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【究極の決断】の果てに待つもの=第1章完結=

ヒカルの通う高校から勢いよく走り出した黒塗りの高級車。

真夏というのに、車内は氷漬けのような寒さに襲われている。


その発生源は助手席のツインテール少女にあった。。


不機嫌そうに頬を膨らませた少女が、足をブラブラさせる度に

車内の温度が急降下していく。


「ちぇっ。ちぇっ。ちぇっ、なのだ。

 いつになったら茜ちんと戦えるのだ。」


「必ずチャンスは巡ってきます。

 もしも、フレッダ様がレッドシューターと戦う機会が訪れたら、

 あの方がお2人にふさわしい舞台をご用意してくださるはずです」


極寒の車内、後部座席のスーツ姿の男が口を開いた。


「ほんとか?」


「はい。三条茜、レッドシューターとの決着も

 その時までのお楽しみということですね」


男は懸命に表情を作り、にこやかに答えた。

 

「分かったのだ。

 あの方なら、きっとそうしてくれるのだ。」


車内の気温が、ふっと和らぐ。

それと同時に同乗者たちから安堵のため息が漏れた。


「あたし、今日もお客がたくさん待ってるし、

 暇だからバイト行ってくるのだ。

 それじゃあ、連絡待ってるぞーーー」


そういうと、少女は走っている車の窓を開けて、

「とおーっ」と叫び、窓から飛び去っていった。


あっけにとられる車内。

窓からは生暖かい風が入ってきている。


「と、とにかくレッドシューターから目を離さないでください」


高級車はそのまま都心へ向かってスピードを上げていった。




次の日、俺は迷っていた。


「あの力を使うべきか、隠し通すべきか?」



隣駅のトレードカードショップ。

今日は待ちに待った「スターライトソルジャー」の

スーパーくじ発売日なのだ。


この作品は、カードゲームで火が付き。今や人気のアニメ番組。

1回700円。A賞はメインキャラの魔法戦士のフィギアだ。

マジカルソードを高く振り上げた姿はマニアの心を刺激する。


(欲しい!ファンにとって、

 こんなけしからんフィギアはない。

 絶対に手に入れておかないと後悔する)


俺は、A賞が当たるまで何度もタイムリープする誘惑と戦っていた。

だが、力の乱用は江良から禁じられている。


仮に能力が、インスペクターやガーディアンに

バレたら命を狙われるからだ。


しかし、この場には、中学生3人と俺しかいない。あとは店長だ。

どう考えても異世界人はいない。


(これはチャンスじゃね?)

(一度ぐらいなら大丈夫だ)

(やめとけ、江良に叱られるぞ)


俺は心の中の、もう一人の俺と戦う。

しかし。。。


「おーー、やりーー、B賞来たぜ」


坊主頭の歓喜の声が、俺の欲望の背中を押してしまった。



(これで命を落とそうとも、コレクターとしては本望だ!)


俺はコレクターの誇りを胸に命を張ることに決めた。

そして、、、、禁断の扉をこじ開ける。


「はぁ、やっぱりF賞か…」


予想通り、くじの結果は最低のF賞。

だが、俺は負けない。

時間を戻すぞ、俺はやってやるんだ!



------------------ーーー


周辺の空気が変わり、

俺はくじを引く前に戻っていた。


よし! 

新たに、俺はくじを引いた。


その後、禁断の快楽をしった豚は、

永遠に快楽を求め続けるのである。



------------------ーーー


35回目のタイムリープ、

俺は、遂にA賞を引き当てフィギアを手にした。


「さすがA賞だ、ディテールまでレベル高いぞ」


満足顔でフィギアを見ていると、

フィギアの顔が徐々に江良の顔に変わっていった。



「やってしまったわね。ヒカル。」

「これで、あなたは彼らのターゲットよ。」

「ヒカルの命も今日限り。まったく自業自得ね。さようなら」



「待ってくれ、俺が悪かった。だから見捨てないでくれ」


「無理です。それがヒカルの運命だったのです」


次の瞬間、俺は覆面をした敵に囲まれている。

時間を止めたり、戻したが、戻らない。

江良からもらった指輪も消えてしまった。


俺は江良から見放され、女神の加護が切れてしまったようだ。


「顔はやばいよ。ボディにしな。」

奴らが何度もボディを殴ってくる。

息が苦しい。


なんて人生だ。俺は死ぬ。

苦労して手に入れたフィギアも、

江良に変身して飛んで行ってしまった。


こんなことなら、江良の言うことを聞けばよかった。。。。

次第に視界が暗くなっていく。



「とりゃーーー、着地せいこーーー」


目の前で地面が揺れている。いや、ベッドが揺れていた。

妹が今日も、俺を起こすためにベッドで飛び跳ねていたようだ。


俺のボディに妹の膝が入った。


「うぐ、、、また夢落ちか、、、」


「お兄ちゃん、早く起きなさい、、、

 お母さんが起こしてきなさいって!」


悪夢から目覚めさせてくれた妹を怒る気になれない。


俺は黙って起き上がり、いつものように歯を磨きに行く。

妹もついてきて、一緒に歯を磨いている。


「あがががががが」「がらがらがらがら」


「やっぱり、あれはまずいよな。

 あいつ神様だし、陰で力を使うと絶対にバレるよな」


(それにしても、夢でよかった。。。)




「おはよ」


「おはよう。ヒカル。やっと起きたわね、

 はやくご飯食べちゃいなさい。」


今日は日曜日なので、家族そろって朝食時にテレビを見ている。

画面では、女性のニュースキャスターが甲高い声を挙げていた。


「みなさん、この会社は未だに化石燃料で発電しCO2を垂れ流しています。

 大気を汚し、温暖化を進める会社を、これ以上許して良いのでしょうか?」


キャスターの後ろには、電力会社が入っているビルが映り、

市民たちがプラカードを持って叫んでいる。


市民のインタビューが流れた。

老若男女を問わず電力会社に不満を述べていた。


「本当に信じられない、ひどい会社よね。」


味噌汁を吸っていた母の箸が止まり、

延々とこの会社の環境犯罪について話し始めた。


どうやら母は、この会社の悪事について

テレビのワイドショーを見て知ったらしい。

毎日、繰り返し放送されていたようだ。


活き活きと話し続ける母に、父もうなずいている。


新聞を読まない俺は、二人から取り残された。

妹はすでにゲームを始めている。


次の瞬間、俺の目は画面にくぎ付けになった。



キャスターや市民団体のまわりで、

天使もどき、ソウルイーターが見え隠れしているのだ。


今日は弓矢を持っておらず、ハープやラッパを奏でている。

家族には見えていないらしい。


画面がスタジオに戻ると、

ここにもソウルイーターが映っている。

奴は友達の様にキャスターの肩に手をのせて、

画面に向かって不気味に笑いかけていた。

゜*。,。*゜*。,。*゜*。,。*゜*。,


今回もお読み頂きありがとうございます。


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その☆や「ブックマーク」で応援して貰えると凄く嬉しいです。(*'▽')

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