第45話 怠慢プレイ(5)
第二階梯に『脱出王ハリー』を進めて、祈るようにして振ったダイスの出目は2。
ケケケ、脱出失敗。
見よ、超越的存在。
私は息を大きく吸い込み、立ち上がって演技に入る。
十字を切り、手を組み合わせ、天を仰いで叫ぶ。
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「守護福者降臨」
俺のきゝ腕は右
発展途上の撮影技術によって、流布したのは左右反転した俺の姿
装弾数6発の拳銃で7発目を撃つ?
その程度、ありふれた出来事だ
鏡に映った背後の敵を振り向きもせずに撃ち殺す
放り投げた空き缶が地に落ちるまでに穿たれる風穴は6つ
それは左手でやったことだと英雄視されている
ならば俺が右手で構えるとき
撃ちだされるのは崇拝を否定する『8発目の弾丸』(アウトロー)となり
神の眉間に迫るだろう
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やり終えて、納得した。
観客席の様子も気にならない。
私は『脱出王ハリー』を第三階梯に進めない。
だって、他の victim の物語が進んでないから。
そうしないと、皆が、まあ、これなら良いかと頷いてくれないから。
もっと良い結末があるはずだから、次、やる時まで元気でねって笑顔で別れることが出来ないから。
私達は、ずっとキャンペーンを遊んでいた。
だって、私がビーチフラッグを競う相手は『息子』だけだからって、皆が決めてたから。
それで、セミの抜け殻の代わりにゴキブリの死体を受け取らせてみたり、普通のプリンの中に、ワサビ味や唐辛子味の『アタリ』を混ぜてみたり。
でも完食する。
皆で誠実に馬鹿騒ぎして、励まし合っていたんだもの。
ぬるま湯だったけど、それでも大事な場所だったんだ。
なあ、老人の私よ。
もう一度だけ、一緒に遊びたくて来たんだろう。
懐かしくて、でも顔向け出来なくて。
私となら、あの気分を味わえるんじゃないかと思って、未練と後悔を引きずって現れたんだろう。
ほら、早く『教師A』の物語を進めてくれよ。
もう日が沈みそうだ。
『土曜の夜』が来るまでに準備をしておこうよ。
「ターンエンド」




