第28話Despair(絶望)
魔黒石の破片からでてきた黒い煙は空中で停滞しながら、渦を巻いていた。夜空で周りは暗いのに、黒い煙と比べると明るい空だった。
まん丸の月が黒い煙を照らし、煙が一つの個体に変化していった。
『マズハ、アリガトウ』
丁寧に黒い物体はお辞儀をしながら、言った。
『ツギニ、シンデクレ』
すぐさま、俺達は戦闘体勢にはいる。
魔黒石の周りにサッカーボールぐらいの四つの黒い球ができた。風を切り裂く音と共に、黒い球が針になって飛んできた。
「うらあぁぁぁっっ!」
俺は黒い針を上に弾きかえす。
「な、なんじゃ。これは…」
陽じいさんの方を見ると、腹に深々と針が突き刺さっていた。
俺は走って、陽じいさんに駆け寄る。走っている途中で先輩達を見た。龍刃先輩は静香先輩の前に立ち、二本の針を背中から受けていた。泣きながら抱きついてる静香先輩が見える。
くそっ!
「大丈夫かっ!?」
俺は陽じいさんの体を支えながら、今まで見たときのない歪んだ陽じいさんの顔を見ながら言った。
「気を…つけるんじゃ、あやつ…の力はこっち…の…世界の魔術…は通用しないらしい………」
「そんなこと、言ってる暇はねぇだろ!」
「この怪我…は治せないん…じゃ」
陽じいさんは少しずつ、目を閉じ始めた。
「あぁ、最後に…わしの子供に…会えてよかったん……」
陽じいさんの体から力が抜けた。
「お、おい!急すぎるぞっ!さっきまで元気だったじゃねぇか!はぁ!?これでさよならってか!?ふざけんなよ!最後くらい…あのうぜぇ口癖を聞かせてくれよ…」
何でだろう、会って三日も過ぎてないのに涙がでてくる。死んでいく人がいたら泣くのは当たり前なのだが、俺の涙はとても暖かい涙だった。
涙を流しながら、陽じいさんを見ていると声が聞こえてきた。
「嘘でしょ…龍刃!嘘でしょ!お願いだから…お願いだから…死なないで!」
泣きながら静香先輩が叫んでいた。
くそっ!くそっ!
「よくも、よくも龍刃を!」
止めろ、止めてくれ。
「うああぁぁぁっ!」
「止めてくれぇぇっ!」
俺の声は届かなかった。
魔黒石は尻尾の先端にある鎌で、静香先輩の胸を切り裂いた。
くそっ!くそっ!くそっ!
俺の失敗で起きたことだ。
俺がどうやっても止めてやる。
俺がこの世から消えても、皆を助ける。
挿し絵は作者が描きました。魔黒石の説明がめんどくさいとか思ってませんよ!…すみません思って描きました。
二十分で描いたものなので、終わってますよね。




