表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/38

【閑話】 茜の休日

カーテンの向こうから小鳥たちの

さえずりが聞こえてくる。朝が来たようだ。


(昨日の天野君は凄かった。)


私は昨日の天野君とカレンのバトルを思い出していた。

まだ、どうやって彼がカレンを倒したのか?分からない。


カレン自身も、理解していなかったようだ。

気が付いたら、背後から得意技を止められている、なんて

誰でもショックで戦意喪失になるだろう。


もしかしたら…、

彼は、私の時と同じ技を使ったのかもしれない。



昨日、私はガーディアン本部からの要請で、

死神様の眷族と天野君の戦いを見守っていた。


天野君が防御し、攻撃するたびに

ガーディアンの仲間達の、驚きの声が挙がった。


しかし、まさかあんな展開になるとは、

さすがのイデア様も思わなかっただろう。



本当は昨日、私は非番だった。


こちらの世界のケーキ作りに挑戦する予定だったのだ。

しかし、緊急で指令が出たため、泣く泣く中止した。


今日こそはケーキ作りに挑戦である。



それにしても天野君は不思議な子だ。


エーテル量は、決して多くないのに、

上級眷族の私やカレンと五分五分の戦いを演じたのだ。


中級眷族の真田にいたっては相手にならず、

天野君の掌の上で遊ばれていた。


ミア様の加護を受けたのだから当然だが、

常識の範囲を超え過ぎている。



そういえばミア様も仰っておられた。

『 ヒカルだから光の魔術は凄い 』


神をして「すごい」と言わしめる力は、

どれだけのパワーを秘めているのだろうか?


そのあとミア様は噴き出していた。

こちらの理由は未だ不明だ。



本来であれば、眷属がヒトに後れを取る事は

何よりも恥ずべきこと。


だから最後のカレンや真田の気持ちは痛いほどわかる。

しかし、私は何故か天野くんを守ってしまった。

あの時の気持ちは何だったんだろう?


ともかく、天野君の強さを常識で考えてはいけない。

何よりも成長速度が速い過ぎるのだ。


ただ1つだけ、どうしても許せないことがある。

誰にも許したことがない私の唇に触れられたことだ。


今、思い出すだけでも恥ずかしい。

やはり、いつかは彼と決着をつけなければならない。



気分を取り直して、ケーキ作りを始めましょう。

材料の仕込みは、一昨日の内に完璧だ。



その前に、私は日課の【エーテルポスト】の確認をした。


我々眷属はヒトが使っているメールの代わりに

通信手段として、【エーテル通信】を用いる。


これは、エーテルさえ持っていれば、

ドキュメント、動画、などパケット通信のほか、

荷物や食料などの個体も瞬間移動してくる便利なツールだ。


アールブヘイムとも通信や移動可能なので、

単身赴任中は大変助かりである。



「今日は何か届いているかしら?」


メールと荷物が1通ずつ、届いている。


荷物の差出人は、三条ソフィア葵。

私の姉だ。


姉もガーディアンの幹部をしている。

彼女は文武共に優秀なスーパーエリートだ。


子供の頃から才能をイデア様に認められ、

早いうちからアトランティスへ呼ばれ、

今もイデア様直属で働いている。



尊敬する姉だが、何かと面倒を見たがり口うるさく苦手だ。


荷物は、アールブヘイムの新鮮な野菜と、

アトランティスの果物の詰め合わせだった。


封を開くと、姉の懐かしい声が聞こえてくる。



『茜ちゃん、相変わらず武術の稽古ばかりで

 野菜を食べていないのでしょう。

 故郷の野菜を食べて、体調管理をしっかりすること。

 いいですね』


このところ忙しくて、コンビニ弁当ばかりを

買っていたのがバレている。


『それから茜ちゃん。

 イデア様が、ミア様から貴方のことを褒めていただいた、

 と、お喜びでした。これからも、お仕事頑張るように。』


最後のメッセージは嬉しかった。

ミア様が褒めてくださり、イデア様が喜んでおられる。


飛び上がりたい気分だ。

葵お姉さま、ありがたい情報をありがとうございます。



さて、もう1つの差出人は?

この名前は見たくない。本当にしつこいわね。


キーホルダーぐらいのメッセージバーを、

私はソファーに頬り投げた。


彼女はアールブヘイム時代から、

毎日、”決闘しろ”とメッセージしてくる。

そして毎週日曜日になると決闘に付き合わされた。


全て引き分けだった。


こちらの住所を知らせなかったのに、どこからもれたのか?


ソファーに落ちたメッセージバーにスイッチが入り、

映像が映し出される。



◇◆◇◆◇◆◇◆


「わーっはっはっはっ!」

「茜ちん、私、フレッダなのだ。」


映像には銀髪ツインテールの少女が映っている。

船の上で撮影したのだろう、背景は海だ。


少女の背後には『あたり号のかき氷』という

手書きのノボリが見えた。


「いま、私もニホンに来ているんだぞ。すごいだろ。」

「この子も一緒だぞ。」


白い雪ウサギが、少女の肩に乗って挨拶をした。

その時にバランスを崩し、ウサギが落ちそうになる。


少女は慌ててウサギを両手で抱えて、

カメラの方を向き直り、人差し指を立てて叫んだ。


「今度も一緒に遊ぶのだ!」

「いいな、逃げるなよ」




( 無視、無視よ! )


さぁて、ケーキの準備を始めましょう。

フレッダのことは、しばらく忘れたいわ。


悪い子じゃないんだけど、負けず嫌いだから

勝つまで決闘をやめないに決まっている。


天野君、ミア様や私が負けず嫌いっていうけど、

フレッダの方が絶対に面倒な性格よ。



私はいつものように、

服を脱いでエーテルのシャワーを浴びる。


エーテルシャワーはお湯と違い、周りが濡れないので、

その場で浴びることができるのだ。


長い髪も一瞬で洗浄されて、トリートメントされる。

そのため女神や眷族の女性は、例外なく髪の毛がきれいである。


髪形も整い、料理用のエプロンもバッチリ。

BGMとして、アールブヘイムのお気に入りのアーティストの曲を流す。



「よし!」


胸の前でガッツポーズ。

ケーキ作り、頑張るぞー!



<<<  プルプルプル   >>>


エーテル通信が着信を告げる。

今日は、何かと騒がしい日ですこと。


差出人をみると、そこに1行だけメッセージがあった。



『”ミアの箱舟作戦”の反省会をします。至急、集合せよ。

 あっ、来る時にはコーラ買ってきてね。みあ。」


今日もケーキを作れずに、私の休日が終わってしまう。

しかし、イデア様が喜んでいたので、お断りをすることはできない。



武人らしく決断したら、行動は早く。

私は一瞬で外着に着替えて、鏡の前で髪に櫛を入れる。


今日は、天野君も来るようだし、少しだけ意地悪して

ストレスを発散させましょう。



「ストレス」という割に、

いつもミア様に会う時には身体も心も軽い。


もしかして、これはミア様ではなく、天野君に会えるから?

゜*。,。*゜*。,。*゜*。,。*゜*。,


今回もお読み頂きありがとうございます。


下にある広告をさらに下へスクロールすると☆☆☆☆☆が並んでいます。

その☆や「ブックマーク」で応援して貰えると凄く嬉しいです。(*'▽')

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ