知的っぽくなりたい
「パンはパンでもお前のことが嫌いなパンは…俺だ。」
そう言ってカレーパンマンはアンパンマンに銃口を向けた。
シリアスアンパンマンがあるならこういうシーンありそうだなーと考えていたら昼になった。私はどうやら午前中の貴重な時間をこのことを考えるのに費やしていたっぽい。これがいわゆる無駄ってやつだ。私は最近簡単なことを難しく、そして哲学的に言うことにはまっている。例えば暇という言葉を哲学的に言うと「私は今時と空間のはざまでパンを食っているかのような感覚である。」みたいな感じだ。どうだ、知的っぽいだろ。頭がよくなった気になれるから楽しいのである。あーいかん。また時間を無駄にするところだった。とりあえずカップラーメンでも食お。お湯を沸かして、湯を注ぐ。3分間、時と空間のはざまでパン食っちゃうな―。なんか部屋の掃除でもしよ。その時インターホンが鳴った。私は玄関を開ける。
「はーい。」
そこには二人のおばちゃんが立っていた。有り余った顔のしわを寄せ集めくしゃくしゃの笑顔でこちらを見ている。
「いま、お暇でしたか?」
「あー今ちょうど時と空間のはざまでパンを食ってたところです。」
「…ん?」
「あーいやだから。時空間はざまパン食い男です。」
「暇ってことでいいですか?」
「はい。」
なんだかあっけにとられている様子だった。今気づいた。伝わんないんだこれ。
「でしたら、少しだけお話聞いていただけますぅ?」
「あーいいですよ。」
そうするとおばちゃん二人は姿勢を改めこう言った。
「今、幸せですか?」
なんだその抽象的な質問。私は少し戸惑った後こう答えた。
「幸せというよりも、原子空間に置き去りになった小鹿をはく製にしてしまったと時の感覚に近いですかね。」
何やらびっくりしてそう。一瞬笑顔が消えたのちおばちゃんたちはまた、気を取りなおしてこういった。
「今、幸せですか?」
「うーんというよりも、カルガモの親子丼食べた時の感覚に近いですかね。」
「それって幸せってことですか?」
「なんていうか、地球をボールにしてキャッチボールした時の感覚に近いですかね。」
「じゃあ幸せですか?」
しつけー。RPGの村人かよ。おばちゃんAおばちゃんBじゃん。
「だからー…狩野英考が…」
「幸せかどうかって聞いてるでしょ!」
おばちゃんBが怒鳴った。すげーきれてる。そのまま二人は帰っていった。その後シャア専用おばちゃんがその大きな怒号を聞いて部屋から出てきた。
「なーによいまのー。すごい怒ってたじゃない。」
「普通に話してただけなんですけどね。」
「ていうかたぶん宗教勧誘よ。あたしも一回勧誘されたことあるわ。」
「あーそうだったんすね。」
「でもあんな人たちが怒って帰るなんて珍しいわねー。なんか癇に障るようなこと言ったの?」
「いや僕はただ、質問に答えてただけですよ。」
「あーそう、まぁいいわ。はいこれ。」
そう言ってシャア専用おばちゃんは、手作りラザニアを渡し帰っていった。なんだ手作りラザニアって。フランス人形とバカラしてんのか。あーてかラーメン。絶対伸びてんじゃん。ポセイドンとかるたした時以来の落胆だわ。
「ところであんたこれから何すんの?」
「今からは、走馬灯鬼ごっこしたあとに、革ジャンと時空をさまよって鰻と電話します。」
「まあ確かにあんたの部屋汚いからね。早く部屋もどんな。」
これは伝わんだ。




