第43話 怠慢プレイ(3)
屈辱に震えていた。
手加減する、わざと負けるなど、してはならぬことだ。
超越的存在の意向を受けて『噛みつかせる』ためにしているのだと思えば、なお情けない。
それでも、気に入らないからといって途中で投げ出すことは出来ないと顔を上げた時、老人の私が言った。
「『カットイン』恥ずかしいのなら私がやろうか? アレが見たくて待ってるんだ」
ああ、やってやるとも。
オマエにやらせてなるものか。
真剣に基督教を信仰している人々には申し訳ないけれども、演出上の必要ということで許して欲しい。
エクソシストの登場だ。
胸に十字を切り、両手を組み合わせて呼びかける。
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「守護福者降臨」
俺のきゝ腕は左
21人を射殺し、7月14日に21歳で死んだ。
全て7の倍数で、その刹那的な生きざまと、早撃ちの伝説への憧憬は
半ば信仰と化して、俺は福者に擬制列福した。
俺が左手に握るリボルバーが6発の弾を打ち尽くしてなお
打ち出される7発目の銃弾(アンラッキー7)は
悪魔の眉間さえ打ち抜く
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悔しい。
前世ではビリーザキッドの愛銃といわれるコルト社製サンダラーのモデルガンを用意して、クルクル回してホルスターに収めてみせたりするのだけれど、兵器を否定しているこの世界では、モデルガンの製造販売も忌避されていて、もちろん玩具の拳銃も無いから、私が構えているのは指鉄砲だ。
視界の端で観客席の様子が見える。
親友は耳まで真っ赤にして俯いている。共感性羞恥心というやつかな。
若葉さんは引っ繰り返って腹を抱えて笑っている。
物部副会長は背を向けて手鏡越しに観戦している。直接視ると呪われると思っているのかな?
因獄先輩は生真面目に速記中。この部分は後で速記録から削除して欲しい。
織部会長は泰然自若として、その視線は何処か遠くを見ている。周辺視というやつで全体の動きを把握しているのだろう。
指笛が室内に鳴り響いた。
「ヒュー、いかしてるぜ、ビリー。」
もう『カットイン』の宣言を省略して老人の私が気ままに発言している。
超越的存在が咎める気配もない。
これでは、いつもの私達みたいだ。
懐かしい悪ふざけだ。
「でもよう、まだ隠してるんだろう? 奥の手を」
挑発しても無駄だぞ。
こんな恥ずかしいの、何度も出来るか。
でも、やりたい。




