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第1次 アキバ戦争(その9)=第2章完結=

カレンは、俺の攻撃を防ぐため、

舞のステップを踏んでよけきった。


この状態で彼女の動きが止まっている。


俺は10秒の間で、彼女の背後に回り、眼鏡を奪う。

そして舞を止めるため、背中から羽交い絞めにした。


三条とは違う大人の香水の香りがした。

俺は何も悪いことはしていない。自分に言い聞かせた。



------------------ーー


ここでタイムオーバー。

俺とカレンだけの時間が動き出す。


「な、な、な」

「なんですか、これは?」


カレンは、これまで有利に戦っていた。

しかし、いつの間にか羽交い絞めにされている。


しかも、眼鏡まで奪われて

何も見えなくなってしまったのだ。


沈着冷静に見えるカレンがパニくっている。

俺の作戦は成功した。



想像通り、彼女は眼鏡がないと何も見えない。

そして何より、自分の知らない謎の技で、

舞剣を止められたことがショックだったようだ。


「俺は戦う意思がありません。

 友達さえ、無事なら良いんです。

 だから、ここで手を引いてください。」


「わ、分かったわ。

 それにしても君のその力は…」



五分五分の戦いの中、

自分の想像を超える攻撃を見せつけられたカレン。

すでに戦闘意欲はない。


カレンが抵抗するのを止めたので

俺は眼鏡を返して、彼女から離れた。


彼女が何かを言いかけたが、聞こえないふりをした。


自分の能力を知られたくないし、

怖い敵とは、あまり関わりたくない。



------------------ーー


今度は、全体の時間が動きだす。

しかし、UDXの前で動いている人はいない。


俺はあっちゃんを担いで、駅に向かって歩き始める。

シゲさんは、仲間がいるから大丈夫。


ともかくここは危険だ。家に帰ろう。

地元に戻れば江良がいる。

あいつがいれば、何とかなるだろう。



カレンはまだ茫然と俺を見ている。

まだ、自分が負けたことを受け入れられないようだ。


俺の姿が小さくなると、

カレンは無言で立ち上がり、エーテル増幅リングを出した。


「やはり、あのような常識を超えた力を

 ヒトが持つのは危険です。

 生かしておいては死神様のためになりません。」


リングを指にはめると、

俺の背中を目掛けて、巨大魔術の詠唱を始める。



「約束を破るのは良くありませんね。」


カレンの前に赤い影が立ちはだかった。


瞳は紅く、燃えるような長髪の美少女が、

ゆったりと炎の剣を構えている。


「あら茜、珍しいところでお会いするわね」


「カレン、その少年を後ろから撃つというなら、

 ここで私がお相手をいたします。」


「なぜ貴方が?」


「いろいろ訳ありなのです」

「今日は、死神様の眷族が1人しかいないようですね、

 それでも少年を狙い、私と戦いますか?」


「わ、わかったわ。だけど、ガーディアンの貴方が、

 表立って私の邪魔をすると、問題になりませんこと?」


「そうですね。さっき通り訳ありと言いましたが、

 実は、彼はミア様の加護者なのです。」



「え???」

「なるほど、そういうことですか。」

「ヒトにしては、尋常ならぬ強さが不思議でした。

 しかし、これで腑に落ちました。」

「私たちが引きましょう」


「カレン、その方が賢明です。」


「お待ちください。」


真田が2人の会話に割って入る。


「あの少年をこのまま行かせては、のちの災いになります。」

「そのようなガーディアンなど、打ち捨てておけば良いのです。」



真田はいつのまにか、エーテル増幅リングをつけて、

神界の武器「アイスガン」を手にしている。


「真田、おやめなさい。

 その武器はこちらの世界では禁止されています。」


「いいえ、ここは私にやらせてください。

 ヒトに負けたままでは、アールブヘイムに帰れません」


真田は、駅のホームについた俺に照準を合わせる。


「躾がなっていない犬ですね」


三条の剣がアイスガンを跳ね上げた。


「ガーディアン如きが、何をする!」


真田の攻撃の矛先が三条へむけられる。


「お前が上級眷族でも、神界の武器は防げまい。」


迷わずアイスガンの引き金を引いた。


氷の砲弾が飛び出し、周りの空気を凍らせながら

標的の三条に当たり、大爆発を起こした。


「残念だったなガーディアン。

 死神様に歯向かうから、そんなことになるんだ」




この時、真田が使った神界の武器は、

神が忠誠の対価として、眷族に下げ渡したものだ。


通常は、眷族の世界「アールブヘイム」で保管され、

眷族同士の戦争時に限り、使用が許可されている。


この世界では環境破壊につながる武器が多く、

神々の協定によって禁止とされている。


アイスガンはその中の1つ。

絶対零度の氷弾を放ち、標的に当たると、

ダイヤモンドも一瞬で凍らせ、砕いてしまう。




「真田、あなたは何ということを…」


真田が神々の協定を破ってしまった。

上司のカレンも、真田と同罪である。


カレンはこめかみを抑えながら、

死神とガーディアンの神に対する言い訳を考えていた。


「まさか?生きてるのか?」


目を閉じていたカレンに真田の声が聞こえてきた。

爆煙が消えた後に、三条の姿があったのだ。


三条は特に傷ついた様子もなく、その場で剣を構えている。

そして、次の瞬間。剣を振り下ろした。



<<<  ゴゴゴゴ   >>>


轟音とともに炎の刃が真田を襲う。

次の瞬間。真田が立っていたところは、

一面がマグマのようにドロドロに解けていた。


あたり一面が、火山の火口のようだ。

威力の強さに茫然とするカレン。


「この上は飼い主も躾なければならないでしょうか?」


三条の姿は、瞳だけでなく、長髪も真っ赤に燃えている。

カレンは、こちらの世界に来て、初めて他人に恐怖した。



燃え盛る炎。

その炎を包み込む巨大な黒い炎が出現した。


「茜ちゃん、ごめんなさいね」


その黒い炎は、やがて女性の姿に変わっていく。

右手には、人形のようにぐったりした真田を抱えている。


「あの子はミアの加護を受けた子だったのね。

 もう少しで、戦闘狂の神を敵に回すところでした」


その姿を見ると、三条もカレンも、一歩下がって片膝をついた。

2人とも決して頭を上げない。


「あの子が怒ると全能の神に喧嘩を売るぐらいですからね。

 私などは、一撃で消されてしまいます。」

「こちらにも落ち度があるので、

 今回の茜ちゃんの行動は不問としますね。」


「ははっ。ありがとうございます。」


「それからカレンちゃん、

 真田を少し甘やかせすぎましたね。」


「申し訳ございません」


「この子は、私のもとで再教育します。よろしいですね」


『再教育』という言葉を聞いて、カレンだけではなく

三条も身震いをした。


「仰せのままに」


『再教育』とは、つまり一度魂を消して、

作り変えるということだ。


基本的に眷族は20歳を超えると歳を取らないし、死ぬこともない。

彼らに死を与えるのは、神だけなのである。


今回、死神は『再教育』という言葉を使った。

相当に怒らせてしまったことになる。


2人は死神が消えるまで、

緊張と恐怖を感じながら、地面に固まり続けた。




「あっちゃん、大丈夫か?」


電車のアナウンスが、次の駅は俺たちの駅と告げている。

俺は、あっちゃんを起こして、帰ってきたことを教えた。


「ヒカルありがとう。今日は楽しかったな」


「え?」


「1年ぶりのイベントだったもんな。

 それにしても、サプライズで声優ライブが

 あるとは思わなかったよな」


あっちゃん、頭打ったのか?

俺の知らないことばかりを話している。


待てよ、あっちゃんが手に持っているのは

今、彼が話した声優ライブのパンフレットだ。


そんなことはない。今日は確かにデモを…。


俺は一度、目を閉じて考えた。


第三者による記憶操作が行われた可能性がある。

ご丁寧に偽造証拠まで作っている。



明日、今日起こったことを江良に聞いてみよう。


しかし、この証拠はよくできている。

扱っている声優のセンスが良い。


俺は、思わぬ収穫を得たことで

これまでの苦労が報われた気がした。


それにしても、記憶だけでも良い。

俺に声優イベントの記憶をくれないだろうか。

゜*。,。*゜*。,。*゜*。,。*゜*。,


今回もお読み頂きありがとうございます。


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