐突だが、昨日? のお土産は【マッド・スライム】と【アクア・スライム】の2体だった。

 これで4種の【スライム】を捕食したことになる。


 某国民的冒険活劇ゲームで有名な涙型――ではなく、粘液――巨大なアメーバーの様な魔物。

 バレーボール程の大きさがあり、半透明な粘性の強い粘液の体に赤みがかった褐色の野球ボールほどのボール――核――が浮かんでいる。捕食したそれぞれを『図鑑』で、そして実際に生み出して見て比べてみたけど。違いが分からん。

 いや名前の通りの色をしているから、見分けはつく。


 淡い緑色の粘液の、主に草地で昆虫を捕食している【グリーン・スライム】

 少し濃い目の茶色い粘液の、主に樹木のウロに生息する【ブラウン・スライム】

 【ブラウン・スライム】よりも濃く濁った茶色の粘液をした、沼地等に生息する【マッド・スライム】

 淡い青色の粘液の、水辺に生息する【アクア・スライム】


 色で見分けが付くけど、言い換えると色でしか見分けがつかない。

 生態も同じみたいだし、何が違うんだ?


 ちなみに何故こんな事をしているのかというと――

 

 ぶっちゃけ暇だから!

 前は勉強なんぞしたくねぇ! と叫ぶ極々一般的な学生? だったはずだ。うん、はずだ。しかし今、今は頭を使うぐらいしか暇を潰す方法がねえ!


 そうゆうわけだ。反論があるなら、同じ状況になってから言ってみろ!


 ・

 ・

 ・


 結論。

 基本は同じだが、住む場所に適応した差、らしい。

 もともと【スライム】は環境適応能力が高すぎる魔物らしい。たとえば【マッド・スライム】を草地に放てば2~3日後には【グリーン・スライム】になるのだとか。

 

 色が違うだけで同じ魔物。何故別の種類として認識されて登録されたか不明だが――


 他の特性、生態としては粘液の体に昆虫とかを包み込み溶かしてしまう。ただし、溶かすスピードはすごく遅いため、1時間程度手に持っても何ら問題はないらしい。ある一定の大きさになったら中に浮かんでいる核が分裂して増加する。ただし動きは遅く、核を傷つければ簡単に崩れて消えるので、基本誰も相手にしないらしい。


 以上、我が洞窟の知恵袋――ホネさんでした~。


 はい。というわけで、推察終了~。

 上の大部屋で訓練をしていたホネさんが戻って来たので聞いてみたら一瞬で解決した。


 ――あぁ……今度は何をして暇を潰すかなぁ…… 




【24日目】


 思いついたらやってみよう! 

 これがこの生活で学んだことだ。今まで取り敢えず思いつきと勢いで出来てたし。


 と、いう訳で今回の暇つぶし――もとい思いつき――じゃなくて、実験を始めよう。

 準備するものは、【スライム】を……取り敢えず適当数。アシスタントにホネさん。観客にアオちゃんとクーちゃん。以上!


 なにやら2人がぼそぼそと話しているが気にしなぁ~い!

 それじゃあ早速やってみよう! そうしよう!


 最初に右手にどれでもいいので【スライム】の核を持ちます。

 潰さないように気を付けてね~


 次に左手に別の種類の【スライム】の核を持ちます。

 あ、手はキチンと直すから安心して。


 そして両手に持った核をくっつけます。力を込めて一つにするつもりで――

 最後にこの状態で【スライム】を『治癒』!


 ホネさんの握っている手を離してもらい待つことしばし――

 上手くいくか?


 床に落ちた【スライム】は崩れはしないが動きもしない。

 失敗――?

 いや、【スライム】は死ぬとすぐに崩れる。ということは、失敗はしていない。

 つまりは――


 どんどんやってみよう! 追加分はまだまだあるし!


 ――え? 【土喰い】? もう千匹位いるんだから、たまにはいいじゃん!

 それよか、どんどんやっていこう!


 ・

 ・

 ・


 何体も合成していって早――何時間か。多分。

 途中飽きたアオちゃんが拡張工事の方を見に行ったりとか、クーちゃんが【スライム】を何体か食べたりとかあったけど、作業は順調に進んだ。

 というか――進みすぎた。


 目の前には、バレーボール程の大きさの半透明の黒い珠。中には核――なにやら黒いモヤを帯びているように見えるのは気のせいか?


 色々と混ぜていくのを続けたら段々と色が黒くなっていき、そしてかなりの大きさになったと思ったら、いきなり今の大きさまで縮んだ。

 ホネさんがその【スライム】? の表面を叩いてみたら、カンカンと、粘液体の魔物とは思えない音がした。


 スライムは数十は使ったと思う。

 いろいろと混ぜて色の変化とかみてから加えた――とかもしてたから、詳しく数えていなかった。


 ――どうすっかな~


 そんなことを事を考え、またホネさんとも相談していたら、いきなりその黒い【スライム】が動き出した。

 ゴロゴロと、オレが存在する台座の周りを転がりまわる。

 なんとなく――飼い主にじゃれつく大型犬の幻影が見えた気がする。


 取り敢えず、能力の確認を――


――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・


Name:???

Class:【ダーク・スライム・キマイラ】

   Lv:1

   MP:88/88

Skill:『思考能力発生』『強酸性液生成』『黒霧鎧膜』『体積圧縮』『高速流動』

     

――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・


 おおぉ、何かClass――種族名がスゴく強そうになってる!


 しかもスキルも何だか強力そうなのが――


 そんな風にスキルを見ていたら、いきなりホネさんに殴られた。またか?

 今回は――こんな方法で新種作るな! と言われた。

 

 ――新種だったんだ。というか、混ぜただけだし。実際混ぜたのホネさんだし。


 そんないつものやり取りだったのだが、台座の周りを動き回っていた【スライム】――名前……直感でクロに決定! 名前の付け方の路線にもあってるし――がオレとホネさんの間でとまり、体の表面を波立たせ始めた。

 

 ――もしかして……オレが攻撃されたと思って、威嚇している?


 ・


 ホネさんとクロとの不思議な睨み合い? その最中にアオちゃんが戻ってきた。


 粗末な扉を勢いよく押し開けて、たっだいま~と元気よく書斎に入って来た彼女が見たものは――


 台座の上に佇むオレ。オレの上に乗るクーちゃん。ここまではいつも通り。

 台座の前に存在する波打つ黒い珠と、さらにその前で困った顔? をしたホネさん。


 ――困惑するのは当然だけど、タスケテ~! 


 ホネさん、事情説明よろしく! クロ、大丈夫だから、いい加減落ち着いけくれ!


 ・


 女性ってすごいなぁ~


 本気でそう思う。


 ホネさんに――ついでにオレからも――事情を聞いたアオちゃんは、威嚇を続けるクロの横にしゃがみ込んだ。そして、クロに優しく語りかけながらゆっくりとその体を撫でてやる。それだけで落ち着いてきたらしく、クロの表面に生じていた波は止まっていった。




【25日目】


 クロはすっかりアオちゃんに懐き、今もアオちゃんといっしょに拡張工事を見に行っている。

 拡張工事は順調に進み、新しい部屋と洞窟入口を繋げる道も半分以上進んでいる。


 クーちゃんはいつもの定位置に待機している。


 そしてホネさんは――抜き身の剣を手にオレの台座にもたれ掛かって眠っていた。

気持ちはわかる。精神的に疲れ果てるだろう。あんな事の後だと。

 

 ・

 

 始まりはアオちゃんだった。

 いろいろとあったが、最終的に要約すると――クロはどれくらい強いのか?

 【ゴブリン】とかで試しても良かったのだが、まぁいろいろと――アオちゃんがホネさんを煽り立てたというのが一番表現としては近いと思うが――あり、結局大部屋でホネさんとクロが戦うことになった。


 そして――


 実際に戦ってみて――強かった。


 クロの表面一瞬波打ったかと思うと、何本もの太い刺が発射される。

 

 一瞬でバレーボール程の大きさの体が見上げるほどの壁にまで膨れ上がるったかと思うと、幾条もの触手が変幻自在に降り注ぐ。


 バレーボール程に戻ったと思うと、キィィィと甲高い音を発し初め、その数瞬後には凄まじいスピードで体当たりを仕掛ける。


 ホネさんは避けているが、外した攻撃は岩を穿ち、地面を陥没させる。


 避けながらも反撃しているが、ホネさんの一撃は通じない。一撃によって甲高い金属音が響くだけ。


 それの繰り返し。

 そしてその結果が今のホネさんの状態だ。


 ――アオちゃんも戦ってみる? とホネさんとクロの戦いの後に聞いてみたが、全力で断られた。


 アオちゃんの事は置いておいて――いや、ホント。あの状況で良く勝てたよね、ホネさん。

 傷は直したけど、使い切った気力と体力は回復しなかったらしい。


 ・


 勝負の最後――


 再び巨大化する無傷のクロ。それに対し、至るところに傷の見えるホネさんは右脇に剣を構える。ホネさんから発せられている黒いモヤが剣にも移っていき、その刃を覆う――


 数瞬――もしくはそれ以上の間。


 きっかけは何だったか――オレには分からなかったが、二人は同時に動いた!


 クロは岩を穿つ威力を持つ触手を、幾条も放つ。

 それを紙一重で避け――いや、掠りながらも直進し、生じた触手を足場にホネさんは渾身の突きを核に向け放った!

 今まで何度も弾かれていたが、その一撃はクロの表面を突き抜け核まで迫る!

 核に届くその刹那。切っ先が止まった――いや、止めた。


 再び生じる――間。

 決着の付いた瞬間だった――


 ホネさんはクロから剣を抜き、地面へと飛び降りる。そしてそのまま膝をつく。


 アオちゃんがホネさんに興奮したまま駆け寄り、そのまま抱きついた。

 元の大きさに戻ったクロの前にはいつの間にかクーちゃんがいた。何をしているのか分からいなが、慰めているようにも見える。


 取り敢えず今回の模擬戦の収穫としては――


・クロの戦闘能力を把握できた。

・ホネさんが新しいスキル『黒霧刃』を習得した。

・アオちゃんが、強くなってやる~とテンション等を跳ね上げたこと。


 といったところかな。

 ちなみに生じたデメリットとしては、ホネさんの剣が衝撃で歪み、刃こぼれも多数生じてダメになってしまったこと。それとホネさんが疲れ果てて眠ってしまったため夜のデートに行けなくなってアオちゃんの機嫌が悪くなったことの二つ。


 アオちゃんの機嫌はすぐ戻るとして、ホネさんの剣はなんか対策を考えないとなぁ……




【26日目】


 特に何も起こらなかった。


 夜には三人で外に出かけて行き、オレとクロは留守番中。


 ホネさんの剣は結局鞘にも入らないぐらいにまでなっていたので、書斎に置いていっている。とりあえずは持っているナイフで何とかすると言っていた。


 ホント代替品どうしよ?




【27日目】


 そうそう物事が発生する訳ではない。

 変わったことといえば、洞窟の外から戻ってきたクーちゃんの姿が『進化』して変わっていた事のみ。

 今までは鮮やかな黄色と黒の斑模様の体に細い脚をしていた。それが、大きさは今までよりも一回り程大きくなり、黄色だった模様が濃い紫色と変化している。また脚も太くなり、細かい毛が生じていた。イメージとしてはジョロウグモからタランチュラになった感じだ。

 『ステータス』は、



――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・


Name:クー

Class:【ポイズン・スパイダー】

   Lv:1

   MP:36/36

Skill:『魔糸生成』

      New『神経毒生成』『思考能力発生』

     

――――・――――・――――・――――・――――・――――・――――・


 という具合に変化。ちなみに今は試しに生み出した【ゴブリン】を楽々と狩って食事中。

 



【27日目】


 特に大きな変化無し。

 拡張工事は順調に進み、そろそろ新しい部屋の作成に移れるかもしれない。

  



【28日目】


 今日も何事もなし――

 

 陽が沈み、いつものように出かけていった一行を見送りながら、そう思ってた。

 思っていたし、そうなって欲しかった。

 

 早い話が――来たよ、また。侵入者。


 何で極々普通の洞窟に、1ヶ月も経たないうちに何度も侵入者が来る!?


 侵入者は今回は2人。今度は人間だった。

 老人と女の子。不思議な組み合わせだ。

 老人は、背が低く髪の毛と伸びた立派なヒゲは白く染まっている。ただし、服の上からでも分かる程腕や体の筋肉は大きく盛り上がっている。荷物と一緒に巨大なハンマーを背負い革の鎧も着込んでいることから冒険者かもしれない。

 一方女の子。歳はアオちゃんと同じ位に見える。少し汚れているが、淡い金色の髪のおっとりとした雰囲気をしている。格好はこちらも汚れているがワンピース。特に荷物は持っていない。どうみても冒険者には見えない。ただ、首につけた黒くごつい首輪だけがスゴく浮いている。


 そうこうしているうちに、2人は入口付近で色々と荷物を出し始める。どうやら野営場所としてここを選んだらしい。

 それはいいのだが、もしこのままここにいられると戻ってきたホネさん達と遭遇、戦闘になってしまう。

 価値観はだいぶ変わってきているが、それでも人を殺しはしたくないし、見たくもない


 ――追い出そう――


 では、その方法は?


 【ゴブリン】を生み出して――は、追い出した後に冒険者を呼び込む原因になる。

 クロをけしかける――と、戦闘能力がありすぎて追い出す前に殺してしまう可能性が高い。また追い出したとしても強い魔物が生息しているということで冒険者が入ってくる可能性がある。

 蟲型の魔物を大量にけしかける――老人の方はともかく、女の子の方には効果が高いかもしれない。


 そうとなれば早速やってみよう。

 わざわざ生み出さなくても拡張工事中のヤツらがいるし。奥から200体程連れてくるか……


 ・

 ・

 ・


 奥から【土喰い】の姿を覗かせる。


 望んでいた効果は得られた。カチカチカチと顎を鳴らしながら近づいてくるその姿を見た瞬間――女の子は悲鳴を上げて逃げ出した。洞窟の奥に――って、ちょっとマテ! 何で奥に逃げる!?


 老人も慌てて明かりと武器を持って後を追いかけていく。

 

 結局――オレの行動は裏目に出てしまった……


 ・

 ・

 ・


 なんだかんだで大部屋まで2人はたどり着いてしまった。まだ道を細く出来ていなかったからなぁ……


 クロは書斎にいるからそのまま待機してもらっておくとして。

 

 どうなることやら……


 相変わらず何か言ってるけど内容は分からない。このまま帰ってくれるといいんだけど……


 ・

 

 無理だった。

 

 しっかし――見つけにくいって聞いているのに何でこうも簡単に見るかるかなぁ?


 老人が先行して細道を進んでいく。


 それを確認後、『眼』を戻して、2人の襲来? に備える。

 万が一の時には――覚悟を決めないと――


 扉が開いた。


 ゆっくりと、困惑しながらも入ってくる2人。まぁ、洞窟の奥にこんな部屋があるとは思ってないだろう。


 オレが発している光があるから、書斎内は薄暗い程度になっている。

 2人は周辺を見渡し――そして老人の方がオレの方に手を伸ばしてくる。


 ――覚悟を決めないと――


 その瞬間。

 黒い触手が老人の胸部を貫いた。


 ――え……


 その光景に一瞬思考が止まり――クロ!?

 部屋の隅にいたクロからの一撃だった。待機するように言っていたのに。

老人の行動がオレに害をなそうとしていると思ったのだろう。


 数瞬後女の子から悲鳴が上がる。

 目の前の光景に、怯えながら後ずさっていき――足をもつれさせ、そのまま勢い良く倒れた!

 

 ――今、後頭部からいったような……


 女の子はそのまま動かない。老人の方は言うまでもない。


 ――え……ナニ? この状況……






取り敢えずここまでです。最後の2人の今後は書くまでもないかもしれませんが、取り敢えず次回までお待ちください。

 

一応読み返して確認してはいますが、誤字とか表現がおかしいところがありましたらご指摘の程お願いいたします。


では次回28日~ をお願いいたします。

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