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 探索者業界支部は、煉瓦造りの立派な建物だった。

 中には、正面にカウンター、左側に酒場のようなものがあり、右側には様々な依頼が貼ってある。  


 俺が支部に入り、正面のカウンターへ足取りを進めていると、カウンターの正面から2mはあるかという大男が飛んできて、酒場のイスやテーブルをなぎ倒しながら転がっていった。

 一体何事かとカウンターへ顔を向けると、全身が赤い男と目が合った。

 その男は燃えるような赤い短髪に同じく赤い瞳を持った、如何にも主人公と言った容貌をしていて、尚且つ赤い装備に身を包んでいた。


「騒ぎにしちまって悪かったな」


 その男は、俺から視線を外すと受付嬢に一言謝り、探索者業界支部を出て行った。

 一体何だったのだろうか…そう考えていたのが顔に出ていたのか、ルイザさんが横からあの人物は〈赫灼(せきしゃく)〉という二つ名を持った人物だと教えてくれた。


 いきなりこんな事が起きたのを見ると、探索者業界が大丈夫なのか心配になってしまうな…

 まあ、それはさて置き、俺の方は何の憤りも無くすんなりと探索者登録を済ませることができた。



 探索者登録を済ませてからかれこれ二時間

後、俺達勇者はミナシカダンジョンの入り口に集まっていた。

 俺達の前にはいつも通り騎士団長が立って声をあげている。


「早速だが、これからお前達はダンジョンに潜る。何人かで手を組んでサクサク攻略するも善し、一人で地道に進んでいくのも善しだ。皆、三時間後にはここへ戻ってくるように。それでは健闘を祈る、以上だ。解散!」


 …話が終わった瞬間から日比谷はクラスメイトに集られていた。

 この分だと渡辺は案の定省かれるので、俺は守る意味も含めて渡辺と組むことにした。


「渡辺、俺と一緒にダンジョンへ潜ろう」


「…ちょっと待ってどういうこと」


 話がいきなり過ぎたのだろうか、渡辺は俺に対し変なものを見る目をして、困惑していた。


「…ああ、悪い。つまり、手を組まないかってことだ」


「なるほど、そういうことだったのね」


 渡辺は納得したように、小さく頷いた。と同時に少し疑問も抱いたようだ。


「別に、私に問題はないけど…あなたに得がないんじゃない?私、精々荷物持ちぐらいにしか成らないと思うけど」


「確かに、表面上はそう見えるだろうな…」


「…表面上は?」


 俺が意味ありげに言葉を発すると、渡辺は何か思い当たる節があったようで、俯き考え込んだ。

 まあ、何もないんですけどね。


「兎に角、メリットは俺にもあるってことだ。どうだ、俺と一緒に探索しないか?」


「うーん…じゃあ宜しく頼むわ、佐倉くん」


「ありがとう、こちらこそ宜しく」


 そういって、俺達は握手を交わした。渡辺、俺の手を握るのを若干躊躇していたようだったけど…嫌われてるのか…?

 まあ、こうして、俺は渡辺と共にダンジョンへ潜ることとなった。

 因みに、結局日比谷は他のクラスメイト達に捕まったようだ。


 …この時、俺達を観察する視線が一つあったことに、この時の俺はまだ気付くことができなかった。



───

──



 ミナシカダンジョン第八層。敵であるモンスターを倒し、俺はレベルがかなり上がっていた。


────────

佐倉 颯真

Lv12 age16 HP214/288 MP1062/1228(+652)

《水魔法Lv09》《氷魔法Lv11》

《雷魔法Lv56》《瞑想Lv28》

《魔力感知Lv53》《魔力操作Lv58》

《必要経験値減少》《想像と創造》

『魔導の才』

────────


 雷魔法と比べてスキルレベルが低かったという理由から、主に氷・水魔法を使ってモンスターを倒していったのだが、魔力感知、魔力操作が共に50レベル以上になっていたことが原因なのか凄まじいスピードでレベルが上がっていった。

 MPも順調に増え、今ではもう千を越えている。

 だが、残念ながら渡辺はあまり強くなってはない。


 やはり、《必要経験値減少》のようなスキルが無いのが勇者との成長スピードに大きな差をつけているようだ。


 俺は黒い霧となって消えたモンスターの中に残った核、魔石を回収した。


「荷物持ちぐらいするけど…」


 すると、横から渡辺が口を挟んでくる。

 渡辺のダンジョン攻略に置いての役割が少ないので、迷惑になってないか心配なようだ。


「…心配しなくても、別の面で渡辺は役に立ってるよ」


「…本当に?」


「勿論」


「…分かった」


 渡辺は、俯き目をそらしながら呟いた、可愛い。

 どうやら、納得はしてくれたようだ。



 俺達が第九層に付き、探索をしている時。第十層へと進む、高良、高崎、高田の三人が目に入った。

 ダンジョンには、十層ごとにボスフロアがあり、高良達はそこに行こうとしている。


 この世界では、最低限道具の準備をしなければボスには勝てない。

 準備無しに勝つためにはボスとの圧倒的な力量差が必要となる。

 つまり、今日ロクに準備もせずにダンジョンに潜っているあいつ達は…



 …多分、死ぬ。

 そんな言葉が、気持ち悪いぐらいに頭から離れなかった。

 俺は立ち尽くし、どうするか考えようとした。

 しかし、あいつらは立ち止まらず、下の階層へ降りていった。

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