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「…朝か」


 窓から差し込む光に、俺は目を覚ました。


「…学校、あったっけ」


 立ち上がって、制服を手に取る。赤く厚い生地の制服だ。


「…あれ、こんな制服だったっけ?」


 ふと、疑問を口にする。確か、制服は青かった筈。


「…気のせいか」


 俺は制服を羽織り、最近買ったライトノベルを鞄に詰めた。


 お気に入りの復讐系小説だ。キャラクターがいい味を出しているんだよなぁ。


 特に、ミオリってキャラが好きで…って、そんなキャラは居なかったか。

 誰だよ、ミオリって。


「…疲れてんのかな、俺」


 そう呟いて、俺は自分の頭を疑い始めた。

 今日はいつもと違和感があるのだ。


「あっ、やべっ遅刻する」


 …しかし、その違和感は遅刻しそうだという焦りでいつの間にか忘れてしまっていた。


───

──


「グギャギャ!?」


 僕は目の前に現れたホブゴブリンを一刀両断する。

 斬られたホブゴブリンは、光の粒子となり消えた。


「はぁ…」


 剣を鞘におさめながら、僕は溜め息をついた。


「ステータス、オープン…」


 そう呟くと、僕のステータスが表示された。


────────

日比谷 虎太朗

Lv72 age16 HP3888/3888 MP2592/2592

《勇者Lv12》《逆境Lv08》

《剣術Lv32》《身体強化Lv18》

《光魔法Lv11》《必要経験値減少》

《獲得経験値増加》

『勇者』『偽善者』

────────


 ここはミナシカダンジョンの二十三層。


 全百層以上あると言われているこのダンジョンのいわゆる中層と言われている場所だ。


 一層から二十層までは上層、二十一層からは中層。そして、五十層からは下層。


 渡辺さんはミナシカ領を離れ、佐倉くんはよくわからない事になった。


 そして、ルイザさんとは…


「はぁ…」


 正直、どんな顔をして会えばいいかわからない。


 だから、僕は逃げ込むようにダンジョンの中に来ていた。


 勇者の中で、二十層以上進んでいるのは僕だけ。

 クラスの誰にも会いたくなかった。


 過ちを忘れたいがために、僕はダンジョンの中を進んで行った。


 僕が光魔法を自分で使えなかったら、ダンジョンの攻略は遅れていただろう。


 ダンジョンの手前で、回復ポーションを勧められたが光魔法で傷の回復は出来るので買わなかった。


 光魔法以外にMPを使うこともないから、MPにさえ気を付けておけば大丈夫だ。


───

──


 日比谷様との、あの事件があった半日後。

 私はベッドの上であの事件について頭を悩ませていました。


「ファーストキス…」


 考えるだけで顔に火が灯ったように熱くなってしまいます。


 そんな大変な状態の私に、同僚のクリスティーナがニヤニヤしながら話しかけてきます。


「恋する乙女みたいな顔して、どうしたの?」


「クリスぅ…」


 私は目尻に涙を溜めて、膝建ちでクリスに抱きつきました。


「ちょっと、本当にどうしたの?」


 クリスは私を心配しながら、頭を撫でてくれます。


「あのですね…私、ふぁ」


「ふぁ?」


「ふぁ、ファーストキスを!…して、しまったのです…」


 クリスの方に顔を向けて、私は事情を口にしました。


「…マジっすか」


「はい…」


 クリスに抱きつく力を強くしてしまい、さらに恥ずかしくなりました。


「それで、相手は?」


「ヒビヤ様から…」


「とんでもない玉の輿じゃないか」


「でも、恋愛なんかしてる場合じゃないんです…」


 私は、クリスに縋るように言いました。


「確かに、勇者様達は今良い環境にいるとは言えないね」


「私が担当していたサクラ様は精神を病んでしまって…サクラ様の友人達も不安定な精神状態に」


「勇者様の半数以上はもう戦えない。…死者もこれから増えるだろうね」


「はい…こんな状態で、私はどうすれば良いのでしょうか」


「そうだね…特別なことは何もしないでいいんじゃないかな」


「それって、どういうことですか?」


「たぶんね…ルイザがヒビヤ様のことを愛しても、愛さなくても大して何も変わらないと思うんだ。大事なのはその人の支えになるかどうか…ルイザはヒビヤ様のことが好き?」


「…好き、だと思います」


「それなら、ヒビヤ様を支えてあげたらいいんじゃない」


「支えるだけでいいんですか…?」


「うん、それだけで十分」


 そういうと、クリスは微笑みました。


「気持ちが楽になりました、ありがとうクリス」


「どういたしまして…所でルイザ?」


「はい」


「いつになったら君の敬語が抜ける日が来るのかな?同年代だよね、私たち?」


 その質問に、私は胸をはって答えました。


「そんな日は来ません。これは私の癖なんです」


「胸をはって言うことじゃない…」

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