第38話 安全第一に
『芸術点というかモラルというか、まあ、調貫徹の方が良かったな』
老人の私が、どのような悪意を持っているのか瀬踏みをするため、私は負けるつもりだったのだが。
下手投げで受けやすいように放った私のダイスを、老人の私は狙い定めて卓外に落とし、犬の物真似の出来を競った結果、勝ってしまった。
私は「ワン」と一声、吠えただけなのに対し、老人の私は両手両足を床について室内を走り回り、片足をあげてマーキングの姿勢までとってみせた。
すかさず『カットイン』してペットボトルの水で流すなり、エチケット袋で始末するなりの演技を被せれば優劣の判定は覆っただろうか?
よく分からぬが、ヴィックスプレイヤーとしては完全敗北だった。
悔しかったので、もうダイスの処理は自分ですることにする。
頭上に放り投げたダイスを自分で卓外に落とせば『犬殺しループ』の起点となるのだが、きちんと卓上に落として、出目は6。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『愛して殺す印地打ち #4改』
名前 与吉
年齢 32
特技
印地打ち
投石の名手であり、投石紐を使用すれば防具を身に着けた相手の殺傷も可能。投石紐がなければ、手ぬぐいなどの代用品で同様の成果を得ることが出来る。
境遇
息子の死後、逃散し無宿人となった。
通りすがった廃村の荒れ果てた墓地で白い仔狼を拾った。
乳など与えるあてもなかったので、撃ち殺したイノシシの腹を裂き、血を啜らせ、内臓を食わせた。
自分が食うつもりのない部位を与えただけで、特に可愛がるようなことをしたつもりはなかったが、放浪する与吉に仔狼はどこまでもついて来る。
食い物目当てに付きまとってくるだけの仔狼に、さっぱり情など湧かなかったが、もう暫くだけ様子を見て、やはり、何の情も湧かなければ、撃ち殺してしまおうと思っている。
特記
犬の物真似をしてGMに優勢の判定を受けたプレイヤーは劣勢の判定を受けたプレイヤーに飲食物を提供し、提供されたプレイヤーは飲食物を完食しなければならないが、飲食を拒否して退席する権利がある。
※ 飲食物の提供についてはコスト負担の軽減の観点から、GMには水道水程度でも飲食物として認める裁量がある。特に食品アレルギーには注意して、プレイヤーの健康と安全を確保すること。
1D1~3 愛して殺す印地打ち #9 へ物語は続く
1D4~6 愛して殺す印地打ち #10 へ物語は続く




