9
大粒の雨が地面に叩きつけられる。最近から、国に支給された赤色の制服みたいな少し厚めの服を着ているのだが、それでもまだ寒い。城の窓にガラスが張っていない方の廊下を歩いているから尚肌寒い。
あの事件が起きた日から、もう三日続いての雨だ。そのせいで訓練も三日連続で中止になっている。空模様と同じようにクラスメイト達の中にもどんよりとした雰囲気が漂っているようだ。もっとも事件のことも関係しているのだろうが。
俺は今じゃもう、城で知らない人はいない程有名になっている。勿論悪い意味でだけどな。
廊下で城の人やクラスメイトにすれ違うと必ずと言っていいほどビクビクされたり小さくヒッと言われたりする。
それまでならまだ良かったのだが、流石に渡辺とすれ違ったときに俺を無視しながら早歩きで去っていかれたのはショックだった。
今日俺は図書館で魔法について書いてある本を読もうと思っている。エリーさんには悪いがエリーさんの説明だと、難しいし大変だからな。
──────
────
──
図書館まで歩いている途中に、ある見慣れない服装の男とすれ違った。その男は本を何冊か持っている。
この城では、勤めている職業によって制服が決まっているらしく、服装で大体どんな人か分かる。最近では渡辺がメイド服を着ていたことに驚いたが、まあそれは置いておこう。
この三日で見慣れない服装なんて無くなってきたが、其処までは別に可笑しくはない。この男、全く俺に恐怖感を抱いていない態度なのだ。この城で俺に恐怖を抱かない人物なんて、もうアルベルトさんとルイザさんくらいだ。
だから、その人が気になり話し掛けてみた。流石に、俺の名前を聞いたら何か反応するはずだ。
「こんにちは、はじめまして、俺は佐倉といいます」
「…えっ?こんにちは?」
いきなり話し掛けたので驚いているようだが、佐倉の部分に反応はない。この人は物語の中の王子様のような服装をしていて、深い青髪をしている。で、当然の如く顔がいい。流石は異世界といったところか。
「僕は、レオと言います」
「よろしく」
そういって俺はレオに手を差し出す。レオは戸惑いながらも手を握った。
「えっと、此方こそよろしく」
「ああ」
そう言うと、レオは微笑む。イケメンだと様になるな…。見た所、レオはどうやら俺の事を知らなかったようだ。すると、少し疑問だ。
「レオはこの城の人じゃないのか?」
「ああ、僕は冒険者だよ。特別にここの図書館を利用出来るからたまに来ているんだ」
なるほど、だから見慣れない服装だったのか。それにしても、特別に国の図書館を利用出来るって凄いことじゃないのか?
「なるほどな、俺も今から行こうと思っているんだけど何かいい魔法の本って無いか教えてくれるか?」
「ああ、いいよ」
──────
────
──
図書館に付き、扉を開くと中の視線が俺に集まる。内装は外国の古い図書館みたいな内装だ。その中には結構な人数が居る。
俺がレオに教えて貰った本の場所に進むと、俺の背後からドタバタと音が聞こえてくる。えっと、俺が教えて貰った本は、と…あった。この本だ。
本を取って、本を読むスペースへ戻ると、先程と比べて随分スッキリとしていた。
スペースの奥へ移動し、本を開く。その瞬間、辺りの空気が変わった感覚がした。周りから何もかもが消えていたのだ。どこだここ。
虚無の空間で呆然としていると、一人の少年が現れた。
「やあ!…あれ、君、魔導書は初めて?」
魔導書?…なんか気になる単語が聞こえてきた。それにこの子は誰なんだ?俺が戸惑っていると少年はまた喋りだした。
「どうやら、初めてらしいね。そしたら、知らないでこの本を開いたのかな?」
「本?ここはどこなんだ?」
「えっとねぇ、まあ、簡単に言うと本の中、かな?」
少年が言った言葉に驚く。
「本の中だと?本当なのか?」
「うん、君は初めてなようだから説明するね。聞いたことないかな?魔導書の中には不思議な効果があるものがある、って。それは本の中に意識が吸い込まれてしまうことなんだ。魔導書が見せている夢とも言えるね!だから、魔法使いの間では魔導夢って言われてたりするよ!今じゃこういう本を作れる魔法使いはもう居ないんだけどね…」
「魔導書か、じゃあ俺が読もうとした本はその魔導書ってやつだったんだな」
「そういうこと!この空間は、すごい所なんだよ。まず、この空間だったら魔力を消費することはないから何回でも魔法を使えるんだ!まあ、魔導書ごとに使える魔法の系統は決まっていてその系統を使えないとこの空間には来れないけどね。波長が合わないっていうのかな?だから、君はこの本と波長が合っているってことだね。ちなみに使える魔法の系統が増えるごとに魔導書の価値は上がっていくよ。5系統も魔導夢の中で使えるようだと、そのを求めて戦争が起きるほどに貴重品になるんだ…そして、二つ目は、ここでの時間は現実の8640分の1で、1日過ごしても10秒くらいしかあっちでは立っていないんだ!現実の世界に戻りたいなら僕にいって貰えれば何時でも戻れるし、ここでもスキルレベルは上がるからね」
なるほど、元の場所には戻れると。
「ね?凄いでしょ!まあ、デメリットもあって、この空間ではスキルレベルが上がる速度が何時もの十分の一になっちゃうんだ。そうそう、この魔導書の系統は雷だよ。じゃ、思う存分練習していってね!」
レオはとんでもない掘り出し物を教えてくれたらしいな。
ふと、この作品の評価を見てみたら100ポイントを超えていました!!!初めての経験にはしゃいでしまいました!
ブックマークもなんと30件以上!!こんな作品に評価をしていただいてありがとう御座います!さらに感想も3件頂いて、本当に感謝しています!
投稿ペースは他のなろう作家様方と比べ、かなり遅く文字数も少ないですが…これからも頑張っていきますので宜しくお願い致します!




