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すいません!遅れました!

 さて、思う存分練習していってと言われたわけだが俺は現実に戻ることにした。

 時間を気にせず雷魔法のスキルレベルを上げることができるのは魅力的なのだが、力をつけるといつダンジョンに送り込まれてしまうか分からない。渡辺を守れなくなるのは少し痛過ぎる。

 ということで現実に帰らせてもらうため、少年に話しかける。


「なあ」


「ん、どうしたの?」


 ニコニコと嬉しそうに少年は俺に聞く。


「悪いんだが、現実に帰っていいだろうか」


「えっ、もう行っちゃうの?…残念だなぁ」


 本当に残念そうに少年は言った。少し名残惜しくなってしまうが、別にもう来ないわけじゃない。


「今はちょっと都合が悪いんだ、また来るからな」


「うん、分かった。じゃあ、またね」


 少年がそういった瞬間、俺はハッとした。いつの間にか風景が図書館に変わっていたからだ。

 それにしても、魔導夢とは不思議な体験をしたものだな。図書館に設置されている時計を見たところ時間はたっていない。

 …一つ疑問に思ったのだが、俺はこの本を開くと魔導夢に入ってしまうわけだから、本の内容を俺は読むことが出来ないのだろうか。今気がついたが、魔導書はいつの間にか閉じられていた。

 仕方がない、この魔導書は借りるとして、他の本を探すか。


──────

────

──


 気になる本を見つけた。『魔法とイメージの関係と重要性』というタイトルの本だ。

 なんと、著者が先程の魔導書を書いた人物と同じだったのだ。著者の名はエグバート・スウィンナートン。凄い人だったのかもしれないな。

 早速、読み始める。






 …興味深い内容だった。この本によると魔法とはイメージを具現化したものらしい。だから、同じ魔法でも使い手によって種類は十人十色。イメージが高度な程、魔法の力と魔力は大きくなる。イメージが正確であれば、どんな無茶苦茶な魔法でも発動でき、逆にどんなに簡単な魔法でもイメージが正確でなければ発動しない。というような内容で、色々な法則性も書かれていたので見ていて飽きなかった。

 時間を見ると、もう6時になっていた。そろそろ夕食の時間だ。俺は席を立ち上がり、受付で魔導書を借りた。その時、司書さんにビクつかれたのはお約束だ。そして、その後何事もなく部屋に戻った。

 もう随分と馴染んだ自分の部屋に入ると、なんとなく心が落ち着き、気が抜ける。最近は大変なことばかりだったが異世界にも慣れてきて、徐々にリラックス出来てきているのだと実感した。…一休みしてから魔導書を部屋に置いて食堂に向かう。

 廊下を歩いていると、照明が消える。停電だろうか。ふと、窓の外を見ると雨が赤く血のように染まっていた。食堂の方が騒がしい。どうやら何か起こっているようだ。俺は急いで食堂へ向かった。


──────

────

──


 「一体どうなってんだ?!」


 勇者達が騒ぐ。いきなり照明が消えて、食堂の扉が閉まったからだ。食堂に今いるのは13人の勇者だ。一人の勇者が食堂の扉を叩いているが、無駄だ。この哀れな勇者達は運が悪かったのだ。

 魔王様からの命令により、勇者達を半数程虐殺しなければいけない。本来なら勇者全員を今殺しても良いのだが、魔王様はとても愉快な性格をしていて、戦争を楽しんでいるのだ。この命令をした理由が、“面白ろくなりそう”なのだから尚更愉快だ。だからこそ、私は魔王様に着いているのだがね。

 さて、これから勇者達の虐殺を始めようか。今の勇者と私との力の差は激しい。加えて、四百年も生きたヴァンパイアに勝てる人間など無いに等しいからな。

 そう思いながら、食堂に現れる。勇者からはいきなり現れたように見えたであろう私に勇者達の目線が集まった。その勇者達に私は礼儀正しく自己紹介をする。


「初めまして、私は魔王軍第一部隊隊長のヴァンパイア、カンデラリアと申します。この度は、勇者様方を虐殺しに参りました。」


 そう言いながら、殺気を放つ。私の殺気を受けて、勇者達は少なからず自分たちの置かれた状況を理解出来たようだ。この中で動ける者はいない。


「変に抵抗されても困りますので、この中で一番強い勇者様から虐殺をします。こんな大人数全員を殺すというと流石の私でも疲れてしまうでしょうから、ひょっとしたら弱い勇者様が三人ほど生き残れるかもしれませんね。さて、この中で一番強い方は誰ですか?」


 勇者の内の誰かが喉をゴクリと鳴らした。そう、他人を蹴落とし自分だけが助かるために動くのだ。…勿論私はこの13人を、一人残らず全員殺すつもりでいるがな。さらに愉快な状況を作るため、私はここの勇者達全員の強さを鑑定した。

 …一人、面白い子がいる。私の魔眼でなければ見抜けなかっただろう。


────────────

渡辺 美織

Lv01 age16 HP12/12 MP4/4

《従者Lv02》

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

<locked>

《必要経験値超減少》《獲得経験値超増加》

《復讐ノ使徒》《暗殺術Lv99》

《暗黒魔法Lv99》

<解除条件>

同じ種族から2000ダメージ

────────────


「…っコイツが、渡辺が一番強いっ!」


「え?待っ」「そうだ!渡辺が一番強いよな!」


 ワタナベは勇者達によって私の前に押し出された。…この様子だと、放っておいても近い内に目覚めるだろうな。このワタナベを蹴落とした勇者達は本当に一番の強者を指名したとは夢にも思っていないだろう。此処でワタナベは驚きの行動に出た。ワタナベは私を睨みつけたのだ。面白いな。…決めた、いずれこのワタナベを私の部下にしよう。だから、私はワタナベにだけ聞こえるように優しく囁いた。


「…いい子だ、時が来たら私の部下にしよう。それまで頑張るんだよ」


 そして、次は勇者達全員に聞こえるように声を出す。


「気が変わりました。全員生かしましょう、それではさようなら勇者様方」


 もう会うことはないだろうがな。私が手を出さなくとも、いずれ勇者全員をワタナベが虐殺してくれるだろう。…ワタナベ、美味しく育ってくれそうだ。






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