表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
右や左の国士様  作者: 隣之 芝生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/62

第57話 私と私のキャンペーン(12)

「やめろ、また今度聞いてやるって言っただろ」


 老人の私が静かに立ち上がる。


「それは、未完成だ。感想文の朗読みたいなものだ」


 私が胸に十字を切る。


「また今度、遊ぼうねって約束するから」


 私が手を組み天を仰ぐ。


「それで私の罪と罰の帳尻合わせが出来るとでも思ってるのか」


 老人の演技は止まらない。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

守護福者降臨ネガティブ


俺のきゝ腕が右なのか左なのか、未だに論争が続いている

あの時代、左右正しく撮影する機材が無かったわけじゃない

ビリーザキッドは小柄で、既製品のシャツは大き過ぎたから

女物の服を着ることが多かったと言われている

写真で残るその姿、銃は左腰に、シャツの合わせ目は右前で

右だ左だと争う者は、同じ写真を根拠に真逆の解釈を主張する

だが、大事なのは、そこじゃない

ビリーは、身だしなみに気を遣う洒落者だったと言われている

そんな伊達男のビリーが女物のシャツを着るなんて、おかしくないか?

オマエなら分かるだろう。

ビリーは女物のシャツを着たかったんじゃないかって

男の身体に女の心

それは、まさしく反転したオマエの姿

オマエがビリーのように振る舞えるなら

自分を偶像化する大衆の賛美を厭い

善と悪、強者と弱者の区別なく、孤高に矜持を貫けるなら

オマエの我欲は時空を超える「9発目の弾丸」(ピカレスクロマン)となるだろう

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『興味深い解釈だが、結論ありきの考察感が否めない。演技としても苦しいな。織部ちゃんの話の後じゃあ、誰が何をやっても楽しめない』


 老人の私の身体は塵芥に変質し、崩れて、落ちて、溶け消えた。

 残念だが、感傷に浸っている時間はない。

 4人を送り出し、決闘が始まってしまう前に、何もかも終わらせなくてはならない。


「君の御祖父様は呪法をつかって、どこかへ行ってしまったのかい」


 因獄ちゃんは、どうしても設定から卒業できないようだ。


「過去の亡霊が有るべき場所に帰っただけです」


 大きな手が私の背中を優しく撫でた。


「調君、我々は、これから決闘に臨むが、死にに行くわけではない。主義主張のために生きるだけだ」


 莞爾と笑って織部先輩は続ける。


「だから、主義主張のために死ぬなどと、決して考えてくれるなよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ