表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/38

戦いが終わって

秋葉原戦争が終わった。


眷属世界では、カレン手島が、

三条茜に敗れたことが大きな話題となっている。


本当は、俺がカレンに勝ったのだが、

それでは都合が悪いため、死神のヴィオラにより、

その場にいた者たちの記憶が上書きされたようだ。


ただし、真田は、ヒト族の俺に敗れたと伝わった。

これもヴィオラが真田に反省させるための罰だった。


ヒトが眷族に勝つことは歴史的な大事件だが、

誰もそのことに触れなかった。


それは俺が、江良の加護者であることが広まったからだ。

そして、俺は禁断とされる神界の武器を使ったことになっている。


神をも倒す神界の武器である。

例えヒト族でも、中級眷族相手なら勝てて当然だろうと誰もが思った。


全てがヴィオラの記憶操作によるものだ。



噂を聞いて、最初に反応したのはインスペクター本部だった。


「茜ちん、強い。

 さすが、あたしの永遠のライバルなのだ。」

「お前もそう思うだろ?」


「むきゅー」


真っ白い雪ウサギを抱いた少女が、巨大モニタの

エーテルTVニュースを見ながら興奮している。



これまで、ヒトの世界における眷族の序列は、


死神が1位。

2位がインスペクター、

3位がガーディアンだった。


序列が上だと、互いの計画が重なった時に

上位の団体が優遇される。


今回の秋葉原戦争は、死神主体の計画だ。


そのため、ガーディアンはサポート役として、

遠くから状況を見守っていた。


しかし、カレンがヒトに敗れたことで、状況が変わった。

まだ、公式発表はないが死神の順位は3位に落ちる事だろう。


そのため。最後にカレンがヒカルを襲おうとしたときに、

三条が飛び出したのだ。



秋葉原戦争の翌日、

インスペクター本部の会議室。


インスペクターの上級眷族にして、

こちらの世界のリーダー、ユーリ・ウェイバーが

熱っぽく、参席者に語り掛けた。


軍服の大男は常に暑苦しいぐらい熱血だ。


「今回、カレンが三条茜に敗れた。

 これによりガーディアンが序列1位になるだろう。

 だがこの1000年、俺たちはガーディアンの上にいた。」


「「「 おーーー。負けてないぜーー 」」」


会場が盛り上がる。

不思議とこの男が演説すると周りが言葉に引き込まれる。


「奴ら、ガーディアンは俺たちより弱い。

 我々が結束すれば、確実に1位に返り咲ける!

 3000年ぶりに美酒で盛り上がろうじゃないか!」


「「「 やってやろうぜーー! 」」」


会議室から賛同の声があがる。


「そこで。」


ここで大男はひと呼吸を置く。


「本国の第一線から、ある戦士をこちらへ召喚する。

 その名は、ガゼフ・モロノフだ」


「おー、ついに本国は本気モードだぜ」

「コールドビューティと共闘すれば確実に勝てる」



会議室の隅っこで、ウサギと遊んでいた

フレッダに参加者の目が集まった。


「ユーリらしい考えだけど、あたしは嫌なのだ。」


「フレッダ、頼む。力を貸してくれ」


「茜ちんは、私が1人で倒すのだ。

 エマ様も、フレッダが自由にしなさいと言っていたのだ。」


ユーリと呼ばれた大男が、頭を抱えた。

インスペクター最強の戦士は間違いなくフレッダだ。


その強さはずば抜けていて、

四天王の一角である自分でもかなわない。


四天王とは、ユーリ、ガゼフ、孫武、そして最強のフレッダだ。


自分たちの神、エマがフレッダに話した通り、

確かにフレッダは単独戦が得意だ。


しかし、演説でも言ったが今がチャンスなのだ。

そのため、今回はフレッダと仲が良いガゼフを呼び出した。


ガゼフは、光属性の戦士。

フレッダを孫のように可愛がり、フレッダもなついている。



だが今回は相手が因縁のライバル、三条茜なので仕方ない。

それに一度、言い出したらフレッダは頑固だ。


「分かった。ただし、邪魔だけはしないでくれよな」


「了解なのだ」


フレッダは自分が言いたいことが終わると、

雪ウサギを連れて、走って会議室を出ていった。


「フレッダの代わりにガゼフのパートナーは、ドン・グルーとする。

 本人に連絡をしておいてくれ。」


そういうと、ユーリはため息をつきながら扉から出ていった。


「ドン・グルーって誰だ?」


「最近、売り出し中の中級戦士らしいぜ。

 何でも、ここ100年間の戦役で、エース級の活躍をみせているそうだ」


「今回、大役を無事に勤めれば、上級昇格が間違いないな。」


「3000年ぶりの上級眷族の誕生か? そいつは凄いな」




GWが終わり、俺たちは遠足で鎌倉へ来ていた。

初夏の青空が広がる中、山から吹き下ろす風が心地よい。


俺は歴史が苦手なので寺や仏像を見ても、よく分からない。

三条だけが、絵画や書物を見ながら楽しんでいる。


もう1人のポニテは、相変わらずマイペースだ。


「ほな、次いくでー。

 次は、冷やしたこ焼きや!

 “たこ焼き”を氷だし汁につけて食べるんやで。

 普通じゃありえへんわー。


先週から三条は江良のマンションに泊まり込み、

ネットで『たこ焼き』『お好み焼き』の店をググりまくり、

全店回るスケジュールを作ったそうだ。


実際のところ、作業をしたのは三条1人。

江良は、ひたすら“たこ焼き”武勇伝を語っていたらしい。


『“たこ焼き”武勇伝』とは、いったい何か?

聞いても疲れるだけなので、スルーしておく。



昼ご飯は、もちろん“粉もん”である。

この店も三条が眠い目をこすりながら探した店だろう。


目の前では、健気に江良にお茶を出している。

俺は文句を言わず、本格的なもんじゃ焼きを食べることにした。


次の集合場所は、長谷寺だ。



昼食の場所からは江ノ電ではなくバスで向かう。

俺たちは5分ほど、バス停で待って目的地へ向かった。


降りるバス停を確認するため、三条を探した。


いつもバスに乗る時、

江良は一番後ろの端っこに座りたがる。


三条も付き添って後ろに座っているだろう。

俺は、車内の一番後ろの席を振り向いた。が。。。


2人の姿がない。



<<<  bububu   >>>


いやな予感がした。

スマホを見ると、案の定、江良からだ。


『 ごめーん、たこ焼きの屋台があったので食べたら、

  むっちゃ美味しくて。さいこー。あとで行くわ。』


( 出たよ、マイペース女神 )


本当に欲望のままに動く奴だ。


どうせ神なら、カレンのような落ち着いた

雰囲気の理知的な感じが良かった。

綺麗な人だし、何よりも大人だ。


もし、カレンが神だったら?


そんな妄想の世界に浸っていると、

バスは目的地に到着した。



バス停から山門までは少し歩くらしい。

平日の午後で、人通りの少ない道を歩いていると、

目の前に白い物体が転がっていた。


「子供が落とした ぬいぐるみか?」


近づいて、よく見ると真っ白なウサギが倒れていた。


苦しそうに、ぜぇぜぇ、言っている。


ペットボトルの水を飲ませてみようと抱き上げたら、

ものすごい熱を持っている。


俺は特別にウサギが好きではないが、

可愛い小動物を捨ててはおけなかった。


( 体を冷やしてあげた方が良いのかな )


俺は氷のエーテルを使い、冷風を当ててみた。


すると徐々に、ぜぇぜぇする息が止まった。

少し、楽になったようだ。


( 効いているみたいだな )


今度は、氷のエーテルを薄くのばし、

ウサギを包み込むようにしてみた。

こちらの方が、体を冷やせるだろう。


1分ほど、様子を見ていると、

ウサギが立ち上がって、ぴょんぴょん動き回った。


「よし、良くなったようだな」


ウサギは、ヒトの言葉が分かるのか、

俺にうなずくと、肩の上に乗ってきた。


「お前、人懐っこいな。

 もしもペットなら、飼い主が探しているだろう?」


ウサギは俺の肩でうなずいている。


「わかった、わかった」

「江良たちが来るまで、時間があるし、一緒に飼い主を探そう。

 それまで、お前の名前は「ウサ吉」な。」


<< キュキューっ >>


「よろしくな、ウサ吉」


俺たちは、飼い主を探して寺の周りをぐるりと回った。

寺の周りには誰もいなかった。


もう飼い主はいないのかもしれない。




「お前、あたしのペットを誘拐したな」


「ウサ子、こっちにおいで」


ウサ子、このウサギは雌だったのか!


俺はショックを受けていたが、すぐに現実に戻される。

時間が止まってしまったからだ。



ヤバい、こいつは眷属だ。

小学生みたいな格好だが、エーテル量が半端ない。


「ウサ子誘拐犯、現行犯逮捕なのだ。

 わーはっはっは」


腰に手をあて胸を張って、ポーズを決めている。

探偵か刑事にでもなったつもりなのだろうか。


「いや、違うんですけど」


このまま無実の罪で犯人にされたら、たまらない。


「あれ?なんで、お前は動いているのだ?

 ますます怪しい奴なのだ。」



これが、『コールドビューティ』と呼ばれる少女と

俺の物語の始まりだった。

゜*。,。*゜*。,。*゜*。,。*゜*。,


今回もお読み頂きありがとうございます。


下にある広告をさらに下へスクロールすると☆☆☆☆☆が並んでいます。

その☆や「ブックマーク」で応援して貰えると凄く嬉しいです。(*'▽')

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ