表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
右や左の国士様  作者: 隣之 芝生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/62

第45話 怠慢プレイ(5)

 第二階梯に『脱出王ハリー』を進めて、祈るようにして振ったダイスの出目は2。

 ケケケ、脱出失敗。

 見よ、超越的存在。

 私は息を大きく吸い込み、立ち上がって演技に入る。

 十字を切り、手を組み合わせ、天を仰いで叫ぶ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

守護福者降臨ポジティブ


俺のきゝ腕は右

発展途上の撮影技術によって、流布したのは左右反転した俺の姿

装弾数6発の拳銃で7発目を撃つ?

その程度、ありふれた出来事だ

鏡に映った背後の敵を振り向きもせずに撃ち殺す

放り投げた空き缶が地に落ちるまでに穿たれる風穴は6つ

それは左手でやったことだと英雄視されている

ならば俺が右手で構えるとき

撃ちだされるのは崇拝を否定する『8発目の弾丸』(アウトロー)となり

神の眉間に迫るだろう

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 やり終えて、納得した。

 観客席の様子も気にならない。

 私は『脱出王ハリー』を第三階梯に進めない。

 だって、他の victim の物語が進んでないから。

 そうしないと、皆が、まあ、これなら良いかと頷いてくれないから。

 もっと良い結末があるはずだから、次、やる時まで元気でねって笑顔で別れることが出来ないから。

 私達は、ずっとキャンペーンを遊んでいた。

 だって、私がビーチフラッグを競う相手は『息子』だけだからって、皆が決めてたから。

 それで、セミの抜け殻の代わりにゴキブリの死体を受け取らせてみたり、普通のプリンの中に、ワサビ味や唐辛子味の『アタリ』を混ぜてみたり。

 でも完食する。

 皆で誠実に馬鹿騒ぎして、励まし合っていたんだもの。

 ぬるま湯だったけど、それでも大事な場所だったんだ。


 なあ、老人の私よ。

 もう一度だけ、一緒に遊びたくて来たんだろう。

 懐かしくて、でも顔向け出来なくて。

 私となら、あの気分を味わえるんじゃないかと思って、未練と後悔を引きずって現れたんだろう。

 ほら、早く『教師A』の物語を進めてくれよ。

 もう日が沈みそうだ。

 『土曜の夜』が来るまでに準備をしておこうよ。


「ターンエンド」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ