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2

 僕のステータスにそれが現れたのは、いつごろだったか。

 …気がついたときには、そのスキルはステータスに書き込まれていた。


────────

日比谷 虎太朗

Lv28 age16 HP1512/1512 MP1008/1008

《勇者Lv05》《逆境Lv05》

《剣術Lv16》《身体強化Lv10》

《光魔法Lv06》《必要経験値減少》

《獲得経験値増加》

『勇者』『偽善者』

────────


 偽善者。

 …最近はこの言葉のことばかりを考えてしまっている。


 今までずっと、僕は正しく生きようと心掛けながら生きてきた。

 …なのに、何故。


 こんな僕へとさらに追い討ちをかけるように転がりこんできたのが、渡辺さんがオクタビロ領へ出発したという知らせ。



 …そのような出来事が重なり、僕の心は疲れきっていた。

 廊下に差し込む光がいつもより眩しく感じる。

 …ふと前を向くと、焦るルイザさんが視界に映った。


「どうしたんですか?ルイザさん」


「日比谷様!実はサクラ様の部屋に内側から鍵が掛かっていたんです!ですから…」


「まさか、佐倉くんが目を覚ましたんですか!」


───

──


「鍵をお願いします」


 佐倉くんの部屋の扉の前に立った僕は、ドアノブにルイザさんから渡された鍵を差し込んだ。


「……開きました」


 そして僕は、佐倉くんの部屋の扉を開けた。


「…ッ!?冷たっ!」


 すると、部屋の中から鋭い冷気が流れ出てきた。


「これってまさか…魔力暴走?」


 ルイザさんが小さな声で言葉を口にした。


 その部屋の部屋中には厚い氷が広がり、至る所に氷柱が出来ていた。


「…一体どうなってるんですか?」


「私にも…良く分かりません。ですが、恐らくは魔力暴走かと思います」


「魔力暴走…?」


「その名の通り、魔力が何らかの異常を来すことです。精神が不安定な時期に起こりやすいと聞きます。ですが、こんな規模の魔力暴走は見たことが有りません…」


「じゃあ、どうすれば…」


「私からは何も言えません…兎に角、進んでみるしか無いでしょう」


「分かりました、行きましょうか」


 僕が部屋の中を覗きこむと、部屋の先が見えなくなっていた。


「…部屋、広がってませんか?」


「広がっていますね…これも魔力暴走の影響でしょうか」


───

──


 部屋の中には入って、暫く後。未だに部屋の奥にはたどり着かない。進むにつれ、気温はどんどん下がっていく。

 冷たい室温が着々と僕の体温と冷静さを奪っていった。


「寒い、ですね…」


 ルイザさんが、そう呟く。


「…そうですね」


 ルイザさんの体が震えていることに気がつき、僕は自分の上着をルイザさんに掛けた。


「っ、ヒビヤ様、何を…」


「僕は大丈夫ですから」


「…はい」



 それからも進むにつれ気温は下がっていき、視界の数メートル先すら見えなくなくなっていた。

 そして、少し前に人影が一つ現れた。


「…ヒビヤ様!あれは…」


「佐倉くん…?佐倉くんなのか?」


 何ひとつ言葉を発さない人影に、僕は近づいていく。

 そして、その人影の肩を掴む。


「っ!!」


 人影の正体を確認した僕は思わず後退る。

 その人影は、氷ついた人間…いや、人間に見間違えてしまいそうな程精巧な形をした氷の人形だった。

 その氷から透けて、赤い液体が体内を人間でいう心臓の位置から中心に血管のように張り巡らされているのが確認出来た。


「…なんだ…?!これは…!」


「コレ イジョウノ タチイリハ キンズル」


 そんな、機械のような音がその氷から発された。

 その音と同時にその氷の口が動き、まるで本当に氷が生きているかのように錯覚してしまうほどに自然な動きだった。


「スミヤカニ タチサラナケレバ タダチニ ジツリョクコウシデ ハイジョスル」


 僕はその氷人形を前に、呆然と立ち尽くした。


 氷人形の手に、恐ろしい量の魔力が溜まっていく。

 そして、氷人形はその手を此方側に向けた。



「ヒビヤ様っ!」


 悲鳴のようなその声と共に手を引っ張られる。


「逃げましょう!危険ですっ!」


「…あ、ああ!」


 背後で、強大な魔力が溜まっていくのが感じられた。

 咄嗟に僕はルイザさんごと押し倒して、地面に転がった。


「キャッ!」


 …その一瞬後に僕達の上を強大な魔力の線が空間を貫くように放たれた。

 その魔力が極限に圧縮されていたのが幸いして、地面に転がっていた僕達に影響はなかった。


「逃げましょう!」


「うぅ…すいません、ヒビヤ様だけで逃げて下さい…」


 僕は、ルイザさんに呼びかけたがルイザさんは怪我をして歩けなくなっていた。


「仕方ない…」


「はい…って、何をしてるんですか…?!」


「しっかり、掴まっていて下さいね!」


 僕はルイザさんを抱えて立ち上がり、氷人形から出来るだけ遠くへ離れるために精一杯走った。






長らく無断で休載してしまい、申し訳御座いません!

現実の方で、色々と多忙だったので文章を書くことが出来ず何週間も休むことになってしまいました。

今回もやっとのことでの投稿です。

私的な問題で申し訳ないのですが、これからも度々休載してしまうことがあるかもしれません。ですが、出来るだけ活動報告への投稿はしますので気になる方は其方の方も宜しくお願いします。

(今回は活動報告にも書いていませんでしたが…)


3/9

「仕方ない…掴まっていて下さいね!」


 僕はルイザさんを抱え上げ、氷人形から出来るだけ遠くへ逃げるように走った。

「仕方ない…」


「はい…って、何をしているんですか…?!」


「しっかり、掴まっていて下さいね!」


 僕はルイザさんを抱えて立ち上がり、氷人形から出来るだけ遠くへ離れるために精一杯走った。


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